【短いお話】「竹林」
文・写真 by 葉月なゆ
ふと、思い立って、いつもの道から逸れてみたら、竹の林に迷い込んだ。
竹の葉が囁くようにさわさわと音を立てる。
その囁きに四方を囲まれて、天を仰ぐと、竹の葉が覆いかぶさるように揺れていた。
引き返さなきゃ、と頭では思っているが、足は動かない。
だけど、やけに落ち着いた心持ちなのはなぜだろう。
竹が抱える空洞と、僕が抱える空虚が共鳴しているから?
さわさわさわさわさわ
ざわざわざわざわざわ・・・
(終)
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