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【エッセイ】比べる必要はない

 これまで数十年生きてきて、何度となく、こんなフレーズを見聞きすることがありました。

「広い空(あるいは星空や海等々)を眺めていると自分の悩みなんか、ちっぽけに思えてくる」

 私もそう考えていた時期があります。辛いとき、気晴らしとして空を眺めたり、プラネタリウムに出かけたりして、「ああ、こんなことくらいで悩むなんてね」とか。
 空を眺めるのが好きだったのを、当時はそんな方向へ向けていました。

 しかし、今、切に思います。
 自分の感情を何かと比べる必要なんてないって。

 この詩は、その思いが言葉になったものです。


「もっと大変な人もいるから」
「この程度で辛いとか言ってちゃいけないし」
「こんなの苦しいうちに入らない」
「〇〇さんはもっとしんどいんだから」

 こんな言い回しを、これまでたくさん聞いた、あるいは聞かされてきた人は多いと思います。
 だけど、たとえば「もっと大変な人がいる」ということと、「自分の辛い気持ち」を比べる必要がどこにあるのでしょう? ましてや、それを他人に押しつける必要はもっとありません。また、比べないことで、「もっと大変な人」を軽んじることにもなりません。

 何かと比べて、自分の感情を矮小化して、無理にポジティブに考えてやり過ごしてしまうと、きちんと向き合えなかった感情が燻り、場合によっては捻れたりして、いつまでも残ってしまう(これは「経験者語る」です)。

 あなたの悲しみは、そのままの悲しみでいい。
 なぜ悲しいのか。なぜ辛いのか。なぜ苦しいのか。それを自分に聞いてあげる。そして、向き合って、受け容れると、自然と前に進むことができると、私は感じています。


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