親友フォルダ

私の高校の休み時間といえば　つまらない　それだけの時間だった。

一匹狼に憧れていたわけではない。そこそこ友達っ"ぽい"人もいたし、そんな"ぽい"人と群れようともした。その場ではなんとなく楽しいような気がしていたけど、休み時間終了のチャイムとともに口輪筋の疲労がドッと襲ってくるだけだった。自分に嘘ついちゃいけないね。

どうせつまらないなら疲れない方を選んだ。携帯の中で蠢く有名な人たちを目で追って、ヘ〜とかほ〜とかしていた。

いよいよ私には親友ができなかった。
いや、『こいつとは30年後も飲みに行って真面目な話をしていたいな』と思う男子もいるし、『私の結婚式の司会はこいつだな』と思う後輩くんもいる。私の国宝級にかわいいところも下水も全部受け入れてくれている彼らは完全に私の親友フォルダに入っていた。
でも彼らとは、なんやかんやあった。国宝級にかわいいところを見せてしまっているもんだから。
でもどう考えても一緒にいる時間が楽しすぎる。頭を抱えた末に彼らの理性を信じて、彼らの器のデカさに甘えるという選択をした。本当に楽しいから最近は地下の芸人さんが上裸で体をブルブルさせてるだけの動画を送りつけたり、私が作り出した座禅のピクトグラムを送りつけたりしている。
今は便宜上『ストレート親友。』のスタンスをとっているけど『なんやかんや親友？』が正解だ。

彼らを親友と表現するのはちょっと違和感が残る。

バディっていうのはどうです？
バディなら良いよね？

二人のデータを海猿フォルダに移した。

大学生となった今、高校時代が嘘みたいに気の合う友人が二人いる。安心してください、女（にょ）ですよ。『イエティみたいな父を持つ慈しみの感情を理解できない奴』と、『トイレの個室で牛丼を食べたと語った後息継ぎもせずに彼氏ができた報告をしてきた奴』だ。知り合った初期の時点で「これは彩度の高い親友フォルダになるな」と思った。

一度整理しよう。草間弥生の色調の親友フォルダ、ほのかにかほる海猿フォルダ、あと海猿予備軍フォルダが最近新設された。いいねいいね。中学時代の友達は1人を残してゴミ箱にいれたよね？うんうんそろそろ復元期間も終わる頃。断捨離断捨離。

ちょっと一回バックアップとっとこっか。私も人間ですから。ね。何が起こるかわからないですから。ぺ。