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最高のナンバー2になる方法 vol.9 緊急でないが重要なことに取り組む

中小企業の社長のアキレス腱は何だと思いますか?

結論から言ってしまうと「緊急でないが重要なことを先送りにしてしまうこと」です。

中小企業の社長の関心ごとの中心は毎月の売上です。ほぼそうです。
経営者としては当然のことです。

資金繰りに窮することがあってはなりませんし、投資効果を高めないといけませんし、毎月、売上の総額だけを眺めている訳ではなく、売上のポートフォリオの微妙な変化も注視しています。

大企業なら年間数十億円の赤字を出しても体力がありますから存続できますが、中小企業では売上が減り続けると倒産という可能性もあります。

1ヶ月という時間はあっという間に過ぎ去りますから、その間に売上のことだけ考えていても時間は足りないくらいです。

ただ、社長は売上のことだけでなく、それ以外のこと、例えば人材育成であるとか業務の効率化なども課題としてもちろん認識しています。

けれども、そんなことに時間を割いている余裕などないのが多くの社長の本音です。

経営で注力する対象は乱暴に言ってしまえば主にこの3つです。

・売上維持、拡大
・人材育成
・業務体制構築

この3本の柱をバランスよく高めて維持していくことが理想的な経営です。

このうち最も重要なのは言うまでもなく売上です。だから社長の関心ごとの中心は毎月の売上となる訳です。

社員の立場からすると、もっと他に考えるべきことがあるだろうと社長に対して内心不満を感じることもあるかもしれませんが、社員ひとり一人の希望や期待に完全な満足を与えることなどできませんし、売上が確保されてはじめて他のことを考える余裕が生まれるものだと理解してあげて欲しいと思います。

特にナンバー2を志す人はこれを理解しないといけません。

お金がないと何もできませんし、究極は私財を投げ打ってでも会社経営を維持しなければいけない社長の置かれている立場や責任を忘れてはいけません。

売上の心配をしている社長に、「職場環境を良くすべきです」と進言したところで社長には響きません。

嫌になったらいつでも辞められるサラリーマンと社長とは覚悟も責任のレベルもまるで違いますから目線も違います。社長を理解する出発点です。

大事なのはここから先の話です。

売上が大事だと理解しても、売上以外の大事な柱である人材育成と業務体制構築の課題を先送りしていると生じるのは、社員が疲弊したり、士気が下がったり、退職者が増えるようなことです。

そして世の中は刻々と変わり、今月売れていたものが半年後に全く売れなくなるということもあります。

勢いがある時はなにをやっても上手くいくかもしれませんが、その弊害もあります。

物事には必ず表裏一体の関係性がありますから、業績好調の時には犠牲にしていることがあり、内部体制を充実させるために営業活動が疎かになってしまえば本末転倒で会社は破綻します。

中小企業で攻守のバランスが整っている会社はあまりないです。中小企業は勢いがなくなるとあっという間に組織崩壊してしまいます。その理由は脆弱な土台の上にお城を造っているからです。

ではナンバー2は何をすべきかと言えば、この脆弱な土台を強固な土台に造り替えることです。

具体的に言えば、安定して売上を維持できる仕組みを作ることが先決です。

同時に、社長が先送りにしている課題を認識し、策を練り、いつでも実行できる準備をしておくことです。

安定して売上を維持できる仕組みを作れと言われて、

「いや、自分は営業とかマーケティングは苦手だから…」

こう思う人もいるかもしれません。

自分で売上を作れるのが理想ですが、必ずしも自分自身が営業で成果を出す必要はありません。

ところで、そもそも自社のビジネスモデルは細部に渡って理解しているでしょうか。(もしそうでないなら先ずは自社の理解を深める必要があります)

もし自分がバックオフィスなどで自分で売上を作れないのであれば、売上作りに貢献できることは何かを考えましょう。

営業部門が困っていることはなにか。
集客か、予算か、効率か、商材か、人員数か、開発やバックオフィスとの連携の不味さか、さまざまな要因があるはずです。

営業部門と話し合い、課題を整理し、バックオフィスとしてサポートできることは何かを明確にし、それらを少しづつ解決していくだけでも変わってきます。

あなたがバックオフィスだから営業のことは何にもわからない、無関心という状態では残念ながらナンバー2には到底なれないです。

売上作りは会社にとって血液のようなものですから、この血液の循環に無知で無関心ならその他のことにどれだけ知見や経験があろうとナンバー2としての活躍は見込めないと思います。

経営で注力する3本柱について先ほどお伝えしましたが、全てが相互に関連しています。

・イケイケ営業の会社は総じて内部体制が弱い。
・社員に営業目標もノルマも与えず、働きやすい環境作りにばかり意識が向 
 いていると必要な売上が確保できない。
・業務体制が整備されていても、仕事がなく、人材も育ってなければそれは
 ただの仕組みでしかない。

言ってみれば組織運営とはいうのは相反する出来事をバランスよくコントロールすることです。

ナンバー2は会社全体を見渡して、社内外に存在する大小さまざまな課題を認識して、社長を支えながらその解決に尽力するのが役目で、求められるのは問題意識と発見、その解決策を見出し、実行することです。

会社には売上作りを筆頭に優先順位をつけて対応するものが無限にありますが、常に優先順位の高いものばかりに対応していると緊急でないが重要なことにはいつまでも着手することはできませんし、そもそも意識が向かないと思います。

結果、いつもドタバタしていてもぐら叩きの場当たり的な対応に終始することになり、成長しない会社になります。

ナンバー2は社長が認識していても先送りにしている課題、社長ですら認識していない課題を常に頭の中に入れておかないといけません。

社長を補佐する立場に必要なものは、鳥の目、虫の目、魚の目です。

経営の3つの柱をバランス良く保つには緊急でないが重要なことにも取り組むことが必須です。


最後までお読みいただきありがとうございます。