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ドイツレースチームで働いて驚いたこと Top3

こんにちは、ドイツレースチームでエンジニアとして働く山下です。
僕は日本でもモータースポーツ業界にいました。しかし、車両システムサプライヤに所属しながら自動車メーカやレースチームと働いていました。レースチームで働くのは現在のチームが初めてで、しかもドイツ!!
色々驚いたこと、興味深いことがありましたので、Top3にまとめました!

第3位: エンジニアは多国籍、フリーランスが過半数

欧州のレースエンジニアにフリーランスが多いことは、渡航前から知ってはいました。日本を発つ前にお世話になったレースチームの監督さんから「欧州は年間契約の実力主義だから厳しいぞ!」とも言われました。現在、僕は無期限契約ですが、実際にチームのエンジニアの過半数は年間契約です。彼らとは基本的に、レースイベントの2, 3日前 (搬入日前) に合流して車両のセットアップを話し合います。そして週末のレースイベントが終わると解散します。ここではフリーランスエンジニアを二人紹介します。

レースエンジニア Pはスペイン人で陽気です。そしてDTM, Formula Eのキャリアもある経験豊富なエンジニアです。日本に行くと毎晩ラーメンを食べたがるので、僕の胃がもたれます・・苦笑

レースエンジニアBはベルギーの大学の教授です。イベント週末だけウチのチームで働きます。昨年は某欧州選手権を制覇した車両の担当エンジニアです。噂では週末にDJもやるとか、やらないとか・・・笑

その他、ドイツ、オーストリア、オランダ出身のエンジニアがおり、雇用形態も生い立ちも多様性が高い愉快な仲間たちです。ちなみにエンジニアだけではなく、ドライバーも多国籍なのでモータースポーツの共通語は英語です。

第2位: 目の前にサーキットとホテルがある

会社のファクトリから徒歩3分のところにサーキットがあります。全長4.2km以上、過去にはDTM(ドイツツーリングカー選手権)も開催されていたサーキットです。僕のチームはプライベートテストの過半数をここで行います。何かあればファクトリに戻れますし非常に便利です。ちなみにホテルも徒歩5分で行けます。遠方から来るドライバー、エンジニア、メカニックはこのホテルに泊まります。窓を開けると目の前はサーキットです。時々、走行会やガチのレース車両も走っています(写真はホテルの部屋から撮影)。
日本も富士スピードウェイがある御殿場周辺は多数のレースチームとホテルがありますが、ここまで条件が揃っているチームは少ないと思います。

第1位: フロントウィングに人が乗る !?

ファクトリーでの車両のセットアップ時の話です。メカニックまたはエンジニアがノーズを跨ぐようにして、フロントウイングに立ちます。この前は95kgの巨漢イタリア人が乗っていました。これは車両に荷重をかけてダンパー等の調整を行うのが目的です。正確に言えばフロントウイングだけで無く、コックピット周り、リヤライト周りにも人が乗り荷重をかけます。フロントウイングは軽くて頑丈なカーボンパーツです。ただ数センチの厚みしかないので、その光景を見て、カーボンパーツの強度に改めて感嘆しました。レース車両は、数百kgものダウンフォース(下向きの荷重)を受けて走行しています。そこから逆算すれば、95kgのイタリア人が乗るくらいで壊れるパーツではないと理解は出来ます。それでも不思議に思うのが不思議です。

F320 ダラーラのイメージ写真
https://www.as-web.jp/domestic/490094

番外編:タイヤのシールは剥がさない

走行前の新品タイヤを見ると、各タイヤ情報書いてあるシールが貼られていました。
「剥がさないの?」と同僚に聞いたら「走行中にタイヤ温度が上がると溶けて、燃え尽きるから問題ない!」と言われました。
故に、タイヤ交換直後のピットレーンではシールが付いたまま走行しています 笑

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