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Leica M Typ240を買うまでに考えたこと。

あのメーカーは肌の色がきれいに出る、だの
あのメーカーは記憶色寄りだ、だの
あのメーカーは演色性が云々、だの
記憶色、とか演色性、とか、初見ワードのオンパレードや!!
デジタルカメラの「色」というテーマで、オフ会開けると思います。
モノクロについても、好みは十人十色。
モノクロだけど。
人間の感性って素晴らしい。

つまるところ、写真好きの人が使う機材には、その人の好みが反映されると思います。
なお後々出てきてアレなのでまず書きますと、私のメインカメラはLUMIX DC-S5です。
今日は、Leica M Typ240を買うまでに考えたこと、について書く。

Leica M Typ240を携え外出し、初めて撮った写真。空が綺麗だった。レンジファインダーに慣れてないので右端に余計な街灯が入ってしまった。

Leica

レンズの物理的特性と、ソフトウェアを含めたシステムによる絵作り思想。
エンジニアリングなので、思想、と言いつつ“中の人”たちは数値的(定量的)に扱っているであろう。
一方で、ユーザ目線では、「好み」という、いかにも定性的な特徴で語られる。
取り敢えず今回の文章の中で、各社が、作者が、思いを込めたその写真を『画』と呼ぶ。

さて、LeicaにはLeicaの画、があると思います。

但し、具体的にどうだ、と言葉にして語れるほどLeicaのことを知らない。
取り敢えず、なんか他と違うぞ、という、感覚。
色々な作品を見て、良いな、と思って、撮影したカメラを見たら、Leicaだった。

気になったら調べないと気が済まないタイプなのでLeicaについて色々調べるようになった。

Leicaの現行ラインナップはこんな感じ。(ライカのHPでの呼称を使用。「システム」ではなく「型」の呼称の方が一般的な気もする)

  • ライカSLシステム

  • ライカMシステム

  • ライカQシリーズ

  • コンパクトデジタルカメラ(V-LUX/D-LUX/C-LUX)

  • ライカSシステム

  • ライカゾフォート

  • ライカCL/TL2システム

そして、かつて、フィルム一眼レフのRシステムもあった。
Leicaについて調べるうちに、まずは何かLeicaレンズを使ってみたくなった。
三現主義的に、使ってみないでLeicaがこうだ、と断じることは許されない。
比較的入手しやすい、とされるRシステムのレンズである、Summilux-R 1.4/50(3-CAM)を買った。

なお、Rシステムのレンズは、確かに単体の価格で見れば入手しやすい。
しかし、良い状態の個体はなかなか出てこない。
もしこの文章を読んで頂いている方で検討中の方がいらっしゃるなら、こう言いたい。
購入は実物見てから。マジで。
難しければ、信頼のおける店のオンラインで。悪いことは言わない。

自宅に届いたSummilux-R 1.4/50の重厚感に心ときめき、LUMIX DC-S5にくっつけた。
やっぱりレンズの個性は開放だよね、などという軽い気持ちで撮影して、驚愕した。

ああ、これがLeica(のレンズ)か。

ボケの絶妙な滲み感というか、形あるものが次第に溶けていき無に帰す、その描写。
以前は、みんなLeica、Leicaって言うやん、って思ってたのに、気が付けば自分がそっち側になっていた。

Leica Summilux-R 50mm解放。カメラはLUMIX DC-S5。
サクッと見つかったのがこの写真しかなかった…。

Leica M system

Summilux-R 1.4/50を通じてデータ化された景色を眺めニマニマする一方、気になることがあった。
Summilux-R 1.4/50は絞り羽根が6枚。
絞り羽根の枚数が多いほど偉いとは思わない。
だがしかし、初代Summilux M 50mmの前期型、16枚。
現行Summilux M 50mmでは枚数は減っているが、それでも9枚。
6枚、というと、例えばSuper-Takumar 55mm F1.8なんかと同じ。
普及価格帯レンズと枚数一緒?と思うと少し訝しく思った。

そこで、調べてみると、Rシステムの時代、当時の会社名はLeicaではないが、Leicaは苦難の時代だった。
ということは、Rシステムは何らかの制約下で開発されたのではないか。
Leicaが技術を遺憾なく発揮し育ててきたのはMシステムなんじゃないか。
そう思うと、Mシステムを知らずしてLeicaの何たるかなど分からない気がしてきた。

果たして、店舗のデモ機を触った時に、その後の購入は決まっていた、のかもしれない。
時期的に、そのデモ機はM10だったと思う。
初めて手に取ったその機械の、しっとりとした重量感が忘れられない。
Leicaという赤いバッヂに心が負けた部分もたぶん、ある。
わざわざ都会に出向いたものの、レンジファインダーの使い方を知らなかったので、その時は何もできなかった。
ただただ良くわからない、べらぼうに値の張る機材を壊さないように、そっと置いた。

Summarit f=5cm 1:1.5で撮った山中の一枚。見た目以上に打ち捨てられた枝が浮かび上がった。

でも、それからも、Leicaの作例を見るたびに、踊る心を鎮めることはできなかった。
少し憂いを帯びたような雰囲気。
エッジが目立ち過ぎない、必要十分な解像感。
滲み、溶けてゆくボケ。
手に入れたい。あわよくば、自分もこんな写真を目指したい。

Leica M Typ240

正直なところ、M11が販売されている2023年の感覚からすると、UIは今一歩な気がする。
如何せん、10年前のカメラなのだ。なのだ、ってなんだ。
もっと言うと、LUMIXのUIはバツグンに良い。
そんなカメラに慣れていると、他のどのカメラも多少違和感を感じる。
M Typ240の外観はシンプルで、天板の物理ダイヤルはシャッタースピードしかない。
なお、後継機種はISO感度のダイヤルがある。
やはりISO感度は一回のアクションで変えられた方が良い。
それでも、結局、M Typ240を欲した理由は、やはり、その画。
同じMシステムのデジタル機でも、機種ごとに画が違う。
色々な作例を見ていて、自分の目に一番馴染む画がこれだった。
なおネットの作例、RAW現像してるかも。でもまあ良い。

そういえば、動画機能は不要だったのでTyp262でも良かった。
色空間の違いもあるが、自分の環境を考えれば、それほど重要じゃない。
むしろ既に両機とも市場に出回る個体が少ないので、手に入るならこだわりは無かった。
本当は、ボディを中古で買いたくは無かったのだけど。

Summicron 50mm。日本だと第三世代と呼ばれるレンズ。解放。
周辺減光が凄い、のはフィルムモードにした影響かも

まとめ

自分が好きな絵作り(画)を求めていたら、Leicaという地に辿り着いた。
その地を色々と歩き回って、居心地のいい場所を探した。
それがLeica M Typ240であった。
そんな感じでしょうか。
まとめ、と言いつつ新しいことを書きますが、Mシステムのレンズは全てMFです。
このカメラを使って、スッと合焦するAFの恩恵から離れて、自分が撮りたいと思った感情と向き合い、その景色の鮮度を閉じ込めたい。
何なら、レンジファインダーはスナップに向いてるらしいけど、『撮る』という行為に時間をかけたい。
そういいつつ、存分にスナップも楽しみたい。

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