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再録ハコボレ落語研究会「世別レ心中」稽古場コボレ噺 その③


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おまくら

ええ、どうも。本日の一稿のご愛読を願います。

物語はどのジャンルも冒頭が大事だなと常々感じますね。小説も最初の数ページで文体が合わなければ中々入ってこない。僕なんかも、阿部工房を読んでいるとなんか知的に思われるんじゃないか、なんていわばキャラ付けのために読み始めたら、何冊も溜まってて。星新一の短編くらいの辛抱強さしかありませんでした。これは文体なのか、なんなのか。まあ、読書週間なんですかね。そんな中、初めて長編を読み終えることができたのが、恩田陸の「チョコレートコスモス」でした。演劇や舞台芸術に関わる方に本当にオススメの本で。まあ、詳細なんかは、お調べください。
あと、最近改めて読みたいなと思う本は、有川浩の「シアター」ですね。それも小劇場界をテーマに劇団が劇団の黒字だけで借金を返していく。みたいな話です。「シアター2」まででていて、「シアター3」が出て欲しいなと思いながら本屋をたまに覗きます。とにかくオススメです。
 まあ、映画も舞台も冒頭で好みが非常にわかれてしまうのは、ままある話で。最近は映画を早送りしながら見るなんてのもあるくらいで。辛抱の問題なのか、興味の問題なのか。習慣なのかもしれませんね。そんなこんなで、今日の稽古のお話を。

冒頭の難しさ

 今日も北川さんが観てくれておりまして、冒頭から返していくのですが、今日はそこだけで終わってしまうくらい濃密でしたね。この冒頭のシーンは、落語が始まるまでの「まくら」の部分の役割をしてまして。このまくらを稽古するなんて落語家の人が聞いたら笑われそうですけれど、この稽古はかなり難しいです。現在進行形で難しい。

今日の箇条書き

おしながきみたいになっちゃったけど。今日の言われた事を復習します
◎枕の役割とは?
・お客さんとの呼吸を整えることにある。 
・自分⇨身内⇨友人⇨他人⇨敵(社会)みたいなパーソナルの広がり逆順で掴んでいくようなイメージ。
・自身が深い呼吸をとることによって、結果、安心してみてもらえる環境を整える。
・まくらと世間話の違い。この稽古場で、それぞれの違いがあることがわかる。まくらはしっかりと稽古する物もあれば、本当に今日あった出来事を面白くつたえるフリートークの部類に分かれる。このフリーの部分を世間話とした。
・話の振り方、意味の伝え方。

覚書きと対話にて

 自分に染み付いた芝居の癖や演技の質を変化させて体現するのは時間がかかりそうだ。私自身の苦手意識や、今まで観てきた意識していた芝居の作り方を問われ、小林賢太郎に憧れてきたと答えた。それは噺家とはとても遠いところに位置する芝居かもしれないと教えてくれた。なるほど、確かに。私は隙のない、自分で決めた言葉を言う方がやりやすく、アドリブや稽古を重ねていないものを出すことにとても抵抗がある。稽古は嘘をつかないし、自分のアドリブ(トーク)は面白くない。みたいなマインドは深くにあると思う。
稽古の中で、学生時代や幼少の頃まで遡って演技について探った。
北川さんの男子校は「笑いを取るか、勉強ができるか、空気が読めるか」でヒエラルキーが決まったそうだ。だから学生時代の3年間はとにかく面白い話は何かを考えて、その空気が本人に染み付いている。私はどうだろうと。真逆だ。面白い会話は難しい。笑いを取るっていうのも、感覚ではわかるけれど、何か一枚ベールを被らないといけなくて。でも今回は素うどんみたいな状態。そう、体の状態を安定させて安心させる空気を作る。
まくらの目的は決して「笑わせる」ことが主でなく、安心させる。そしてこちらも安心することだ。それを意識して挑戦しよう。
これは、俳優としての課題であり人間的な課題でもあるなあと。

なんて。
今日もこのメモのような荒書きを呼んでいただきましてありがとうございます。明日は落語中心の稽古に移ります。公演まで残り8日。しっかりと仕上げてきますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします!!

それでは今日も詳細です。

再録ハコボレ落語研究会
「世別レ心中」

◎日時
4月8日(木) 18:00
4月9日(金) 15:00/18:00
4月10日(土) 11:00/15:00/18:00
4月11日(日) 11:00/15:00

◎会場
花まる学習会王子小劇場
東京都北区王子1-14-4 地下1F

◎チケット料金
前売:2000円
当日:2500円
あさハコ:1500円 ※11:00の回のみ

-----作品内容-----

◎作・演出・出演
前田隆成

◎古典落語「鰍沢」のあらすじ
旅人は身延山に参詣へ向かう道中、吹雪に見舞われた。遠くに灯りを見つけ尋ねてみると、美しいが喉元に傷のある「お熊」と名のる女が現れた。見覚えがある彼女は元、吉原の花魁で旅人も一夜を明かした過去がある。羽振りの良い旅人に、お熊はそっと卵酒を差し出した。雪山のあばら屋から鰍沢へ駆ける、一夜の物語。

◎演劇「世別レ心中」のあらすじ
旅人は激流を下る際に、本当にご利益があって助かったのか。お気楽なニンゲンの言い伝えに嫌気がさすモノがいた。彼らの村に伝わる「鰍沢」の伝承とは話は少し違う、旅人との関わり。ケモノの九太はあの夜目にした真実と森に伝わる呪いについて語り出す。

ここまで読んでくれてありがとう☆
明日もよろしくな!

ハコボレ 前田隆成

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