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再録ハコボレ落語研究会『世別レ心中』楽屋噺〜4月10日編

楽屋にて何想う

朝8:30に劇場に入り、しとり楽屋入り。
衣装のチェックを終えたらクイックルワイパーを手に取る。
劇場の床面の掃除を始め、終えたらゆっくりと体を起こす。
ここまでがセット。好きな音楽を聴き体をほぐして。楽屋に戻る。
パソコンの前で、今日の宣伝を考えてたらすぐに会場時間前。

3回公演があるが恐れることは何もなく。ただ粛々と時間がくればお客様の前に立っていた。そうして話始め、集中して舞台が終わる。
「70分の一人芝居を1回きり」それを繰り返すだけ。
3回あるからって力をセーブすることもなく、逆に過剰に出すこともない。
その体力と集中力を養われた公演だ。

今日、2年前の東京公演を観てくれた人が何人かきてくれた。その際に声をガサガサに枯らした私を観てどう想っただろう。
その時は、その全力を出すことが償いだと想ってた。その熱量でしか伝わらない想いがあると。本気だった。

あれから2年。こうして一人で舞台に立つ際に、ガサガサの声じゃ届かない。花魁の色艶のある声はどうやっても場末の酒場になっちゃいけねえ。
日に3回公演を行おうと、同じ作品を同じ熱量で届ける。だから体も壊せない。喉と体には細心の注意を払う。

楽屋には薬や漢方。蜂蜜大根、そしてカロリーメイト。
あまり新しいものを食べないようにしている。
大好きなドクターペッパーも控えてしまうほどで。

舞台上にて何想う

終演後、スタッフのみんなが帰ったあと。
一人の劇場で『世別レ心中』は明日で終わると実感しました。

明日の11:00の回。そして15:00の回。たった二回。
今日、コロナ禍での客席数を心配してくれる方がいた。
心配はありがたい。けれども、やっぱり悔しくて。

目の前の人、1人を楽しませられずに、たくさんのお客様なんてえのは贅沢だよ。その言葉をハコボレで何度も言ってきた。それは自分への戒めであり、同時に現実を直視する。

『世別レ心中』が、いい作品に育ってきた。
作者が言うのはおこがましいが、芯にそう想う。
だから本当はたくさんの方に観にきて欲しい。

前田隆成の出発点であり集大成のこの公演。
泣いても笑っても明日しか生きれない舞台が王子小劇場にあります。

ここまで読んでくれている方に、何かお返しできるとするならば。
私から舞台の「ご招待」させて頂けたらなと想います。
どうぞ、お気軽にTwitterのDMまでいらしてくださいませ。
ハコボレの前田隆成を知っていただくことが一番の目標でございます。

明日も『世別レ心中』変わらずにお届けいたします。
ここまで応援いただいた皆様、本当にありがとうございました。
あと最後のこの千秋楽。たくさんの方に見ていただきたいのでどうぞ、お力を貸してくださいませ。応援のほどよろしくお願いいたします。

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