【R18小説】『ガチムチ系年下サラリーマンと大衆食堂で働くポチャ系アラサー女子の恋ものがたり~3』
*桃乃の告白~(3)
⑦
(やだ。うそ、どうして)
と、わたしは部屋のなかにいるはずの真鍋さんがとつぜん目のまえにあらわれたので、すっかりパニックになっていると、真鍋さんに
「いったいどうしたんです。こんなところで」
と、聞かれたので、わたしは
「えっ、あの、それがその……ちょっと、寺島さんから、大介さんが風邪でダウンしているとうかがったものだから」
と、説明すると、真鍋さんは
「もう、寺島さん、おおげさなんだから」
と、いい
「もしかして、それで、わざわざ?」
と、わたしの顔をのぞきこむようにいってきたので、わたしは、顔のちかさにおもわず
(どきっ)
と、しながらも、そうだといい、もう体調はだいじょぶなのかと彼にたずねました。
⑧
すると、真鍋さんは、気まずそうに、片方の手をあたまのうしろにやりながら
「一日寝てたら、すっかりなおっちゃいました」
といい
「なんで、買い物がてらジョギングを」
と、手にしていたコンビニの白いビニール袋を軽くかかげてみせたので、わたしは
(病みあがりなのにジョギング?)
と、おどろき、ちょっぴりあきれてしまいましたが、でも、元気になったのならよかったといい、わたしは
「あ……そうだわ。あの、これ、よかったら」
と、いちおう、念のためにとちゅうのスーパーで買ってきていた、レトルトのおかゆやヨーグルト、パックいりのカットフルーツの盛り合わせなどを彼に渡して
「あの、それじゃ、わたしはこれで」
と、帰ろうとしましたが、彼が
「えっ! せっかくきたんだからよっていってくださいよ。それに雨も降ってきたみたいだし」
と、すすめてくれたので、わたしは
(えっ、雨?)
(けさの天気予報ではなにもいってなかったのに……)
と、雨が降ってきたことにおどろきましたが
「それなら少しだけ」
と、お宅にあがらせてもらうことになりました。
⑨
わたしは、真鍋さんのアパートの部屋のなかにはいるのはじめてだったので、ちょっと緊張していましたが
真鍋さんのほうも、よほどわたしが訪ねてきたことにおどろいたらしく
「ちらかってて、すいません」
〈つづく〉
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?