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シカゴ大学の最新研究よりわかる!「失敗」or「成功」より多くを学べるのはどっちか!?

【参考文献】Not Learning From Failure—the Greatest Failure of All

「失敗からいろんなことを学べる!若いうちはどんどん失敗しろ」

周りの大人たちからこう言われて育ってきた人も多いのではないでしょうか。

私たちは、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に対して、生理学的、認知的、感情的に強く反応します[文献1]。また、正の刺激と比較して、負の刺激はより多くの注意を促します[文献2]。

こいうった状況から、「成功」より「失敗」からの方が多く学べる印象を持っているのではないでしょうか。

しかし、シカゴ大学で行われた最近の研究[文献3]によると、

実際、人間は、「失敗」より「成功」からの方が多くを学ぶ可能性が高いのです。

主に次のような形で実験が行われました。

計1,674名の参加者が集められました。
・計5種の実験により、参加者は二者択一の問題に回答しました。
その後、参加者の回答から、正解または不正解を抽出し、次のグループに分けられました。
A:正解(成功フィードバック)した方のみを伝えられるグループ
B:不正解(失敗フィードバック)した方のみを伝えられるグループ

・なお、今回はいずれも2者択一の問題が出されたため、正解を教えられても不正解を教えられても、正しい答えが教えられたことになります。
・しばらく時間を置いた後に、再試を受けました。

その結果、上記デザインの計5種の実験において、

不正解を教えられた(失敗フィードバック)グループは、正解を教えられたグループと比較して再試のスコアが低い結果(10~30%減)となった。
・この効果は、「失敗から学ぶこと」の負担を減らした場合や、学習のモチベーションを高めた場合でも再現された。
・失敗フィードバックを受け取った参加者は、成功フィードバックを受けた参加者と比較して自分の選択肢を覚えていないことが多く見られた。
・参加者は、自身の失敗から学ぶことは少なかったが、他人の失敗から他人の成功と同じくらい多くを学んだ。

今回の結果のように、なぜ失敗から多くを学べないのでしょうか?筆者らは次のように考察しています。

1)人間は、自然界では、「大きな」失敗を経験した際に、将来にこれらを脅威として学び、回避することで生き延びてきた。そのため、人間には潜在的に「失敗=自我を脅やかすもの」という意識がある。
2)そのような性質により、失敗に目を向背けがちになり、フィードバックが提供する情報も見逃してしまう。
3)よって、失敗のフィードバックより学ぶのが難しい。

「失敗は重要」と頭ではわかっていても、人間にとって失敗から学ぶ行為は想像以上に難しいようです。

でも、せっかくだから、失敗からできる限り多くを学べた方がいいですよね。

では、失敗から学ぶにはどうすればいいのでしょうか。

筆者らは解決法を次のように提供してくれています。

1)失敗を他人事にする
例えば、
・自分がしてしまった失敗を、自分から切り離し、誰か他人が失敗している状況を思い浮かべる。その失敗の様子を見て学ぶ。
・自分が失敗をしないように、あらかじめ他人の失敗の情報を集めたり、聞いたりしておく。
2)脅威の少ない言葉でフィードバックを再評価する
例えば、
・自分のしてしまった失敗に対して、「最悪な失敗をしてしまった。もう二度と繰り返してはいけない。次、同じミスをしたら本当にバカだからな」のように自分で失敗をより怖いものものにしてはいけない(このような捉え方をしていては、失敗に付属する重要な情報に気づけない可能性がある)。
・代わりに「今回の経験から、このような条件・状況ではうまくいかないことを学んだ、次回同様の条件・状況になったら気を付けよう」のように言い回しを柔らかくして、失敗に付属する情報を捉えやすくすることがベター。

以上、失敗は、本来、人間にとっては脅威性のある存在のようです。

可能な限り、他人の失敗をよく見て、自分が同じ失敗をしないようにするのが賢い生き方かもしれません。

起こりうる失敗をできるだけ減らして、それでも失敗が起きてしまったときは、「自分の失敗を、第三者が失敗している状況に置き換えて見直す」「失敗を柔らかい言葉で置き換えてから見直す」のが重要なようです。

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