干物の並べ方から仕事への姿勢が垣間見えてくる
漁師町で見かけた古びた干物屋さん。
お日さまの光を浴びながらカマスくん達が美しく整列してお昼寝をしていました。寝相が悪い子は一匹たりともいません。随分と育ちが良さそう。
美しく並ぶ干物の様子をカメラ越しに覗いていると
「きれいに並べたるやろ?兄ちゃん、美味しそうに撮ったってー」
と干物屋のおっちゃんが声をかけてくれました。
写真を撮ることを快く承諾してくれ「コレも、アレも撮ってやー」と次々と指をさしながら干物の説明をしてくれます。おっちゃんの説明を聞けば聞くほど、お昼寝している干物が美味しそうに見えてくるのだから不思議なものです。
干物を並べるという作業一つをとってみても、仕事への姿勢は垣間見えるものだなと思ったのでした。干物のお昼寝にはおっちゃんの人柄がにじみ出ています。
自分はどうでしょうか。何百枚もの魚を開き並べる作業をそこまで丁寧にできるでしょうか。単純作業こそ仕事の効率が問われるものだと効率ばかりを追いかけて手を抜いてしまわないでしょうか。
干物を丁寧に並べることが美味しさに直接関係するかは分かりません。
だけど、少なくとも美しく並べられた干物だからこそ目に留まり写真を撮ろうとしたのでした。そして、おっちゃんが笑顔で話しかけてくれた。
「思いを込めて仕事をする」とは、おっちゃんのような仕事の姿勢のことを言うのかもしれません。誰も気にも止めないかもしれない干物の並べ方にも、しっかりと思いは乗っかっています。
店を出た後、右手にぶら下がっていたのは袋いっぱいのアジとカマスだったのでした。
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