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樹になる気になる実のなる樹ー立秋に「椿の実」が色づく

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。近所をドライブしていると、ヤブツバキの実が色づいているのを見つけました。今日はヤブツバキの実のお話です。

Instagramでクイズをしたら、パッションフルーツや柘榴といった回答もありましたが、
葉っぱをよく見らたらそして、植木職人さんたちならすぐにツバキの実だと回答してくださいました。

ヤブツバキとは

ヤブツバキ(別名:ヤマツバキ)
ツバキ科 ツバキ属 常緑小高木 
原産国.日本ー東北以西の暖地に生息

現代では、さまざまな品種の椿を見かけますが、ヤブツバキはその様々な椿の原種になる椿です。
なぜヤブツバキと呼ばれるかというと、野生の原種の椿だということを強調するために「藪の中に自生する椿=ヤブツバキ」と呼ばれるようになりました。

赤い一重の花は、中心の黄色の筒状の雄しべの色が生え、深い緑の照りのある葉にとてもよく映えます。
また、花びらと雄しべはくっついているので、散る際には花びらだけがハラハラと散るのではなく、花首ごと散るのです。
これは、花姿が似ている「サザンカ」との見分け方の一つとしても有名です。

↓3月22日にInstagramで投稿した、散るヤブツバキの様子です。

万葉集に出てくるツバキ

万葉集に出てくるツバキはこの「ヤブツバキ」です。なぜなら、今のような様々な品種が多数生まれたのは江戸時代になってから。

というわけで、ヤブツバキの出てくる句を一つご紹介しましょう。

あしひきの 八つ峰の椿 つらつらに 見とも飽かめや 植ゑてける君
ー大伴家持
訳:八峯の椿をつくづく見ても見飽きることがない、これを植えたあなたのことも見飽きることがあるだろうか。

巻20-4481   作者: 大伴家持

この句以外にも、ツバキの出てくる句には「つらつら」という言葉が出てきます。これは「連なっている」という様子を表すそうで、ツバキがたくさん植えられた場所で、ツバキの花が美しい。と詠んでいるものが多くみられます。

茶花でもツバキはとても高貴な花とされ、豊臣秀吉も茶の湯の席で活けるのに、ツバキを好んだと言われているそうです。

ツバキ油はおすすめ!

ツバキの種子は、良質のツバキ油が摂れることで知られています。最近はヘアオイルの人気もあって、とても入手困難になったというニュースを見ました。
しかし、そのパッケージは我が家は祖父母の頃から使っていた「椿油」で、髪だけでなく顔や手足にも塗っていた記憶があります。

大島椿」の黄色のベースカラーに赤い椿と葉の書かれたこのパッケージは、昔から変わらず、幼い頃に見たそのままで、このパッケージでまた商品が注目を集めたことにとても嬉しい気持ちになりました。
そして、現在、私が主にヘアオイルとして使用しているのもこの「大島椿」の椿油100%オイルです。

伸びも良く、コスパも良いので、ヘアオイル迷子の方がいらっしゃったら是非使って見てくださいね。

ツバキ油ツバキの利用の歴史

そして、この椿油の利用は平安時代にはすでに食用、あかり用や化粧用として使用されてきました。遣唐使の献上品としても椿油が贈られたそう。

縄文時代の古墳からはツバキで作られた櫛が出土した記述もあるので、かなり古くから日本人の生活に密着した樹木だったのは間違いありません。

以前、住宅の仕事をしているときに、銘木店で床柱を選びにお客様と伺った際に、ツバキの幹を床柱として加工したものを見せていただきました。
ツバキの幹は滑らかでそこに自然な斑点が入るのですが、その自然な姿が和室の雰囲気をとても素朴にもしてくれるのではないかと、お客様とその床柱を選んだ記憶があります。

↓なかなか上手に表現ができないので、よかったらツバキの床柱の画像を見てみてください。

木材は建築材としての利用だけではなく、農具の柄の部分や、印鑑、工芸品などにも使用されてきました。現在は大きな材を切り出せる大木が減ったことで建築材料としてはかなり貴重品になっています。

他にも薬用・食用としての利用もされてきたということで、生活に欠かせない木でありながら、庭木や庭園樹として花も楽しめる植物です。
ツバキは日本人にとって万能な樹だったんですね。

まとめーツバキあれこれ

ツバキについては書きたいことが多すぎて、また品種もかなり多いため、どのように整理してご紹介すれば良いのかと悩んでいたら、すっかり花の時期は過ぎまして、今日初登場となってしまいました。
これからも折に触れてこのツバキについては書いていこうと思っています。

立秋」の今、真っ赤に色づいたツバキの実はやがて、弾けて中からタネが出てきます。そしてそのツバキの殻は、クリスマスのリースなどの花材としてみなさんもお見かけする機会がありかもしれません。

チャドクガというびっくりするほど手強い毛虫がつく関係で、ご自宅にツバキを植えたいよ。という方は減った印象はありますが、それでも花の少ない時期に咲くツバキは、日本人にとってのソウルツリー(※)なのかもしれませんね。
(※ソウルツリーは、ソウルフードみたいな感じのイメージで勝手に私がつけた言葉です。)

さて、今日はここまで。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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