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🌟《勝利の法則》によって「絶対に勝てる!」と確信した『ストッキング綱引き』の話。 【#創作大賞2024】【 #エッセイ部門】

🏁  昔々の話です…。

会社の『忘年会』で「ゲーム大会」を行うことになりました。 

全員が参加する個人戦「ストッキング綱引き」です。


※「ストッキング綱引き」とは…
2人で行う対戦ゲーム。ストッキング 2足を結び、頭から かぶって お互いに引っ張り合います。先にストッキングが脱げた方が負け!という簡単なルールです。


この「ゲーム大会」の綱引きに使用する「ストッキング」は 司会者がスーパーで市販品を購入して用意したそうです。  

「ストッキング綱引き」というゲームは 真剣勝負というより、《変顔》になることで笑いが起きることを楽しみます。

私、このような娯楽ゲームは あまり得意ではありませんが、何といっても全員参加でした…。

くじ引きで抽選をして 対戦する組合わせが決まります。

私の試合は 最後から2番目で 対戦相手は普段から とっても にぎやかな A君でした。

さぁ、お楽しみのゲーム大会「ストッキング綱引き」がスタートです!!

1試合目、2試合目、3試合目…。 

ストッキングに引っ張られる 皆の《変顔》に大きな笑いが巻き起こります。


4試合目、5試合目…。 

「あれっ…。」

そして、6試合目が終わりました。

「あぁ、やっぱり そうかな…。」

7試合目、8試合目が終了。

「私 確信しました、絶対に 間違いありません!!」

それは…

この「ストッキング綱引き」に使用するストッキングは 司会者が準備したもので、片方が「茶色のストッキング」、もう片方が「茶色に黒いラインが入ったストッキング」でした。

じっ~と対戦を観察していると、どの勝負でも 勝つのは「茶色に黒いラインが入ったストッキング」で 勝率100%に思えました。

サイズが違うのか、引き締め圧着タイプなのか…

理由は 分かりませんが、必ず「茶色に黒いラインが入ったストッキング」をかぶった人が【勝利】( かぶったストッキングが頭に残っている状態 ) するのです。

会場で周りを見渡しますが 皆さん《変顔》に夢中で誰も気づいていないような感じです。 

そこで 私の順番が回って来る 1試合前に そっとステージの前方へ出て行って「茶色に黒いラインが入ったストッキング」を相手より先に選ぶことにしました。

ひとつ前の試合が終わりました。

もちろん「茶色に黒いラインが入ったストッキング」が勝利しました。 

それと同時に 私、猛然とダッシュして床に落ちている「茶色に黒いラインが入ったストッキング」を取ろうとしました。

しかし… 

なんと その瞬間、誰かが先に サッ!と「ゲームに使用する 2本を結んだストッキング」を持って行ったのです。 

「ええっ~!!」

そのストッキングを持って行ったのは 事もあろうに対戦相手のA君でした。

私、「しまった…。」と思いました。

すると A君が ニヤリと笑いながら言いました。

「ぐるぐるさん、ちゃんと見てましたよ。僕より先に このストッキングを取ろうとして ステージの前まで来てましたよね。」


「ああああぁぁぁ~~ 💦」


そうです、「勝利のストッキングの秘密」に気づいたのは 私だけではありませんでした。

よりによって 対戦する A君も「勝利のストッキング」の存在に気づいていたのです。

もう、最大のピンチなり…。

そして…

A君は 手に持っているストッキングの片側を 私に手渡しました。

「さぁ、ぐるぐるさんは こちらのストッキングを かぶってください。」

「う、う、う、うん…」

このまま 戦う前に敗れてしまうのか…。

そっと A君が手渡してくれた ストッキングを見ると それは「茶色に黒いラインが入っている勝利のストッキング」でした。


「ほひょひょ…????」


あぁ… 

どうやら A君は早く試合を始めて 《変顔》を楽しみたいだけで、『ストッキング 勝利の法則』には気づいてなかったのです。

だから 何も考えずに 私に手渡したのは、たまたま「茶色に黒いラインが入っている勝利のストッキング」だったのです。

私は 労せずに『勝利のストッキング』を手に入れることが出来ました!

A君「さぁ さぁ、早く試合を始めましょう、絶対に負けませんよ!」

私 「よし、始めよう!!」


でもね…

「残念だけど A君は 絶対に 私に勝てないのだよ。」

…と心の中で つぶやきました。

そして、試合が始まります。 

私 開始前から、すでに勝利を確信していました。

だって、私が かぶっているのは 誰にも負けない『茶色に黒いラインが入っている勝利のストッキング』なのだから…。

この対戦では 無理をしないで 出来るだけ自然に振る舞うだけでした。


A君は 試合が開始すると 大声で叫びました。

「ローリング大作戦~!!」

A君は『 EXILEエグザイル 』の ♬「Choo Choo TRAIN チューチュートレイン」のように 頭を振り回して 勝負してきました。 

「そ、そんなに頭を振り回したら ストッキングが脱げてしまうぞ!」

~ スポーン! ~ 

そう思っていると すぐにA君のストッキングは頭から抜けてしまいました。

🏳️‍🌈『勝負あり!』

私の「茶色に黒いラインが入ったストッキング」の勝利でした!!

それから A君は私に言いました。

「すごい!ぐるぐるさんって強いですね!!」

「あぁ A君、強いのは私ではなくて『茶色に黒いラインが入っている勝利のストッキング』なんだよ。」
(これは 心の中の声です…)

今まで どのような勝負でも 100%の確率で勝利するという自信はありませんでしたが、この「ストッキング綱引き」だけは 高い確率で勝利することを信じて疑いませんでした。 

特に何かの景品があるわけでもなかった 忘年会の「ストッキング綱引き」の余興ゲームが終了しました。

私は 必ず勝てる試合に勝利する『虚しさ』を味わいましたが、「教訓」を得ることもできました。


「勝負は 勝つか、負けるか 分からないところが面白い。」

「勝利するために必要なポイント(観察力)は存在する。」 
 

この時の「ストッキング綱引き」は、私に ちょっとだけ大切な教訓を教えてくれました。

昔々の『忘年会のゲーム大会』の話ですが、今でも たまに思い出す『絶対に勝てる!と確信した ストッキング綱引きの話』でした。

( ※ 使用した画像は全てイメージです。)


#創作大賞2024

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