調律の正しい反響

眠れないといえば労働が足りないせいだと言われ、そうか自分は怠け者なんだと知る。人類の役に立ちそうもないのでなるだけ静かに呼吸をした。身体の重たい朝、満員電車、理不尽な叱咤、付き合いという名の無料奉仕、負けるな負けるな負けるな。
そう唱えるたびに何と戦っているのか分からなくて泣きそうになる
そういうの、重たいんだよね。うざいっつーか、めんどい。
部屋とか片付けなくていいから。なんていうか、問題なにもない子がいいんだよね。
本気で人のこと好きになったことあるの?
きみはおかしい。
爪くらい塗れよ、女だろ。愛人になったら整形させてあげるよ。
人を大事にしない人は、誰からも大事にされないんじゃないかな、さよなら。
なにもかもがうまくいっていると思うな。お前みたいにぼんやり生きてりゃ楽だろうね。
そんなの君じゃない。汚い言葉は君じゃない。僕の知らない君は君じゃない。
結局はかまってほしいんでしょ?うざい。
全部あんたのせいじゃん。気持ちわるい。マジで切ってんの?
だんまりをする壁は頑丈に見えるらしく、皆、心の底にある本当の刃で刺してくる。
出血多量で溺れる。
憤怒なんて感情は最初から存在しなかった。
ただ、痛かったということ伝える気力すら出なかった。
そしてひたすら忘れることができるよう、何てことない顔をして、忘れたように振舞った。
壁は高くて気高くて頑丈でまっさらでゆるぎなく雨にも風にも刃にも恐れることなくそこにあり続けなければなりません。人々が安心するために空間を遮断しなければなりません。
そういえば読んでいない本がたくさんある。あの本はつまらなかったよ、なぜあんなものがベストセラーになったのか意味わからない。ささやかれ、そのままリピートした。
読まずに弾圧した罪。
死に向かう覚悟をした者、死に向かうべく団結した者
違う、生まれた頃から死に向かっているんだ
生きているつもりで、昨日よりも確実に死んでいる。
わたしの罪
食べてしまったこと、まぐわってしまったこと、生まれてきたこと、
あなたは?
箸でほろほろに崩れた白身魚みたい
脆い土壁
ねぇ、あなたは?

いままでわたしはとてもラッキーだった。
人を殺めずにいられたのだから。

#詩 #現代詩 #自由詩

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