見出し画像

膝関節をはじめからていねいに

こんにちは。

前回までは膝の役割について説明してきました。

おさらいです。


膝にはMobilityとStabilityの2つの機能がある。

Mobility
脚の動きをスムーズにする
大きな力を生み出す
脚の長さを調整する


Stability
真っ直ぐ伸びて体を支える
強い力に耐える
衝撃を吸収する



ここからは上記知っておいた上で、膝の評価について考えていきましょう。


その前に、簡単な解剖のおさらいです。

膝に関わる組織を羅列してます。

重要度が低いものは省いてます。

聞いたことない組織があれば、ググってみてください。

①膝を構成する骨
・大腿骨
・脛骨
・膝蓋骨
(・一応、腓骨も)

②膝関節に関わる筋
・膝関節をまたぐ筋
大腿四頭筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)
ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)
膝関節筋
膝窩筋
薄筋
縫工筋
(大腿筋膜張筋、腸脛靱帯を介して)
腓腹筋
足底筋

・膝関節をまたがない筋

※私は①の骨にくっついていれば多かれ少なかれ膝の動きに関与すると考えております

-大腿骨に付着する筋
大内転筋
長内転筋
短内転筋
恥骨筋
大殿筋
中殿筋
小殿筋
大腰筋
腸骨筋
梨状筋
上双子筋
下双子筋
内閉鎖筋
外閉鎖筋
大腿方形筋

-脛骨に付着する筋
前脛骨筋
長趾伸筋
ヒラメ筋
後脛骨筋
長趾屈筋
長母趾屈筋
長母趾伸筋


-腓骨に付着する筋
長腓骨筋
短腓骨筋
第三腓骨筋

③主な靭帯
前十字靭帯
後十字靭帯
内側側副靱帯
外側側副靭帯
膝蓋靭帯(膝蓋腱)
膝蓋大腿靭帯(内側、外側)
斜膝窩靭帯
弓状膝窩靭帯
膝窩腓骨靭帯

④膝関節に関わる組織
半月板
脂肪体
滑液包
膝蓋支帯(関節包の一部かな?)
膝蓋上嚢
周囲の血管
周囲の神経
・・・




続いて評価です。

ここでは膝について確認しておくべき評価項目をとにかく羅列し、評価項目の1つ1つは細かく説明しません。


こんな見方、方法があるんだなぁって感じで知ってもらえればと思います。


そして、動作や姿勢の評価について、細かいとこは割愛します。


クライアント1人1人のニーズに応じてどの動作・姿勢の何を見るかが異なるので。



よくあるbasicな部分だけ、ポイントを絞ってお伝えします。



今後、治療や各論の話になったときに細かい動作の評価はお話します。



よくわからないところがあれば、個別でお話もしますのでコメントいただいてもいいですし、今後少しずつ説明もしていきます。


そして、これらを全てチェックするわけではなく、必要に応じてチョイスする必要があります。



そこも、各論に入ってから随時お話していきます。

〜膝の評価〜
※この順番通りではなくて良いと思います

【問診】

・機能障害の有無

炎症初見、疼痛、可動域制限、筋力低下、痺れなどの症状の有無を確認
疼痛:姿勢・動作による影響がある場合は要チェック
可動域:ひっかかり感、ゴリゴリ音も含める
筋力低下:訴えることは少ないかも、脱力感
↑の機能障害は、そもそも受傷機転があるのか?


・既往歴の聴取
膝周囲はもちろん、それ以外の関節、部位における外傷や病気、手術の既往について聴取

特に未受診の外傷や慢性的な疼痛、女性で出産歴があれば処置の有無についても確認しておく

関係ないと思われる、あるいは患者自身が関係ないと思っている既往歴でも、実は膝の機能に影響していることもあり得る
できるだけ細やかにチェックしておく


・現在及び今までの職業・趣味・スポーツ歴

【観察】
・体格
身長・体重・BMI:必要に応じて測る
周径:必要に応じて、炎症所見や疼痛がある場合は確認した方がいい
脚長差:形態的はもちろん、機能的脚長差も確認しておく

・アライメント
立位アライメント
前から:腫れ、内反、外反、膝蓋骨の位置・向き
横から:過伸展、屈曲位、膝蓋骨の高さ
後ろから:腫れ、シワの向き・角度

座位アライメント
膝蓋骨の向き、位置、脛骨の回旋度合い

計測できれば、必要に応じてFTAなどもチェック

※膝のみならず他関節の状況も確認

【Mobility検査】
・自動運動検査
屈伸の最大可動域
可動範囲のスムーズさ
可動の最大スピード
荷重位、非荷重位でチェック

・他動運動検査
屈伸の最大可動域:日本リハビリテーション医学会などが提唱する参考可動域や左右差を比較
可動範囲のスムーズさ:可動範囲において、動かす際に引っ掛かりや疼痛、抵抗感がないか確認、左右差を比較
可動の最大スピード:上記の延長線上で、速く動かすことができるかをチェック
上記において、可動時の引っ掛かりや疼痛、抵抗感がないか確認、左右差を比較
また、股関節との関係、足関節との関係もチェック
股関節屈伸+膝屈伸
股関節内外転+膝屈伸
股関節内外旋+膝屈伸
股関節複合運動+膝屈伸
足関節背屈+膝屈伸
足関節底屈+膝屈伸
・・・


【各関節の運動】
膝の運動は、正式にはいくつかの関節が関与しています

・脛骨大腿関節
関節副運動
-前後グライド(PA、AP)
-側方グライド(内側、外側)
-回旋(内旋、外旋)
-牽引
-圧迫

・膝蓋大腿関節
アライメント:膝蓋骨の位置(左右差を確認、上下/内外則偏位の有無)
自動運動:
膝屈曲/伸展時の膝蓋骨の移動
大腿四頭筋収縮時の上方移動、左右の偏位
他動運動:
グライド(内・外側、上下、斜め)
回旋(矢状面、水平面)
牽引(大腿骨から離れる)
圧迫(大腿骨に近づく)

・近位脛腓関節(間接的に遠位脛腓関節も)
アライメント:腓骨頭の位置
自動運動:膝屈曲/伸展時の腓骨頭の動き(あまりない)
関節副運動:
グライド(PA、AP、上→下、下→上)


【筋力】
伸展筋(大腿四頭筋)と屈曲筋(ハムストリンングス、必要に応じて内・外側を分けて評価)
・抵抗加えた等尺性運動:いわゆるMMT、もっとも簡便

・機器を用いた筋力検査:必要に応じて

・荷重位での筋力:後に説明する動作評価でチェック

【各組織の特異的な検査】
test名は省きます
半月板
滑膜ヒダ
膝蓋下脂肪体
感覚異常
膝蓋骨


【静的なStability検査】
主に脛骨大腿関節の靭帯に対する不安定性検査
test名は省きます

前方(前十字靭帯)
後方(後十字靭帯)
内方(内側側副靱帯)
外方(外側側副靭帯)
前内方
前外方
後内方
後外方
※それぞれ屈曲位、伸展位、不安定性がみられる位置があればその角度でチェック

【動作評価】
→ほど難易度高い
動作の中でMobilityとStabilityの両方をチェック

・その場での動き
しゃがみ・正座:
曲がらなければ膝窩にクッションやタオル挟む

立ち座り:
高い→低い
両脚→片脚だけ前へ出す→片脚浮かせる

片脚立位:
平地→不整地
外乱なし→外乱あり

・移動動作
歩行:
ゆっくり→早歩き
平地→不整地・坂
直線→蛇行・回転
普通→横歩き・後ろ歩き・斜め歩き
一定速度→緩めたり早めたり→急発進/急停止
短距離・時間→長距離・時間

階段:
2足1段→1足1段
手すりあり→手すりなし
低い→高い
ゆっくり→速く
少ない段差→連続

・パフォーマンス評価
スクワット:
浅く→深く
平地→不整地
両脚→片脚
無負荷→重りなど負荷

ジャンプ:
両脚→片脚
その場でジャンプ→前後左右へジャンプ、徐々に距離大きく
正面向いたまま→ジャンプしながら方向転換90度→180度→・・・

着地:
低いところ→高いところ
両脚→片脚

走行:
ジョギング→ランニング→ダッシュ
平地→不整地・坂
直線→蛇行・回転
一定速度→緩めたり早めたり→急発進/急停止
短距離・時間→長距離・時間



全部読んだ方、お疲れ様でした。

長くなりましたが、今日はここまで。

まだまとまっていないので、多分あとで追記・再編集します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?