南国鹿児島の南国ぽい植物の話ー『浜木綿』が咲く「ハマオモト線」
こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。「南国鹿児島の南国ぽい植物の話」は、軽い気持ちで始めたシリーズですが、案外ネタがあるもんだな。と感じる今日この頃。
そして今日書くのは「ハマユウ」と言う花のお話です。
ハマユウとは
白い布を裂いたような不思議な花姿が特徴です。
この植物は、主に暖かい地域の沿岸部に自生していますが、庭にさりげなく植えられていたりもします。球根の分球で増やすことも可能なあたりは、「ヒガンバナ科」らしい特徴かなと思います。
お隣宮崎県では県の花に指定されています。
葉の姿が「おもと(万年青)」と言う植物に似ていることから「浜万年青(ハマオモト)と言う別名もあります、
木綿と書いて「ゆう」と読む
ハマユウを漢字で書くと浜木綿(はまもめん)と読みたくなりますが、木綿(もめん)と書いて(ゆう)と読むんです。
白木綿(しらゆう)を裂いたような花姿だ。と言うことで「浜木綿(ハマユウ)」と言う名がつきました。
この紐のように垂れた花姿を見てそう感じたのだとしたら、この名をつけた方はとても面白い視点を持っているなあ。
植物分布を知る「ハマオモト線」とは
この植物が私の興味を引いた理由は、もちろん面白い花姿もさることながら、「ハマオモト線」と言う植物分布の指標になっていると言うところです。
この「ハマオモト線」は日本人の植物学者小清水卓二先生が1983年に、植物分布の一つの境界線と見なしたものです。今から約40年ほど前ですね。
この「ハマオモト」の分布を基準にした「ハマオモト線」に分布する植物は、他にも数十種類が挙げられます。
<「ハマオモト線」植物ー参考資料>
「ハマオモト線」と「本州南岸線」
「ハマオモト線」と同じラインに「本州南岸線」と言う線もあります。
こちらは昆虫の「サンカメイガ」と言う蛾の分布から定められた分布境界線なのですが、たまたまそれが「ハマオモト線」と一緒だった。そうです。
年平均気温15℃,年最低気温平均値-3.5 ℃
このラインで、植物や昆虫の分布が変わる。なんてとても興味深い。
そして、この植物分布境界線は、まさに現代の問題「地球温暖化」が植物にどのような影響を与えているか。を調べる一つの指標としても今も活用されています。
わかりやすく言うと、地球温暖化によって、「ハマオモト線」の北限を超えてハマユウが見られるようになっていないか?を調査することで、40年前からハマオモト線がどれけ北上しているか。を調べるといった具合です。
ハマユウ・黒潮・万葉集
ハマユウを詠んだ歌を見つけました。この歌からもわかるように、ハマユウはかわえらぬ姿で海岸部に古くから自生していたのですね。
そして、この句を読みながら「熊野灘」を旅したことを思い出していました。
大阪で建築の仕事をしていた頃、あまりにも仕事がハードで「このままではダメだ」と思い、初の2連休を申し出て出かけたのが和歌山方面。
※この当時、まだブラック企業と言うワードが私の耳には入っていていなかったのです(笑)
で、どうだったの?と言われると、実は運転はほとんど友人に任せてこれでもか!ってくらい寝ていたのであまり覚えていません。
ただ、夏の始まりの今頃の季節で、ときどき眠りから覚めると濃い青い海。そしてまた寝て起きて目を覚ますと、また濃い青い海。
とにかく、かなりの時間、沿岸部を走っていたのだと言うことは記憶しています。
そして、その海は、色も香りも地元の海にも良く似ていた。と言うことと。
まとめー実家の庭には「クリナム」
実家の庭には「クリナム」と言う、ハマユウの園芸品種が花を咲かせています。
それはそれは大きな花で、存在感があります。
130種ほどある園芸品種をひとまとめにして「クリナム」と呼ぶそうで、「インドハマユウ」や「アフリカハマユウ」と呼ばれるものもあるようです。
お庭に植える場合には、暖地向きですので「ハマオモト線」以北のお宅では
鉢植えで管理をする方が良いでしょう。
それにしても、地図の中には実際には目に見えないさまざまな「線」が引かれているものですね。県境や市町村境、隣地境界・・・それ以外にも植物分布の境に実は生物分布の境なんていうのもあります。
「ハマオモト線」は見えないけれど、見える線。
この線の境目に行ってみたら、植生が境界の右と左で違って見えたりするのでしょうか。
さて、今日はここまで。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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