ぎゅうたろう

ヒルシュスプルング病(先天的に腸の神経がない病気)で大腸を摘出しています。0歳のときか…

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ヒルシュスプルング病(先天的に腸の神経がない病気)で大腸を摘出しています。0歳のときから大腸がない人生、そろそろ半世紀になります。日常の困りごとや感じることをつづっていきます。誰かの何かの参考になれば、またもし同じような境遇の方、コメントなどいただければ嬉しいです。

最近の記事

ヒルシュスプルング病 腸はこの先どうなるの?

私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 根治術をしたのは今ほど医療が進歩していなかった約50年前のことで、当時は「手術はうまくいったけど大人になるまで生きられるかわからない」と言われたそうです。 幼い頃は体が弱く、腸炎や腸閉塞を繰り返して何度も何度も入院し、人の3倍は頻繁に風邪にもかかっていたそうです。両親の苦労も相当だったでしょう。 それでも、高校生の頃から体は急に丈夫になり、大腸がないハンデはほとんど感じず過ごせていました。

    • ヒルシュスプルング病 記録の重要性

      私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)と小腸の一部をとっています。 昨日、X(旧Twitter)に、「ヒルシュスプルング病で手術を受けたとき、本人は赤ん坊なのでたいへんな時期の記憶がない、だからぜひ親御さんが記録を残してあげてほしい」と書きました。 今回はその話を少し掘り下げてお伝えしたいと思います。 ヒルシュスプルング病は先天性の病気で、排便が異様に困難になるため新生児のうちに発見されることが多いです。まれに数年以上見過ごされるケースもありますが、いずれにせよ

      • ヒルシュスプルング病のその後、大人になってからしんどいこと

        私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 ヒルシュスプルング病は先天性の病気であり、ほとんどが赤ん坊のうちに発見され、物心つく前に治療が「終わる」ことが多い子どもの病気です。 治療(手術)の後は、人より腸が短いというハンデを背負いながら生きていきます。 今回は、そのしんどさ、大人になってからのしんどさについて書いていきます。 1.マイナーな病気であるゆえに分かち合える機会が少ないこと ヒルシュスプルング病はマイナーな病気です。 患

        • ヒルシュスプルング病なのに難病の認定ができない

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 今回は、ヒルシュスプルング病なのに難病の認定ができない、というお話になります。 ヒルシュスプルング病(全結腸型および小腸型)は、今から約8年前、平成27年より難病医療費助成制度の対象(指定難病)となりました。 すごく大雑把に言うと、これに認定された人はヒルシュスプルング病の医療費の負担割合が2割になったり月の支払いの上限が設定されたり、また携帯会社の割引があったり自治体によっては助成金が出た

        ヒルシュスプルング病 腸はこの先どうなるの?

          低FODMAP食を意識する

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)と小腸の一部をとっています。 前回の記事では、大腸全摘とSIBO(小腸内細菌増殖症)の関係について書きました。 大腸を全摘していると、本来細菌が少ないはずの小腸内に細菌が多く存在し、さまざまなおなかの不快症状を引き起こしているのでは、という内容でした。今回はその続きになります。 SIBOを改善するには、抗生物質を服用することのほかに、食事に気を付けることが有効らしいです。それが「低FODMAP食を意識する」ことになります。

          低FODMAP食を意識する

          大腸全摘とSIBO

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 今回は、SIBO(シーボ:小腸内細菌増殖症)についての内容になります。 私にSIBOと思われる症状があるため調べているのですが、SIBOはまだ比較的新しい概念であり、研究途中の分野のようです。また、大腸全摘との関係を示す文献なども見つけることができませんでした。 この記事は、あくまで私見や個人的体験に基づく内容となることをご了承ください。 SIBOというのは、Small Intestina

          大腸全摘とSIBO

          エレンタールの進化を願う

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 今回は、成分栄養剤「エレンタール」についての内容になります。 エレンタールに縁のない方にはちょっと退屈かも知れませんが、最後までお読みいただければ幸いです。 一般にはあまり馴染みのない薬だと思いますが、エレンタールは今から40年以上も前からある成分栄養剤です。 タンパク質がアミノ酸の形まで分解されており、消化をほとんど必要とせず栄養が吸収できます。 腸に負担がかかりにくいため、クローン病や潰

          エレンタールの進化を願う

          ヒルシュスプルング病の診療科

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 今回は、ヒルシュスプルング病はどの診療科で診てくれるのか、について書きたいと思います。 ヒルシュスプルング病は先天性の疾患です。 まれに大人になるまで判明されないケースがあるものの、ほとんどが生後1年くらいまでに診断されます。 そして、腸の神経のない部分を手術で切除しなければなりません。 診療科としては、子どもの病気なので小児科、小児科の中でも手術をするので「小児外科」となります。 なお、

          ヒルシュスプルング病の診療科

          大腸全摘と便漏れ

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 今回は、大腸を全摘した後に起こりやすい問題、便漏れ(便失禁)について書きたいと思います。 大腸は、消化吸収された食べ物のカスからさらに水分を吸収し、便をほどよい硬さにしています。 大腸がないと便の水分が十分吸収されません。便は泥状か水様になってしまいます。 そして、この性状は漏れやすい。 大腸全摘後は便漏れが高確率で生じます。一般に摘出後1〜2年は頻繁に起こり、年月とともに徐々に落ち着いて

          大腸全摘と便漏れ

          ヒルシュスプルング病の術後の付き物 〜腸閉塞

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 ヒルシュスプルング病の術後について、前回の記事では腸炎が付き物になってしまうという内容を書きました。 今回はもうひとつの付き物、腸閉塞について書きたいと思います。 腸閉塞と言ってもいろいろ種類がありますが、ここでは開腹手術後の癒着性腸閉塞を前提に話を進めます。 ヒルシュスプルング病に限らず、開腹手術、とくに腸などの下部消化管の手術を受けた人のほとんどに腸管癒着が生じると言われています。 癒着

          ヒルシュスプルング病の術後の付き物 〜腸閉塞

          ヒルシュスプルング病の術後の付き物 〜腸炎

          私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。 ヒルシュスプルング病は生まれつき腸に神経がない病気で、治療は手術となります。 腸の神経のない部分を切り取るのですが、それが直腸のあたりだけで済むのか、小腸の方まで切らなくてはならないのか、それは人それぞれです。 当然、切り取る腸の範囲が広いほど体へのダメージは大きく、手術したらそれで解決というわけにはいきません。 腸を広範囲に切った後に起こりやすいもの、そのひとつが腸炎です。 ヒルシュス

          ヒルシュスプルング病の術後の付き物 〜腸炎

          シモの悩みは難しい

          私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。 前回までのトイレや排泄音の話にちなみ、このような悩みの言いづらさについて書きたいと思います。 ヒルシュスプルング病や大腸全摘の話と少し離れるかもしれませんが、実際日常で苦労するのはこの問題なのです。 「シモの話」は、一般的に笑いをとる目的であげられる傾向があります。生殖(性)や排泄は誰もが持ちつつも隠しておくもの、それが暴かれるときの面白さというのは万国共通のようです(もちろん品が必要ですが)。 シモの話は

          シモの悩みは難しい

          大腸を全摘した人の排泄音

          今回はタイトルが露骨になってしまいました。 私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。 前回の記事では、大腸がないことで社会生活上もっとも気を遣うのが腹鳴とトイレの確保であるという内容を書きました。 ただ、トイレを確保できたとしても、さらに気を使わなければならないことがあります。 それは「排泄音」です。 私には大腸がないため、便は水分が残っており固まっていません。水様もしくは泥状しか出ません(なので検便のとき苦労します)。そして、前回お話ししたように

          大腸を全摘した人の排泄音

          腹鳴とトイレの確保

          私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。 前回の記事では、大腸がないことで小腸にガスがたまり腹鳴がすごいことになる、という内容を書きました。私の腹鳴は雷の爆音レベルです。 この腹鳴は社会生活に相当の支障が出ます。 音の大きさが半端でなく、しかもおなかがすいたときに鳴る「グー」というかわいい音ではないので、知らない人が聞いたらドン引きです。 音量の調整は自分ではどうしようもできません。 この腹鳴をなるべく出さないようにするため、私は人知れぬ苦労

          腹鳴とトイレの確保

          大腸がない人の腹鳴

          私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。 50年近く大腸のない人生を歩んでいますが、社会生活で困ることがいくつかあります。 その最たるもの、それは「腹鳴(ふくめい)」です。腹鳴とは、読んで字のごとくおなかが鳴ることです。 なんだそんなこと、と思われるかもしれません。痛みを伴う症状の方が重要と思われるかもしれません。 ですが、私はこれまでこの「腹鳴」に何十年も悩まされ続けました。そして多分これからもずっと。 健康な人の腹鳴の多くは、おなかがすいたと

          大腸がない人の腹鳴

          大腸がなくても

          ヒルシュスプルング病により大腸(結腸)全部と小腸の一部を摘出してしまっている私ですが、結論から言うと今の栄養状態は「問題なし」です。 残った小腸が半世紀近く頑張ってくれています。失った大腸をフォローしてくれています(「腸管順応」というらしい)。手厚い精勤手当をあげたいです。 大腸は水分を吸収するところというイメージがありますが、実際は水分の8~9割が小腸から吸収されるそうです。ですので、とくに脱水になりやすいというわけでもありません。健康診断の採血検査でも栄養状態が悪いと

          大腸がなくても