「明るい闇の魅力」・・・楳図かずお大美術展
その作品群は、幼い私たちの心に、恐怖の描き方を教えてくれた。
楳図かずお氏が当時の少年少女たちに与えた影響や作品論を語る事は、あまり意味がないであろう。その功績は余りにも大きすぎて、語り尽くせないからである。
なのでここでは、個人的な「好き」を語っていきたい。
まず、一番に好きなのは、何と言っても登場人物を描く「線」の美しさである。
特に猫目小僧や中期の短編におけるキャラクターの美しさは、実に魅力的である。ふっくらとした頬のラインが、実際に丸さ、二次元以上の立体感を感じさせてくれる。
次に、氏の描く明るい恐怖が好きだ。
いたずらに「ベタ(黒色)」を使って、画面を暗くするのではなく、登場する怪異も妖怪たちも、その全身をしっかりと描いている。闇の中にいる時でも、キャラクターたちはどこか明るく描かれていることが多いように思う。そして、ここぞという所で、ベタを効果的に使い、恐怖を印象付けてくれる。特に表紙などでの闇(ベタ)使い方はとても好きだ。
さらに、キャラクターたちの、いかなる恐怖や
理不尽な出来事にも負けない明るい強さが好きだ。
漂流教室の少年たちの不屈の精神。闇の恐怖に巻き込まれる少女たちの、恐れながらもどこか明るさのある日常。
もう一つ好きなのは、その構成力である。
最初に意識したのは、おそらく「猫目小僧」であろう。
「肉玉」の解決方法。「おろち」のストーリーテリング。「鬼姫」などの時代物の見事な逆転劇。「アゲイン」のクライマックス。
どれも、感動的でドラマチックである。
「まことちゃん」が有名だが、私にとっては、常に恐怖漫画家である。
現在、楳図かずお氏は、腱鞘炎を表向きの理由にして、漫画からは距離を取っておられるが、今回の展覧会には、新作が展示されている。それを見るだけでも、大いに意味があるだろう。
六本木ヒルズの 東京シティビューにて3月25日まで。
#楳図かずお #六本木 #大美術展 #東京シティビュー #恐怖 #怪奇 #怪 #謎 #不思議 #漫画 #怖い #アゲイン #猫目小僧 #洗礼 #鬼姫 #漂流教室