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夜の瀬戸大橋も乙なもの[2022.4-5 サンライズGR⑩]


岡山駅のマリンライナーのりばにはたくさんの人々が列を形成している。
30分に1本という運転間隔や帰宅時間帯ということがそうさせているのかもしれないが、私が思っていたよりも繁盛している。

無事にというか、ぎりぎりに窓側の座席を押さえられたが、相当数の立ち客が見られ、改めて岡山ー高松間の移動需要の大きさをまざまざと見せつけられる。

そのような混雑状況の中、マリンライナーは岡山を発つ。
最初は岡山駅のゴチャゴチャとした線路を綱渡りのように慎重に進むが、それが終わると、比較的高速度の運転に移行する。

高架区間になり、家の明かりや街灯等が遠くまで見渡せて、恒星がちりばめられたようにも思える。
そのような区間も終わりに近づくのは、トンネルが多くなってくる頃合いである。山がちの地形になり、瀬戸内海の手前には児島こじまの街が広がるが、そこまで行けば再び平坦な地形になる。完全な平坦とは必ずしも言い切れないが。

そして、この児島を過ぎると、マリンライナー名物である瀬戸大橋の走行を見ることができる。
太陽が出ている頃、とくにサンライズの時間は言うまでもないが、さすが国立公園と思わせるような風光明媚な景色を魅せてくれる。これは実際に行ってみないと分からないだろうから、ぜひ一度は訪れることを強くお勧めしたい。

しかし、夜の瀬戸大橋もなかなか乙なものである。
海は漆黒であり、車窓を見ようとすると、自分の顔しか映らなくなってしまうが、海を渡った後が最大の見どころだと私は考えている。
四国へ入ってすぐのところには、発電所やコンビナート群があり、その明かりと海の漆黒が織りなす明暗がかなり幻想的、神秘的に我々の目に映る。このような風景は、最近では”工場夜景”という単語がつくられるほど、認知度が日に日に増していってるとのことだ。ここではクルーズ船も出ているという話を聞いたことがあるから、ぜひ興味のある方はこちらも合わせて訪れてみてはいかがだろうか。

列車は、左側車窓にその工場群を眺めつつ、左に大きくカーブをする。
針路を変えるとすぐに、坂出さかいで駅に到着。坂出を出ると、次は終点の高松で、10分強で到着する。

今回乗車したマリンライナーは岡山ー高松間をわずか55分で結ぶ列車だった。約72kmで55分はかなり速い部類に入るのではないだろうか。

地域住民の、そして観光客の足になっているこのマリンライナーはいつまでも安泰に走ってくれるはずだ。


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