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2019年6月の記事一覧

疾風の荒野

これは戦争だ
誰にもわからぬ わたしによる自身への戦い
とめどなく溢れでる言葉を手のひらで掴め
指先で繋ぎ合わせろ
吐きだして倒れても
はいずり回れ
死なない身体に鞭を撃て
不確定な未来に過去を並べて
陳列した記憶を崩すことなく言葉にしろ
生活が落ち着いたら梅を漬けよう
残されていくあなたのために
死ななくても別れがあることを
大人になったわたしたちは知ってしまった

千年にひとりの才能じゃな

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臍帯

燃やしてしまうかも
あなたの広げた手の 指先を

小指に糸を結びつけて
ガソリンの重たい香り湿らせて
わたしが指先で摘んだ糸端から
マッチで着火

同じ人間ならわかるのに  違う人間だからあなたとは思考が溶け合えない

「燃やすよ。」
ゆっくり火を着けて
赤い糸
目に見えぬから
求める
「遺伝子?」
そう、配列
血の煌き
赤の
燃える
融けた ふたつの体温

調律の正しい反響

眠れないといえば労働が足りないせいだと言われ、そうか自分は怠け者なんだと知る。人類の役に立ちそうもないのでなるだけ静かに呼吸をした。身体の重たい朝、満員電車、理不尽な叱咤、付き合いという名の無料奉仕、負けるな負けるな負けるな。
そう唱えるたびに何と戦っているのか分からなくて泣きそうになる
そういうの、重たいんだよね。うざいっつーか、めんどい。
部屋とか片付けなくていいから。なんていうか、問題なにも

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