記すということ|茉記
わたしの名前の一文字、「記」。
案外、気に入っている。
10代の頃だったか、父に意味をたずねてみた。
文字通り「記す」という意味が込められていた。
けれど、かえって「記す」場からわたしは遠ざかっていった。
わたし以外の家族は書くことが好きで、また長けていた。
‘わたしが書いたものは、いつも選ばれない’
そんな幼い頃のちいさな積み重ねは、ずいぶんと長い間、わたしの中に残っていた。
それでも「名は体を表す」ならば、人生のどこかで「記す」ことをした方がよいのではないか…とも感じても