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~事業が発展しないたった一つの理由と解決策~

「企業でも個人でも事業を長く発展させたい」とは誰しも思うこと。
しかし、現実にはなかなかうまくいきませんね。

今回は、原点に戻ってこの悩みの構造を明らかにし、どうすれば解決するのかをお伝えします。

実は、ある一つのことが欠けているためにこの悩みが絶えないのです。
何だと思いますか?

ズバリ、“あり方”がないからです。
「何、それ?」と頭の中をよぎりませんでしたか?
そう思った方は、”やり方”ばかりに目が向いているのかもしれません。
ブレない自社(自分)軸と置き換えるとわかりやすいのではないでしょうか。

あり方はいろいろ。
人として、企業として、事業として、さまざまな角度からみることができますね。

  • 「なぜ?」

  • 「なんのために?」

  • 「なにをするのか?」

そして

  • 「どうなりたいのか?」

人を例にとると

  • 「人はなぜ生きるのか?」

  • 「生きる目的はなにか?」

  • 「そのためにはどんな生き方をするのか?」

  • 「生きていく中でどうなりたいのか?」

って誰しも考えることがあるでしょう。
それと同じで、会社にも事業にもあてはまる”あり方”が必要です。

この記事は、会社経営者と個人事業主の双方を対象として書いているので、ここでは会社と事業は同じものとみなしますね。

まずは、悩みの根本を探ってみましょう。

  1. 事業が長期安定しない理由はなにか?

  2. なにが背景として隠されているのか?

  3. どうしたらそこから抜け出せるのか?

まず、事業を継続的に成長させられない理由はなんでしょうか?
一言で言うと、目先の利益にこだわりすぎるからです。
利益をあげること自体が目的化しているから追いかけてしまう。
つまり、手段としての利益をあげた先になにを描いているのか。
ここがないんですね。

会社の目的は永続すること。
その中で、社員・パートナー(取引先)・顧客を幸せにすることで世の中に貢献すること。
そのために利益は必要。
しかも、より高い価値を提供し続けるには適正な利益でなければ続かない。
手段と目的をはき違えていることがわかると思います。

目先の利益を追い求める延長線上には急激な成長への欲がついてきます。
仮に短期間で右肩上がりになっても、かならずその反動はやってくるのに。

そうなのです。
人材、組織の形態、仕組み化などの構造自体の変化を余儀なくされるのですよ。
そこが間に合わない。

ここに、急激な成長からくる経営トップの傲慢さが加わることがあるのです。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」の発想に陥りやすい。
これ法則なんですよね。
昔の人はよく言ったものだと思います。
改めてかみしめてみるのはいかがでしょうか。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。 おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」

~平家物語より~

次になにが背景として隠されているのか?
一つは、最初に述べた”あり方”がないから。

「なぜ、この事業を自分がやるのか?」
「この事業をやる目的はなにか?」
「では、どのような事業にしていくのか?」
「事業を通じて未来になにを達成したいのか?」

この企業理念とかクレドという道しるべがないんですよ。
あっても形骸化しているケースが多いようです。
クレドは信条や志の意味。

  • ミッション…会社の存在意義・目的

  • ビジョン…たどり着きたいゴール、最終到達地点

  • バリュー…ミッションに沿ってビジョンを実現するための行動基準

で表します。
理念がないと、社内で向かう方向や価値観が共有されません。

組織は、考え方や価値観がバラバラの人たちが集まっただけではただの集団。
到底チームとは呼べないでしょう。
フリーランスでも、ブレない軸がないところに共感は生まれないのです。
共感がないと信頼関係をつくるのも難しいですね。
クレドの考え方や作成方法は、下記の書籍を参考にしてみてください。

あり方がない今の日本では、アレンジ力がなくなっている点も見逃せません。
言い換えれば”思考力の不足”です。
成功していた頃は、欧米から入ってきたシステムを日本流に加工していました。
日本人の流儀に合ったものに変えていたのです。
和魂洋才」とか「士魂商才」という表現で「……」

それが、現在は入ってきたものをそのまま利用しようとする傾向が強い。
文化・習慣・価値観が異なるところでできあがったものをそのまま取り入れるのはムリがあります。
仕組み化の前にコンセプトや感情をととのえる。それが日本流ではないか。
そのような思いです。

先ほど、持続成長する事業をつくれない原因の一つとして”目先の利益最優先”に触れました。
成果を出すのを急ぎすぎている感があります。
加えて、なるべく楽をしてもうけようとする風潮がはびこっている証拠かもしれません。
楽と効率を混同しているわけです。

成果という果実にも農作物と同じ法則が働きます。
「農場の法則」

春にタネをまき、水や肥料をやり、雑草を抜き、ていねいに育てる。
収穫できるのは秋頃。
時間が必要です。

二宮尊徳翁のこの言葉に集約されていると思います。

「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」を究極的に体現しているのが『年輪経営』
木は毎年一本ずつ年輪を刻みます。
環境に左右されずに。
目指すのは、景気や外部環境がどうであろうと毎年少しずつ成長する形態。 

さらに、”あり方”がないことの弊害はどういった形で現れるか?
その典型的な例が「企業の不祥事」です。
いつになってもなくなりませんね、データ改ざんなどのでっち上げが「……」

なぜ、うそをつかなければならないのか?
それは、目標必達という至上命令に踊らされてしまうため。
目標自体を目指すのは自然な行為です。
しかし、
なぜ、なんのために目指すのか、
達成後にはどのような景色が見えるのか。
ここがないんですよ、ブレない軸が…。
目標達成が目的化してしまっているわけです。

複雑な現代では、目標を達成するための方法は一つや二つでは難しい。
途中で作戦を変更せざるを得ない。
そのうちに道からはずれて、なにがなんでも目標達成にかじを切ってしまう。
迷子になっている状態。
あの〇〇電機も、△△モーターも、✕✕工業もその他諸々もそう。

では、理念があればどうなるのか?
その内容が大切ですが「……」
ポイントは「自社(自分)がやっている事業のなにが周りを幸せにするか?」

働く社員が幸せになる。
パートナー(取引先)とWin-Winの関係を築ける。
お客様にはファンになっていただける。
その結果、周りを幸せにすることで社会に貢献できることになる。

もちろん、組織の場合は経営者一人が腑に落ちるだけでなく、社内で共有しないと機能しません。
個人の事業主も行動で示せなければ落とし込めているとは言えません。

時間がかかります。
だからこそ、じっくりと取り組む課題です。

実は、その典型的な会社があります。
自分が知っている限りでは、頂点に立っている会社。
あのト◯タの会長もお手本にしている会社。
500人強の規模の会社に37万5千人あまりを率いるトップが教えを乞いにやってくる。

いい会社をつくる。
いい事業を行う。
ここで言う「いい」とは「良い」とは違うのです。
「良い」は、業績がよいことです。
「いい」は、業績だけでなく、周りの人たちの中で「あの会社(事業)はいい会社だよね。スゴイよね」と敬意をもって会話に出てくること。

伊那食品工業さんでは社員さんが素手でトイレ掃除をしています。男子トイレの便器の上にある立て札。
誰も強制しないのに自主的に毎朝掃除にいそしむ社員さんたち。
ピタッと後ろがそろった社員駐車場の車。樹木に排気ガスがかからないように前向き駐車です。
雨が降ったとき、自由に使える来客用の置き傘。雨が止んだ後にいつの間にか戻っているのが不思議。

最後に整理します。
ここに向かっていくには、

  • 長期を見すえ、計画を立てること。

  • 目先の利益を追いすぎて目を曇らせないこと。

  • 経営者は理念を明文化して自分や社内に落とし込むこと。

  • 短期的な急成長ではなく、毎年少しずつ成長できる体制を整えること。

避けるべきなのは、一足飛びに変えようとすること。
かえって混乱して逆効果になります。
今の立ち位置に合わせて一歩ずつ歩むことが大事です。

最初にあり方を決める。
そして段階的に実践することが、持続発展する安定的な事業をつくるコツです。
事業は長く見すえたいですね。




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