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天才を待ち望んでいた自分が、実行者に変わるときがきた

「他人を変えることはできない、自分の見方・考え方を変えるしかない」
これは、よく聞く言葉だ。しかし、頭ではわかっているが、つい他責にしたり、他人を変えようとしてしまう自分がいた。それが、『シン・ニホン』の「アンバサダー養成講座」を修了した今、私は55歳にしてその殻を破ろうとしている。この「アンバサダー養成講座」とは、『シン・ニホン』という一冊の本を広げていく読書会を開催する「アンバサダー」になるための講座だ。殻の外も安心・安全だよ、怖くないよ、と手を差し伸べてくれる仲間ができたことが、この養成講座の一番の収穫だった。

私の『シン・ニホン』との出会いは、コロナ渦の中で観た「Weekly Ochiai」の安宅さん特集回だった。その時の私は、救世主を求めていた。自分には人を説得する地位も力もないので、外の力を借りるしかない。落合さんは、私の中の救世主のひとりで、彼の言葉をかみくだいては社内向けに発信していた。

私は、社内で業務プロセス改善を促す仕事をしていて、毎月発行しているメルマガのネタをメディアから集めている。5年前にこの部署に異動になったが、一番の悩みは、自部門がOld Boys Clubなこと。自分が問題提起をしなければ、と意気込む一方で、この旧態依然とした日本型組織は上意下達でしか変わらないのではないかというあきらめも感じていた。自分と同年代の男性で、落合さんのような考えを持つ人なんていないのかも・・・そいう思っていた矢先の安宅さんとの出会いに、私は「救世主の天才登場だ!」とわくわくした。
番組を観た勢いのままに、私は『シン・ニホン』を購入していた。

しかし、「Weekly Ochiai」での安宅さんのお話とは裏腹に、思っていたよりも文章が硬く、2章までは読み進むことができたが、3章からスピードが落ちていき挫折した。しばらく部屋に積まれたままになっていたが、どうしてもメルマガで安宅さんの言葉を紹介したかった。「GWに読みきる!」ときめて居心地の良いBOOKカフェに本を持ち込むと、そこに同じ本を持ち込んでいた人がいて、これは読み切らねばという気持ちを強めることができた。

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『シン・ニホン』は徹底的にファクトベースで日本をいかに再生するかについて書かれた本だが、私は「未来は誰かに聞くものではなく、創るもの」という著者のスタンスと、著者が自ら仕掛ける「風の谷構想」にとくにひかれた。

私は、社会人生活のほとんどを、製造業で開発者のサポートをしてきたので、未来は頭脳明晰な研究者が創るものだと思っていた。40歳を超えたころから組織の窮屈さを感じるようになったが、組織に属する安心感を捨てることができず、日本の伝統的な文化や豊かな自然にはプライベートで関わっていた。しかし、草の根で新たなまちの形をつくる「風の谷構想」は、こんな自分でも未来を創れるんだという希望をみせてくれた。

『シン・ニホン』のアンバサダー養成講座では、様々な立場・考え方の人が集まり、1冊の本をネタに議論した。『シン・ニホン』に共感した人の集まりだから、自分と同じ考え方の方ばかり集まると思っていた。しかし、集まっている人たちの想いはそれぞれで、すれ違うことが多かったのが意外だった。また、講座外で自主的に開かれた勉強会でも学ぶことが多かった。勉強会で、自分の信念に基づいてのびのびと生きている人たちと深い議論をすることで、自分が知らず知らずのうちに作っていた殻を自覚することがきた。そして、強いものに従うことで、安心安全に生きることを選択してきた自分の殻を壊し、ありのままの自分を生きることが大切なんだと腹落ちすることができた。ありのままを生きるには、責任が伴う事も自覚した。

私は、この勉強会での気づきや、アンバサダー養成講座で問い立てしたり、議論する中で芽生えた、自分の中からわきあがる気持ちに素直になろうと決めた。
「自分の気持ちを殺さずに、いますぐこの職場から離れよう!」
すぐに部長に異動の直談判をした。シン・ニホン的な未来を作れそうな、DX推進部を希望し、自分がそこでどのように活躍するかを説明したが、その希望は通らなかった。しかし、もっと実践的で自分のベクトルともぴったりな部署への打診をいただいた。
それは、次世代型チップ電池のマーケティングだった。スマート農業や老朽化した設備の診断用に使われているこの電池の新たな用途を開拓していくお仕事だ。この電池は、以前在籍した部門が開発した製品で思い入れもある。

「私も未来を創る人になれる!」

今は、新しい仕事に向けて、統計学やマーケティングの勉強を始めている。アンバサダーコミュニティーでは、データドリブンな考え方を実践する勉強会があり、引き続きメンバーに助けられている。

新たなチャンスは、自分をちょっとだけ壊すことから生まれる。

今の私は、満開の桜が散った後に芽生える、キラキラした若葉のようだ。学ぶ喜び、進化する喜びを心の底から楽しんでいる。この喜びを体感させてくれた、このコミュニティには感謝しかない。

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