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本の備忘録

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16年前くらいから、読んだ本の備忘録として、それから未読の積読本も相当溜まっていたので重複して購入しないようにと、書評というには拙い内容をとつとつとブログで綴っていました。 6…
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2021年3月の記事一覧

たまに読みたくなるあっさり味

2008年3月1日に投稿したブログより。 この作家、読後は全然残らないんですが、何故か時々読みたくなるんです。 特に濃い目の小説を読み終わった後は、さらさらっと読めてしまうので、丁度いい箸休めのような作品が多いです。 何気ない日常を切り取って、現実にありそうなちまちました人間模様や思索を描いた小説ですが、何となくページをめくっていってしまいます。 大崎善生のテイストにも似ているのですが、もうちょっとあっさりした感があります。 こういうのばっかり読んでても味気ないかも

ダントツのポカポカ度

2008年3月1日に投稿したブログより。 こころポカポカになりたいのなら、よしもとばななはオススメです。 邪なこころの人なんて一人も出てきませんし、何よりも登場人物たちのひたむきさ、純粋さにしばしの間、読んでるこっちもこころがキレイになれます。 ただですねー、おっさんが外で読むには、ちょいとハードルが高いのですよ。ブックカバーをつけても、とにかく挿絵も絵本のように沢山ついてますしね。隣の女性とかに見られたりすると恥ずかしかったりします。文章とイラストの関連性なんてほとん

食べること営むこと

2008年3月1日に投稿したブログより。 いやらしい短編集である。 えげつないいやらしさでなく、上品な淫蕩さとでも言えばいいのでしょうか。 食べ物と女性が、味のあるものとして粋に描かれています。 幻想的な話もありますが、思い出の中の話っぽいものもあったりと、私小説なのか、架空の話なのか、境目があやふやな感じが妙なリアルな色気を全編に醸し出しています。 食べることは色っぽい。物を口にする描写で夜の情景を思い描かせる。大人のための艶のあるお話でした。

傷を負った男女の物語

2008年3月13日に投稿したブログより。 今日のこれは特に好きな一冊。 鉱物を売るお店を中心に、恋愛の中で傷ついた男女の心情を瑞々しく描いた秀作です。 お店の社長も、そこのアルバイトである主人公も、主人公の元彼女も、バイトの先輩や仲間も、店に通ってくる女の子も、みんなみーんな心に傷を負っていて、少しづつそれを克服しつつ先に進んでいく姿が、清々しく描かれています。 何よりも三人のヒロインとそれを取り囲む脇役たちも、すべて無駄なく描かれているのが素晴らしいです。 まだ

静謐な物語

2008年3月29日に投稿したブログより。 静か、そしてたんたんと綴られる架空の土地での物語。 それぞれの住民が生きていく姿を老成された筆致で描いています。 大きな事件は起きず、かといって問題はないかというと、それぞれの悩みはあり、それでもただひたすら生きている。そんな実際の生活の一部を見事に切り取っています。 すべての登場人物に「さん」付けをしているのも不思議な感じがしますが、特に盛り上がる要素もないのに、何故か読むのを止められない、そこがホントに不思議なところです

繊細に、優しく紡がれる恋愛短編

2008年4月4日に投稿したブログより。 なぜ?なぜ皆この作家にもっと注目しないのだ? なぜ、本屋さんはもっともっと騒がないのだ?特集を組まないのだ? 前作、九月の四分の一の後日談を含む四篇の恋愛短編集。 今回は全て女性が主人公の物語。 読む間は、透明度の高い小川がサラサラと流れるかの如く、清涼感溢れる時間が流れていきます。 そして、そんな静かな穏やかな時間が、たった一行の言葉で突如、感動の時間に変化します。 わずか200ページかそこらの中に、4回も、鳥肌がブヮ

深遠な児童文学

もうずいぶん子供たちも大きくなってしまいましたが・・・ 2008年4月12日に投稿したブログより。 確か、本の雑誌で紹介されていて、気になる本リストに書き留めていたのだと思います。 結構マイナーっぽい出版社でしたので、忘れかけていた頃に古本屋で見つけました。 いつも読んでいる小説とは明らかに一線を画します。 ある日、突然目の前に現れた等身大のしゃべるうさぎ。 一体この不思議なうさぎの正体は? そして、彼は言う。 どこから来たのか、どこへいくのか、だれだって知ら

ダメ男短編集

2008年4月30日に投稿したブログより。 この作家は、もっともっと女の人のファンが増えそうな気がします。 まだ、コレッていうベストな一冊がありませんが、どの作品も標準以上の佳作であることは凄いことです。 今回はダメ男と、それを取り巻くわがまま女に焦点を当てた6つの短編集。 ・ 周囲の迷惑を顧みず、結婚離婚を繰り返し、その度に式を挙げるカップル。 ・ 婚約者に紹介をしないといけないのは、愛人のヒモとなっているダメ親父。 ・ いざという時に恋人だと思っていた女性に、

粋っていうのはこういうことさ

2008年5月7日に投稿したブログより。 北方水滸伝で男の生き様に唸っておりましたが、日本が舞台の小説にもかっちょいい男がおります。 北方版の男を好漢と書けば、おそらくこちらは仁侠と書いて男と読ませる、そんな感じでしょうか。 政治家たちや権力者たちなど、謙虚さを忘れた奴らに教科書として読ませたい本。 酸いも甘いも見た上で、この世の中で一番大切なこととは何かを、しっかりと捉えている天下の侠盗たち。いつの世でもブレないその性根が「粋」な生き様を体現できるのでしょう。 こ

癒しの力を持つ短編集

2008年5月8日に投稿したブログより。 3つの物語が収められた佳作です。 相変わらず家族がテーマですねー。 どれも現実にありそうで、でも普通に生活していれば、まずありえない出来事ばかりなのですが、自然にスッと物語に入っていき、フッと意識を戻して顔を上げた時には最終ページ、そんな感じでした。 所要時間は30分くらいですか。 それくらい簡単に読める上に、確かに残る読後の温かさ。 傷ついている人も、読めばほっこり幸せになれる。 そんな短編集です。 オススメです。

恋愛に悩むプロの警官物語

2008年5月11日に投稿したブログより。 いやー、久々のシリーズ新作でしたが、いい。 実にいい。 相変わらず元妻である悪女に恋するあまり、精神的に振り回されておりますが、警察官としては比類なき優秀さを発揮しております。 小さな町の署長にも関わらず、今回は同時期に2つの事件を追うだけに留まらず、被害者の女の子のケアまで手広くカバーしようと奮戦します。 悩めるスーパーコップの今後はどうなるのか、そんな余韻を残しつつ、一気読みで終わってしまいました。 結局作者が、スペ

素直に描かれる女性の欲求

2008年5月13日に投稿したブログより。 好きです、この作家。 前作でも感じたのですが、好きな相手に対する女性の性欲がとても自然に描かれています。 女性全員がこういう風に感じているのかどうかは別にしても、少なくとも作者が一人の女性として、恋愛におけるSEXの位置づけとかをどのように捉えているのかがよく分かります。 まっすぐに好きな男のことを想い、まじめに交わりたいと感じる女性の感性は、男性作家の描く女性よりもよりリアルですし、まじめな程やらしいです。 あ、誤解のな

放置していたブクログを発見

最近、昔書いていたブログを再アップし始めて思い出したこのサイト。 好きだった本を集めたネット上の本棚です。 本棚って、見ただけでその人が出ますよね。 だいぶん前に上げていたものなので、新しい本はありませんが、何かの参考にしていただけたら幸いです。

懐かしき時代よもう一度

2008年5月20日に投稿したブログより。 本屋大賞受賞作。 夜なべして一気読みでした。 ウィットに富んだ会話。 個性的な登場人物たち。 そして、手に汗握る展開。 ある日突然、自分の街で首相が暗殺され、そしてその容疑が全て自分に向いていたら、どうするか? ひたすら逃げることを選択した主人公は、はたして逃げ切れるのか。 主人公の父親が、チョイ役なのにめちゃくちゃいい味を出しております。 サウスバウンドのアナーキーな親父もいいけども、これも相当理想的な父親像です