見出し画像

【読書メモ】苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

苦しかったときの話をしようか、著:森岡 毅

著者は、経営危機にあったUSJを劇的に再建した戦略家。本書は、大学生になった我が子のために、就活、昇進、転職、起業などキャリア形成について書きためていたプライベートな文書を、一般に向けて加筆したもの。就活中の学生のみならず、社会経験を経た人が読んでも面白く、ためになる内容になったいる。
実際に米国本社で勤務したときの経験談には、心動かされるシーンや、参考になる点も多かった。

印象に残った箇所

迷った時は厳しい方を取れ。

今日の自分は何をどう学んで昨日よりも賢くなったか。貪欲な姿勢と、そのような時間の積み重ねが大事。

人はどういう時に最も苦しいのか?
自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれた時である。

言動をコントロールするのはプロとして最低限の信条である。しかし勝つための戦い「ではない」戦場に送られた時のパワーダウンは甚だしい。無力のサラリーマンである以上は「後ろ向きな仕事」を避けられない。

結果を出さないと誰も守れない。
組織にとって都合の良い働きをしたとしても、結果が悪ければ誰も守ってくれないし、誰も守ることはできない。
チームを勝てる場所に連れて行って戦わせて、追い込んで、追い込んで、必ず勝たせたい、そして報いたいのだ!

己の情熱を傾ける仕事を選べる自由を手に入れなければならない。もっと過酷な状況でも結果を出せる人間にならなければならない。そのために必要なのはスキル(職能)だ。
自分の強みで戦うしかなく、自分の強みを知っておかなければならない。

後ろ向きな仕事の最中での苦しみは、誰しも一度は経験したことがあるだろう。
しかしキャリアを長い目で見た時には、そういう経験こそが、得難い学びであったと思えるようにもなった。一度見事に砕け散ったプライドのおかげで、私の眼には世界が再び新鮮に映り始めた。

プロの世界においては、目的達成に必要な主な能力の全てを自分一人で賄うのはそもそも無理である。自分の苦手領域をカバーできる他者の力を借りることは、極めて重要な戦略的手段となる。
人の力を活用することで問題を解決する術を身につけなくてはならない。

所感

自分らしく生きていくことの大切さを改めて認識できる本だと感じた。激変していく社会情勢、加速度的に発展していくテクノロジー、迫り来る高齢化社会など、周囲が不安を喧伝し、どのように戦略的にキャリアを築いていけば良いのか不安に駆られることもあるだろう。やりたいことがわからない、迷える人にとっては、指針となる本ではないだろうか。

サラリーマンとして働いたことのある人は、後ろ向きな仕事に従事した経験があることだろう。その時にどういう心持ちで取り組むべきか、また個人としていかに自主的にキャリアを築いていかなければならないかが丁寧に説かれている。

サクッと読めるので、仕事始めで気持ちがまだ乗ってこない時に読むのにちょうどよかった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?