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感情的緊張をうまく解消できなくなると、パフォーマンスが低下する

楠木建さんが推薦されている書籍、ピーター・センゲの世界的なベストセラー「学習する組織」の中に、「創造的緊張」と「感情的緊張」という言葉が出てきます。

創造的緊張とは、現状と目標との乖離に生じる緊張(エネルギー)のことです。現状と目標の二つが極めて近い距離にあれば、それほどの緊張は生まれません。

一方、現実と目標の距離が遠ければ遠いほど、緊張は強くなります。書籍の中ではこれをゴムバンドに例えて、遠いほどゴムバンドは伸びて、二つのあいだに引っ張り合う強力な力が生まれます。

この引っ張り合う力こそが、目標を到達しようとするエネルギー源です。

一方、その引っ張り合う力は、かならずしも目標に向かうとは限りません。なぜかというと、創造的緊張が大きくなればなるほど、それに比例して感情的緊張が大きくなるからだと説いています。

感情的緊張とは、創造的緊張により引き起こされる不安、心配、不信、落胆、絶望、悲しみなどの感情です。

一種の感情欠如が生じている精神疾患の方なら別ですが、通常の精神状態の人であるならば、この「創造的緊張」と「感情的緊張」は比例して生じるため、全く生じないということは起こり得ません(仏ほどの悟りを開いている方であれば、また別かもしれませんが)。

大谷翔平選手ほどの卓越した人物でさえも、メディアを通しては見えませんが、掲げている高い目標に対して想像を絶する感情的緊張が生じていることでしょう。だからこそエンゼルスは予防策を講じています。

この感情的緊張は、何かの拍子で一気に膨れ上がり、創造的緊張を凌駕してしまうことがあります。

その結果、たとえば鬱症状であったり、(本人自身もなぜこのような気持ちになったのかがわからず)以前まであったやる気が嘘かのように無くなってしまうことがあります。そうなると、パフォーマンスが維持されるどころか、仕事さえもままならなくなります。

女子テニス元世界ランク1位の大坂なおみ選手が鬱病で告白して休養したように、トップクラスの精神トレーニングをしているアスリートでさえも感情的緊張が凌駕してしまうのですから、どんな人でも他人事ではありません。

心は一度壊れてしまうと、完全に戻すのが難しくなったり、治療に長期の時間を要します。身体もそうですが、精神の安定も患ってからの治療ではなく、予防医学の重要性が説かれています。

その観点からも、スティーブ・ジョブズをはじめ名経営者が瞑想を取り入れたり、Googleなどのテック企業がなぜマインドフルネスを採用したのかは理解できます。

その他にも、ジム、ジョギング、アート鑑賞、美味しいものを食べるなど、日々大きなプレッシャーを受け続けている人ほど、隙間時間で自分なりのリフレッシュを意図的に設けていることが多いです。

どのスタートアップ企業も、高い目標を掲げています。創造的緊張が高い状態です。それを求めてみんな入ってきているので、その点については問題ありませんが、それに紐づく感情的緊張はまた別物です。

今まで受けたことがないプレッシャーに押し潰されてしまうことがあります。なぜかというと、感情的緊張というものは、可視化されている業務時間以外もずっと続くためです。高い目標というものは、ずっと心の中を占領し続けます。

だからこそ、お風呂に入っている最中にアイディアがひらめくなどの現象も起こります。1秒たりとも時間を無駄にしたくない気持ちが、より一層目標に近づけます。一方、何をしていてもそのことが頭から離れなくなるのも事実です。

朝ご飯や家族との時間など、どんなときでも心が囚われてしまい、今この瞬間に集中できない状態が生まれることがあります。

業務時間外という物理的なオフはあっても、精神的なオフが生まれなくなるケースです。公私混同がいけないという意味ではなく、この状態の感情をうまく処理できない人が現れます。あれほどやる気があったのに、という人が鬱症状などで仕事ができなくなる。という現象が起こるのはそのためです。

それは個人差があるため、「自分が大丈夫だからあの人も大丈夫」というものでもありません。自分が欲しいものは、ユーザも欲しがっていると思い込んでしまう落とし穴と同じです。

ある人には問題なくとも、ある人には問題が生じるケースがあります。

だからこそ、瞑想やマインドフルネスなどにより、意図的に今この瞬間に集中できるようにする。デフォルトモードネットワーク(雑念をし続けて無意識に思考が働き続ける状態)をオフにすることで、精神と思考をリフレッシュする。そうすることで、感情的緊張とうまく付き合うことができるようになります。創造的緊張のエネルギーを最大限活用することができます。

これもパフォーマンスを発揮するための、心理的安全性を確保する一つの手段です。

アングラーズでは、自社ならではのやり方でこの瞑想時間が生まれています。それは釣りです。会社側から強制している訳ではありませんが、チームメンバーで釣りを楽しむ釣り支援金も実験的に導入しています。メンバー同士が自発的に誘い合い、よく釣りに行って楽しんでいます。

知人のスタートアップ経営者にも、釣りで心身をリセットしている方、釣りに救われていると表現されている方が何人かおられます。

釣りでリフレッシュするメンバー

おそらく本能的に「今、リフレッシュが必要だ」と感じると、釣りに行きたくなるのかもしれません。休日はもちろん、なかには平日の業務後に釣りに行っているメンバーも珍しくありません。

釣りは「アクティブメディテーション(動的瞑想)」と呼ばれ、今この瞬間に集中できる瞑想効果があります。

自然の中で魚と向き合うことは、現代人の心をリフレッシュすることができる最高の手段です。釣りに行くと心が整い、仕事でも良い循環が生まれます。

釣り業界の課題解決に挑めるだけではなく、自然の中でリフレッシュしたい人にとっても、アングラーズは最高の環境と仲間が存在すると思います。エンジニアやデザイナーの方でご興味のある方は、ぜひお待ちしています。

 

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