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(14)利益や売上ばかり考える人はなぜ失敗してしまうのか

「目的工学は」

社会的かつ利他的な大目的の下にメンバーやステークスホルダーの目的群を調整し、ビジネスをデザインするという人間中心のアプローチ。それゆえ、「利潤の最大化」を目的としたアプローチを塗り替えることになる。

「目的工学における計画」

大目的やビジョンの実現を支えるものであり創発的かつダイナミックに策定されるべきもの。またナラティブ(物語)として共有され、全体のシステム変化に応じて柔軟に修正、更新される必要がある。

最初からすべて決めてしまったり固定したりしないで、まずは全体としてラフにイメージを共有し徐々に具体化していくのがベター。
そこではシナリオ的な発想やプロトタイピングが効果的。

「人間が何かを達成する過程について」

①物事を達成する道筋をタスク(作業)の積み重ねとみなし分業によって遂行しようとする考え方

②人間が何かをなすのは個々の意識的な努力、つまり目的と意志に基づく主観的行為の連携からなるとする。

目的工学研究所の考え方は②である。

「目的工学研究所の、結論は以下。」

良い目的が、良い会社、良い組織、良い事業、良いリーダー、良い人間関係を作る。その結果より良い未来が生まれてくる。

「モノづくりコトづくり」

既存の技術と資産を「つなぐ」ことによってまったく新しいビジネスモデルを生み出す、というコトづくりに見事に成功した。
現在はコンテンツに価値があるのではなく体験に価値がある。つまりモノ(コンテンツ)ではなくコト(体験)に価値。
コトづくりの中にモノづくりを埋め込む。

「バウンダリーオブジェクト」を埋め込む

自分と他者を分かつ「境界線」バウンダリーを超えて行動したり新たな関係性を見出したりする必要がある。相互作用(インタラクション)やイノベーションを創発させる媒介のことを「バウンダリーオブジェクト」と言う。
個人や集団、コミュニティが出会い対象物や記録(アーカイブ)、場などを共有しながら互いの共通点や類似点を明らかにするツールと言える

「物事が達成されるまでの2つのパス」

①タスクに分解されそれぞれを処理していくことで実現するという考え方(情報処理観)
②人間の主観的で意志的な行為の結果として実現するという考え方
(暗黙知の部分、属人的な部分として扱われてきた“実存的人間観)

「各プロジェクトの大目的→中目的(駆動目標)→小目的→タスク目標」

「ロジカルシンキング」

分析力を高めることはあっても、大前提を超えて考えることはしない。
つまり大前提は否定せず所与のものとして受け入れるため新しい知は生まれてこない。
画期的な問題解決やイノベーションを生み出すことは難しいといえる。

「実践的推論」

目的と手段の関係を追求していくのが実践的推論
3つの条件
⑴目的を動的に思い描く
⑵手段に関する知識を身につけ、それを活用できる
⑶実践する


実践あるいはプロトタイピングを通じて「何かおかしい」「しっくりこない」といった感覚が生じてくるもの。その際あらためて現実と向き合うことで、原因を突き止め、新たな問題を理解することが可能になる。と同時に新たな代替手段が必要となり、発見し、解決され目的の実現に近づく。
目的工学のアプローチはこのような一連の作業を繰り返していくわけだか、その過程の中で目的そのものが見直されることもある。
絶えず目的を更新していく。何か問題にぶつかれば「第三の道」を考え出すという弁証法的アプローチともいえる。

「デザイン思考」

プロジェクトを成功に導くには計画と実行を分ける従来の考え方とは異なる思考や態度が求められる。設定された目標に向けて、タスクを並べどうすれば最も効率的にたどり着けるか考える。それはゴールを念頭に全体をタスクに分解し、最短のプロセスを導き出すという意味で演繹的かつ、決定論的な作業。
他方、目的工学では目的に基づいて柔軟かつ「非決定論的」にプロジェクトをマネジメントする。つまり人間的な場としてプロジェクトをとらえる。そのための基本ツールこそ「デザイン思考」
現場の状況を認識し、「仮説→綜合→分析」のプロセスを繰り返しながらプロジェクトをクラフティングしていく。
別の言い方をすれば最初に計画を決定しそれを実行していくPDCAとは異なり動的で創発的な目的の連鎖を生み出すもの。

「形成的評価」

一般的プロセス評価といわれるもの。例えるならお客様がスープを飲んで評価するのが総括的評価で料理長がスープを味見するのが形成的評価。
目的工学で重要なのは形成的評価。
目的工学では、目的と手段の関係は状況に応じて変化するというダイナミックな前提に基づき、プロジェクトの要所要所でフィードバックを行い改善や向上、メンバーの成長を促すツールとして形成的評価を活用する。
つまり「お客様を幸せな気持ちにするために、おいしいスープをつくる」という目的に向けてスープをつくるプロセスを評価しフィードバックを行う。ですから、減点、加点主義でもない。
評価のタイミングとしてはプロジェクトの「始まり」「過程」「終わり」の3つのステージが考えられる。

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