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新たな挑戦【アナリシスログ#1】

クリスマスブレーク期間にウェールズリーグ1部のクラブのDevelopment Team(U-19&リザーブメンバー)から分析官の募集があり、応募した結果そのチームで働かさせていただくことになりました。一応これまでにも現在コーチとして働いているU-19の女子チームで試合の分析を行ったりはしていましたが、分析官としての役職で働くのは初めてです。新しい挑戦にワクワクしています。

今回はアナリシスログと題しまして自分の分析官としての仕事内容や初日の練習での気付きなどを紹介したいと思います。


働くことになった経緯

私が通っているサウスウェールズ大学の教授がチームの監督に任命されたことがキッカケです。大学のフットボールコーチングのコース内プラットフォームに分析官の募集があり、それに応募したことで働くことが決まりました。現在のチームの順位はDevelopment League(12チームで構成されているリーグ)の中で10位と思うように結果が出ていません。そして、このクリスマスブレーク中にクラブ内で人事移動があったみたいで、大学の教授に指揮官として白羽の矢が立ったみたいです。前監督時には分析官はいなかったので教授(現監督)の要求によって分析官という役職が設けられたみたいです。ですので、今週の日曜日の試合が監督にとっても私にとっても初戦となります。


仕事内容

私の仕事内容は主に以下の通りです。

・試合、トレーニングの撮影
・個人プレイ集の作成
・自チームのパフォーマンス分析

試合、トレーニングの撮影

まずは試合やトレーニングの撮影をして分析に使うための映像を集めます。私が新しく加わるチームでは『VEO』と呼ばれるAIカメラを導入していて設置するだけで自動でボールを追尾し撮影してくれます。180度撮影することができるのでスタンドやタッチラインに置いておくだけで撮影することができます。

ただ、クラブが持つVEOの台数にも限りがあり毎回の試合で使えるわけではないので、その場合にはカメラを持ってきて自分で撮影する必要があります。カメラなどの撮影機材はサウスウェールズ大学の方で貸し出してくれるので助かっています。

個人プレイ集の作成

基本的に試合が毎週日曜日に行われるのですが、試合の撮影が終わった後はすぐに試合の分析に取り掛かります。監督からは次の練習までに分析したビデオを用意してほしいと頼まれているので、時間との戦いになります。撮影した映像を『FOCUS』という分析ソフトウェアを使ってコーディングし試合に出場した選手全員の個人プレイ集を作成します。個人的にはただ個人プレイ集を作るだけでなく監督が必要としそうなデータも集めてコーチ陣にフィードバックしたいと考えています。ただデッドラインがあるのでどこまで深くできるかは正直に言って未知数です。

自チームのパフォーマンス分析

個人プレイ集に加えて自チームのパフォーマンス分析も担当しています。基本的な得点、失点、チャンス、被チャンス、セットプレーの場面のビデオを作成します。そして試合によって監督からこのプレイ(ビルドアップやサイドチェンジなど)の映像がほしいと頼まれた場合にはその特定のシーンのビデオも作成します。

新体制になってからある程度の1週間の流れができてからは分析のチームミーティングを練習前に行ったりするそうなので、分析官の重要性が増してきそうです。とてもやりがいのある仕事なので一生懸命働こうと思います。


初日の雰囲気

練習内容

私が初めて参加した日は新体制となって2回目の練習日でした。19時からスタッフミーティングがあり、この日の練習の流れの確認や週末に行われる試合のスタメンや戦術を約45分間話し合いました。ミーティングが終わるとグラウンドに移動して20時からの練習に備えます。

1.チューブトレーニング
2.パス練習
3.ファイナルサードの練習(1)
4.セットプレイ
5.ファイナルサードの練習(2)

という流れで練習は進みました。

パス練習では下の図のような形でパスを回します。

矢印: ボールと選手の動き

最初は2タッチでパスを回し、その後は落としを入れたりしてバリエーションを加えていました。

ファイナルサードの練習ではコーチからMFにパスが出るとプレイが始まり、主にWBを使ってクロスという攻撃を行っていました。もし縦パスが入れられるようならば、ボランチからボックス内にいる3人のアタッカーへパスを送りフィニッシュという形もありました。DFがボールを奪うとサイドのコーンで示されたゾーンにボールを送ります。サイドのゾーンからカウンターを仕掛けることを想定してのパスとなります。

赤: オフェンス
青: ディフェンス

セットプレイの練習では主にどうやって守るかを中心にポジション取りなども含めて確認していました。

そして最後の残りの10分間くらいは再びファイナルサードの練習に戻りこの日の練習は終了しました。

プロクラブの雰囲気

私が一番驚いたことが選手たちの練習に対する姿勢です。このクラブのトップチームはウェールズ1部リーグに所属しており、トップチームと契約することができれば給料(給料だけで生活できるくらいの額らしい)が貰えます。ですので、一人ひとりの向上心や野心が強く他の選手にも高いレベルのプレイを要求していましたし、自分自身のプレイに対してもシビアにジャッジしていました。1本のパスにしてもパススピードや正確性などの質に拘っていましたし、コントロールする選手も次のプレイがなるべく速くプレイできるところにボールをコントロールしていました。少しでもパスがズレたり、パススピードが遅かったり、コントロールが上手くいかないとミスした選手は悔しがり、周りの選手は「集中しろ」というような激が飛んでいました。私もユースチームでプレイしていた時は高いレベルを目指していましたし、上手くなろうと必死にプレイしていました。しかし、実際にプロが見える、触れられる環境とそうでないとでは大きく差があるのかなと感じました。

そしてコーチ陣は試合前の最後の練習だからか技術的なコーチングよりも、戦術的なコーチングが多く、立ち位置やボールの動かし方、プレイの判断基準などの各選手に求めている役割を選手たちと確認していました。もちろん選手によって戦術理解度の差はありますが、全ての選手がベースとなる部分や求められる役割を理解していてサッカーインテリジェンスも非常に高いレベルにあるなと感じました。選手たちがどのようなパフォーマンスを実際に試合で見せてくれるのか楽しみですし、どれくらい練習で取り組んだものが試合で反映されるのかとても興味があります。新体制の初陣に期待です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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