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イギリス:イースターのパンケーキ

今週末の日曜日はイースター。キリスト教で、キリストの復活を祝う日の事だ。

もう日本にもかなり浸透したと思われるこのキリスト教の祝日は、年ごとに日にちが変わる移動祝祭日だ。コロナ渦なのでなんとも言えないが、東京ディズニーランドなどは、コロナ前まではイースターのイベントをやっていたと聞く。輸入菓子屋の店頭で、イースター用の卵型をしたチョコレートなどを見かけることもあることと思う。語学学校に通われている方でキリスト教地域の言葉を学習されている方の中には、先生からイースターの風習について聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれない。


そのイースターの期間は長く、一か月半ほどに及ぶ。カトリックではイースターの四十一日前の火曜日のカーニバルから始まり、翌日の灰の水曜日から四旬節という、祈りと断食と慈善を旨とした、キリストの苦しみを分かち合う意味合いのある時期が始まる。四旬節には、何か人のためになることを実行したり、好きなお菓子を絶ってみたりと何らかの工夫をして過ごす人たちもいる。


そのカーニバルという四旬節の前日の火曜日は、ブラジルやアメリカ南部の様にパレードを行い華やかに祝う国もあれば、仮面舞踏会の様な衣装を着てお祝いをするイタリアのような国もある。四旬節前にこのようなカーニバルの様なイベントがあるのは、四旬節で食事の節制をする前に、卵や牛乳、油といった贅沢にあたる食料を使い切ってしまうためにごちそうを用意して皆で集まって食べる、という風習があるようだ。イギリスでは「パンケーキ・デイ」と呼ばれる素朴なイベントがある。


パンケーキ・デイでは、小麦粉と卵を使ったパンケーキを焼くのだが、イベントとしてはそのパンケーキを、フライパンを使って上に放り投げてひっくり返し、その回数を競うというものがあるそうだ。町や村で行事として行っている所もあれば、自宅でひっくり返す回数を競うチャレンジを行ったりするそうだ。ミュージカル「ビリー・エリオット」が世界ツアーを行った時、イギリス人による舞台公演とあって、海外で迎えたパンケーキ・デイを、開演前の舞台で出演者やスタッフたちがパンケーキをひっくり返して祝ったと報道されていた。日本のバラエティ番組でもこのイベントに参加する人がいたり、とテレビでご覧になった方がいらっしゃるかもしれない。


イギリスのパンケーキは、近年日本でも有名になったオーストラリアやアメリカのふっくらとしたパンケーキや日本のホットケーキとは異なる。むしろクレープに近く、薄くてもちもちとして食べやすいものだ。味付けもシロップや生クリームではなく、スタンダードなものはレモン汁とグラニュー糖のみである。このレモン汁とグラニュー糖の組み合わせは非常に美味しいもので、熱々に焼けたばかりのパンケーキに振りかけてくるっと丸めると、余熱で砂糖がレモン汁に溶けて、優しい甘酸っぱい味を醸し出す。

大分以前だが、様々な国の学生が集まって自分の国の名物料理を披露するイベントに参加した時、イギリス人学生たちがこのパンケーキをふるまっていた。会場にホットプレートを持ち込み、自分たちのテーブルの前にならんだ人たちの目の前でパンケーキを焼き、レモン汁とお砂糖をかけてふるまっていた。「他の国の料理と比べるとシンプルだけど、美味しさでは負けていないと思う」と、実際に調理に当たった学生さんが言っていた。パンケーキには確かに派手さはないが、美味しさと素朴さでは他に負けない存在感を醸し出していた。


このパンケーキ、作り方が比較的簡単で、おやつにするのにも最適だ。2022年のパンケーキ・デイは3月に終わってしまったが、レモンと砂糖でさっぱりと食べられるので、暑い夏のおやつとしてもおすすめしたい。以前作ったときは、支度に20分、家族が完食するまで5分だった。


レシピは以下の通り。


<材料>

小麦粉 100g
卵(大)2個
牛乳 300ml
油  大さじ1
塩 ひとつまみ
レモン汁 お好みの量
グラニュー糖 お好みの量

1. 小麦粉をふるう

2. ボウルに小麦粉と卵、牛乳、油、塩を入れ、滑らかな生地になるまでかき混ぜる。

3. 30分寝かせる(寝かせるとより滑らかな生地になるが、このまま焼き始めても良い。)

4. フライパンを中火であたため、油をしみこませたキッチンペーパーでフライパンに油をひく。

5. 生地を薄く流し込み、フライパンのサイズまで広げる

6. 片面を一分焼き、ひっくり返してもう一分焼く。

7. 焼けたらお皿に積み重ねていき、冷めないようにしておく。

8. お皿にパンケーキを広げ、温かいうちにレモン汁と砂糖をふりかけ、四つ折りにするか、丸める

(レモンやお砂糖が苦手な人は、お好みの味付けでどうぞ)


出典:


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