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「解体読書(1)~まえがき~」

 本について文章を書いてみたいと思ったことがある。世の中には「本」と呼ばれる紙の集合体が無数に並んでいる。誰かの頭の中で文章に起こしたい「何か」が産まれ、それを紙に印刷してそれを店頭に並べている。それが本と呼ばれる。本は思想の集まりだ。作者の年齢や勉強の出来不出来に関わらず、その書きたい、書かなきゃいけないという使命感が本には宿っている。それに私自身はよく感動させられてきた。本に救われてきたことも多々ある。もちろん人の感性は必ずしも同じではない。全世界数十億人の人間が居れば、誰一人として同じ考え方で生きている人は居ないのである。資本主義もあれば、共産主義もあって、ソース派も居れば、醬油派も居る。だから世間でベストセラーとなった本でも私自身の感性に合わなければつまらなく感じる。事実私は「ハリーポッター」を知らない。映画も見たこともない。だから高校時代に修学旅行でUSJに行っても、シリウスブラックの杖に黄色い歓声をあげる女子の意味が分からずにずっと隅でバタービールを飲んでいたのを思い出す。バタービールは甘すぎて夜の食事が全然喉を通らなかったのも覚えている。
 話が逸れた。つまらない本に出合った時は、何にも頭に残らない。でも素晴らしい本に出合った時は、読み終わった直後から興奮が一週間くらい続く。そして大体どの本にも好きなシーンがある。「屍蘭」の鮫島が警察官としての誇りを話すシーン。「消えた少年」で金的を食らった俺が自分自身を奮い立たせるシーン。「ヘヴン」でヒロインの少女が全裸でいじめていた相手に襲い掛かるシーン。どれもが自分自身にとっては新鮮であって、頭の中で何度も何度も再生するのを繰り返す。私はオタクである。しかも内向的なオタク。広く浅くジャンルを探すのではなくて、一つの好きなジャンルを掘りまくる。しかもそれは一年単位で続く。本に対してもそれは変わらない。ずっと本をインプットしていた中で、ある時ふと思った。「自分自身もこの感動を誰かに伝えたい」そう思えたから、今これを書いている。
 書評するほど頭も良くないし、だからと言ってただ「楽しかった」と書くのも物足りなく感じる。だから、このコーナーではなるべく自然体で語るようにしていきたいと思う。的確に本を読み解くのではなくて、あくまで自分自身が感じたことを文章にまとめて書くだけである。だからつまらなく感じたら、それはこちらの文章力不足と話のつまらなさ加減が度を越しているだけなので心配しないでほしい。このコーナーを見なくても、このnoteには素晴らしい物書きさんが多くいる。
 ほそぼそとやっていくので、のんびり付き合ってもらえたら幸いである。
 それでタイトルは何にしようかと思った。あんまり堅苦しいのも嫌だし、だからと言って横文字マシマシのも嫌である。どこぞの都知事じゃあるまいし、きちんと読む人にも意味が分かってもらえるのが良いだろう。そうするとタイトルはこれしかなかった。
 「解体読書」
 これが私の名刺代わりである。

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