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虐待の後遺症には身体症状もある

虐待の後遺症は、精神症状が目立ちますが、見過ごされがちなのが身体症状の重さです。女性であれば、月経前不快気分障害(PMDD)が重度であったり、身体のあちこちが非常に凝りやすく慢性的疲労感がとれなかったり、頭のなかで常に何かを考えていて、多動状態が落ち着かないためか、眠いのに眠りになかなか入れない睡眠障害があったり、食欲に激しい波があったりします。

自律神経が失調気味で、常に体調面の調整がうまく効かないような感覚で過ごしています。虐待サバイバーが働けなくなる原因のひとつに、メンタル面以外に身体的な症状の重さも挙げられます。

自律神経が失調するとはどういうことか?

自律神経は、血管やあらゆる内臓器官を自分の意思とは無関係に調整してくれる神経です。呼吸器官や消化器官、体温調節機能といった、私たちの身体の生命維持機能をコントロールする役割を担っています。

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、基本的には人が起きて活動している日中の時間帯は交感神経が優位に働き、リラックスしている時や夜になれば、副交感神経が優位になります。夜は、副交感神経に切り替わり、睡眠に入りやすい状態に身体が整うといわれています。交感神経が優位な場合は、血管が収縮して血圧が上昇し、心身が活動的な状態になります。一方、副交感神経が優位な場合は、血管が緩んで血圧が低下し、心身もリラックスした穏やかな状態になります。つまり、この交感神経と副交感神経が必要に応じて切り替わり、体内のバランスが保たれているのが健康な状態ですが、必要に応じてうまく切り替わらない状態(自律神経失調症)に陥るとさまざまな身体症状が現れます。

虐待サバイバーは身体がリラックスを知らない

虐待サバイバーで身体症状が重い方は、この交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいっていません。子ども時代から常に戦闘状態だったため、身体がリラックスを知らないといった状態のまま日々を送っている感覚に近いです。夜になって副交感神経が優位になるはずが、交感神経が優位だったりして、常に身体が休まることを知りません。

身体症状への治療については、現時点の精神科医療だけでは対応ができない部分が大きいです。このため、トラウマ治療の技術をもった臨床心理士・公認心理師の方たちが実践しているSE(ソマティック・エクスペリエンシング)や、TFT療法(思考場療法)などで身体をケアすることでトラウマを治療する方法がいくつか開発されていますが、SE(ソマティック・エクスペリエンス)などの治療法は、保険対象外のため高額治療となっています。そこで、以下のトラウマ治療を保険対象内にしてもらうことを厚生労働省に呼び掛ける署名を実施しています。

私の場合は、セルフで実施できるTFT療法(思考場療法)に加え、若石鈴足法(じゃくせきりんそくほう)なども活用しています。詳細は、以下のサイトをご覧ください。若石健康法は、今や世界30カ国以上に広まり、WHOの認証も得て世界では保険の対象となっています。私の体験した感覚では、心理士さんが実施するSE(ソマティック・エクスペリエンシング)と同じくらい若石鈴足法はトラウマ治療に効果があると思います。解離も起きにくくなりました。

全国の若石サロンは以下に一覧があります。

https://www.jakuseki.com/salon-pro.html

また、科学的にエビデンスがあるわけではありませんが、虐待サバイバーには、PTSDが発症要因の1つと言われている難病の繊維筋痛症の方がとても多い印象があります。難病の繊維筋痛症の発症と虐待要因との関連については、今後の研究で明らかとなることを期待しています。

セリフでできるTFT療法(思考場療法)

最後に、セルフケアとしてできるツボ刺激のタッピングとして、PTSD(心的外傷後ストレス障害)治療やうつ病に効果があるという研究報告がいくつか出ているTFT療法(思考場療法)を以下に紹介します。

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上記のイラストは、タッピングのポイントを示しています(セルフケアの手順)。TFT療法(思考場療法)についての詳しい記事は以下を参照ください。

虐待の後遺症(主に精神的な症状)については、以下の書籍に詳しく書いています。精神科医の和田秀樹氏による監修・対談付き。


虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!