夏のフィルム| saki
家事をひと通り終えたあとに頂く一服の朝のお茶時間は、わたしにとって余白であり余韻を味わえて、ほっと一息つける。わたしにとって心身がゆるみ、くつろぎをもたらす ひとときだ。
「こんなに心を掴んで離さないお茶をもっと知りたい!」
「お茶に纏わる人や、ものごとに触れたい!」
そう思い立ち以前、山野で気さくにお茶を振舞って下さった茶人に逢いに『弾丸日帰り滋賀旅行』を決行!
旅の交通手段は、ほとんどが車だ。途中仮眠や休憩をとりつつ運転を交代したり下道を利用したりしながら、運転は目が離せないが照準が絞れて目的地まで遂行できるのがきもちがいい。
交代して助手席から車窓を眺めると、街になったり奥深い山になったり…。景色も流れる川のように移り変わるので愉しい。
お土産をたくさん買って帰っても生鮮食品でない限り持ち運べること。
我が家は料理や飲水は湧水を使用しているのだが、行く先々で湧水を見つけては汲み、持ち帰って味わえるのも有難い。今回は移動に片道四時間で滋賀に到着した。
茶人は茶器、茶に纏わる道具を創意工夫し、手づくりで生み出されており、ギャラリーには茶器、茶葉を煎るもの、火を焚べる炉などの作品が並んでいた。
茶人が語るお茶や植物の話に耳を傾けていると山、森、川、田畑、野原…。映写機で映し出される自然の風景や映像を、わたしも一緒に観るような体感があった。
ただ話を伺っただけなのだが、植物で染物をしてみたり、新たに草花と出逢っては
「試しに乾かしてみるか…」
「いやこの植物は煎ったら香りが立ちそう…」
「出し殻は線香にできるかな…」
そうして茶人と共に野山を駆け回り自然と戯れる姿が、色鮮やかに映し出された。
暮らしの道具が自分の生活に馴染んでいく。
暮らしの道具が自分の色に染まっていく。
そんな追体験をしているようだった。
帰宅途中、琵琶湖を撫ぜるように車を走らせると、どこまでも広がる田園風景と静かに見守る山々。
もっくもくの大きなソフトクリームのような雲とその雲より高く、どこまでも広がる 青い空。
ガラスを悠々と越してくる日差しは肌とともに、心にも旅の出逢いや思い出、夢が焼き付く。
日々の暮らしの中で、できることから。
これまでも、これからも、今ここから。
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