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ドキュメンタリーフィルム 『文字の化石』 が出来上がりました。

2023年10月、イタリア・ミラノで開催した個展/パフォーマンス『文字の化石』がドキュメンタリーフィルムになりました。ぜひご覧ください。

『文字の化石』

ディレクター/エディター:マーティン クーパー
フォトグラファー:エイドリアン ストレイ

パフォーマンス

パフォーマンスのテーマは「永遠」です。螺旋をモチーフにしたのは、それが示唆に富むかたち、つまり生と死、そして再生を象徴しているからです。加えてそこに自らの足跡を残し、我々はどこから来てどこへ行こうとしているのかという思い、いわば人間の歴史を記しました。

私は6歳の時、書を学び始め、以来ずっと書のスキルを磨いてきました。でも最近、筆を放棄しようと決めました。スキルからもっと自由になるために。筆で書くと、作品にかかる自力は70%、他力が30%くらい。でも筆の代わりに墨を入れたグラスを使うことで、その割合は自力50%、他力50%になりました。今はこの結果にとても満足しています。

個 展

ある日、個展の試作を見た友人は「まるで化石のように見える」と言いました。その時、作品のタイトルが決まりました。この個展のタイトルは「文字の化石」です。
グラスの墨を一気にキャンバスの上に放つ。墨が完全に乾くのに10日以上もかかることがあります。その間、自分に出来ることはただ待つのみ。こうして私にとってキャンバスは自然現象を喚起する場となりました。

展示空間は3つの廊に分かれています。右の翼には「月」を配置しました。月は常にそのかたちを変えています。新月から三日月、半月、満月….。総じて、右翼は月の世界です。
一方、左の翼には地上の生きものたちを配置しました。あらかじめ何を描くか決めていたわけではありません。解き放たれた墨の跡を見て、なにかの形に見えるものがあるだろうか?ああ、これは鳥に見える、あれは魚に見える、人に見える….。こんなふうにして左翼の作品たちが生まれました。

ある日、キャンバスに墨を解き放った時、そこに人の姿が現れました。それは大変興味深い出来事でした。早速、全部で12点くらいの試作をつくり、その中から3点を選び出しました。
もともとこの建物は公衆浴場でした。そしてこの展示空間は更衣室かシャワールームだったそうです。中央の廊には足跡の作品「人間の軌跡」があります。古代から現代まで、人間の歴史を象徴するものとして制作しました。それは同時にかつてここで入浴を楽しんでいた人たちへ、敬意の想いを馳せる意味合いもあります。
そして今、私もアーティストとして新しい足跡を残すため、前進し続けたいと思っています。

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