HAKKOU/リレーエッセイ

暮らしに関するエッセイを世代も住むところも異なる5人がリレー形式で1日おきに更新します…

HAKKOU/リレーエッセイ

暮らしに関するエッセイを世代も住むところも異なる5人がリレー形式で1日おきに更新します。HAKKOU(はっこう)は発光・発酵・発行にかけたプロジェクト名。

最近の記事

  • 固定された記事

HAKKOU 5人のプロフィール

noteに来てくださり、ありがとうございます。 HAKKOUは5人のメンバーが1日おきに更新する、 リレーエッセイです。 (各エッセイのタイトル末尾に著者名を入れています) メンバー5人のプロフィールは以下です。 ◾️Kii(きぃ) 大阪府在住。珈琲焙煎業と施設職員。山羊座。 雑木林と海を眺められる家に家族と暮らす。 親戚と食器は多いが、口数と運動量は少ない。 ◾️莉琴(りこと) 東京都在住。美食・美容が好きな牡牛座。 趣味は文章を書くこと、本を読むこと、 あまり歩か

    • もうひとつの世界 | 莉琴

      10年くらい前にアフリカのケニアへ旅をした。 首都ナイロビから小さな空港へ行き、プロペラ機で1時間弱移動してホテル近くの空港に着く。 只、そこは空港とはいえ、だだっ広い土の上に線が引かれただけのようなところだった。 ホテルまでジープに乗って20分程ガタゴト揺られて移動するうちに動物たちが姿を見せ始める。 ゾウ、カバ、キリン、シマウマ、ハイエナ、バッファロー、ジャッカル…それぞれの縄張りはあるものの、日本の街中にハトやカラスがいるように「ふつうに」いた。 動物たちが檻も何の

      • お日さまとともに | Kii

        エッセイのテーマ「暮らしを綴る」に際し今一度、「暮らし」の意味を調べてみることにした。 【暮らし】 1 暮らすこと。一日一日を過ごしていくこと。 2 日々の生活。生計。 【暮】 1 日が西に隠れて暗くなる。夕方になる。ゆうぐれ。 2 一つの時期が終わりになる。終わりの時期。 昔、文明によって電気のエネルギーが家庭に普及するまで、一日の活動とは太陽が巡っている間のことできっと、日々の生活を表すのに「暮」と言う字が使われたんだろう。日没後の暗闇では、人の手で薪を焚いた

        • 記すということ|茉記

          わたしの名前の一文字、「記」。 案外、気に入っている。 10代の頃だったか、父に意味をたずねてみた。 文字通り「記す」という意味が込められていた。 けれど、かえって「記す」場からわたしは遠ざかっていった。 わたし以外の家族は書くことが好きで、また長けていた。 ‘わたしが書いたものは、いつも選ばれない’ そんな幼い頃のちいさな積み重ねは、ずいぶんと長い間、わたしの中に残っていた。 それでも「名は体を表す」ならば、人生のどこかで「記す」ことをした方がよいのではないか…とも感じても

        • 固定された記事

        HAKKOU 5人のプロフィール

          私の進んだ道|ひかり

          自分をポジティブかネガティブかで判断するとしたら、ポジティブだと思う。 あれこれ考え込みながらも、持ち合わせた鈍感さを良いように使って、美味しいものを食べている時は痛みを忘れるように、悩んだ末にはとても元気になることができる。 違う角度から見れば抜けているとも言えるのだが、それも良しとする。 ただこれは、私の現在の話である。 子供の頃から割と大人と呼んでもいいような年齢になるまでは、ほとんどネガティブだった。 いつもなんだか憂鬱な気持ちと共にあり、喜びもありのままに受け

          私の進んだ道|ひかり

          ともに いきる | saki

          子どもの頃、ふと、目に留まった植物に惹かれ名前も知らぬその草を手で掘り起こし、家に持ち帰り容器に土を入れて水をあげた。 その草に「ピー子ちゃん」と名付け、毎日眺めた。 ある日、根腐れしてピー子ちゃんは居なくなった。悲しかったけれど、その感情の奥にある心に触れた植物と過ごす日々は、言葉を交わした訳でも、目に見えたやりとりがあったわけでもない。 なのに、ずっと見守り、見守られていた。ただ、そばに居てくれた。柔らかな光に包まれる感触が、残っていた。 きづけば冷えた身体に、柔らかな

          ともに いきる | saki

          書いてゆく(自己紹介にかえて) | 莉琴

          文章を書くことが好きだった。 最も古い記憶は5歳のとき、1泊2日の林間学校から帰宅後、すぐに画用紙に向かい作文を書いた。 長文に驚いた母が先生に見せたところ、幼稚園だよりに掲載された。それがとてもうれしかったことを覚えている。 成長するにつれ、文章を書くことは宿題や受験など半ば義務的なものへと変化していった。 そこに好き嫌いは含まれず、評価されるであろう回答をただ記すだけで、いつしか書く楽しさは忘れてしまった。 ところが社会人になり、メールをやり取りする中でわたしの文章の

          書いてゆく(自己紹介にかえて) | 莉琴

          漂いあるもの | Kii

          私はコーヒーを焙煎している。 こだわっていることは、甘く苦味のあるコーヒーのために深めに焙煎するということと、有機か無農薬栽培されたものを選ぶいうこと。 コーヒー豆の栽培は、赤道から北緯南緯それぞれ25度が適していて、地球をぐるっと様々な国と地域で生産されている中、アフリカ・アジア・中南米などから、問屋さんを通じて1種類につき10kgずつ手に入れている。今のストックは6カ国分。 焙煎をするには初めに「ハンドピック」という作業をする。欠点豆や異物を除く作業のことだ。私の場

          漂いあるもの | Kii

          はじまりに。| Kii

          私は日頃、思ったり考えたりしたことを言葉にするのがゆっくりだったり、適した言葉が見つからず発せないまま会話が過ぎてしまうことがある。 感じた気持ちや伝えたいことを、声に出さないまま過ぎれば消えてしまうのかと言うとそうではなく、停滞しているうちに感情で湿って重くなり、田舎まんじゅうのこしあんみたいにみっちり留まってしまう。 一対一の会話なら幾分相手が合わせてくれるだろうけれど、グループでの話となると会話がどんどん展開されていき、話したいことが言葉に現れても発せないままに、き

          はじまりに。| Kii