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エジプトでの忘れ物 (第二話)

どうも。
えらく遅くなってしまいました。
一週間ほど前にダイナミックにバズりました、「ベトナムでの忘れ物」シリーズの続きをお届けさせて頂きます。
第一話をまだご覧になられていない方は、まず第一話からご覧戴ければと存じます。


HELPおじさんを探す為に駅に戻った私は、おぼろげな記憶を頼りにHELPおじさんの足跡を探していた。
HELPおじさんとの出会い、会話の内容、最後に吐き捨ててしまった言葉を思い出しても、何も手がかりは無く、ただただ罪悪感が襲いかかるのみだった。
気付けば、別れの瞬間であるHELPおじさんの悲しげな表情から、去り際の後ろ姿までが何度も鮮明に思い出されていた。
HELPおじさんに対する申し訳ない気持ちと、諦めの気持ちが生まれてた時、大事な事に気付いた。

HELPおじさんのうな垂れた後ろ姿は、間違いなく駅前の一軒家に向かっていた事を。

勢いよく走り出し、HELPおじさんとお別れをしたエリアに向かった。
ただそこには記憶の中にある数よりも多くの一軒家が立ち並んでいた。というより乱立していた。
私は可能性の高い家から一軒ずつ訪問し、英語で「諸々の事情説明と、HELPおじさんと会いたい」旨を伝えたが、ほとんどの方には相手にされないどころか、案の定英語自体が通じていなかった。
諦めずに何軒も声をかけていくうちに、うっすらとだけ英語を喋る事が出来る甲高い声のエジプト人と出会った。
丁寧にゆっくり喋りかける事によって理解してくれたのか、「俺についてこい」的な事を甲高い声で言ってくれた。

やっと会える。という安堵の気持ち半分、本当に伝わっているのか、という気持ち半分で彼に着いていくと、「これに乗れ」という甲高い言葉とともに自転車を差し出された。
どうやらHELPおじさんは少し離れた所にいる様で、自転車で向かうべき距離の様だ。

どこにいるかはわからない為、どれくらい遠いのか、という不安感と、用意された自転車が子供用の自転車である事への違和感を一旦無視し、かなり不安定な自転車に慎重に跨がり、声甲高おじさんの方に目を向けると、6歳位の見知らぬ少女が声甲高おじさんの後ろにゆったりと腰を下ろしていた。
この子供が最後まで誰なのかわからぬままになるのであるが、とりあえずは無事に、HELPおじさんを探す、奇妙な三人組みの旅が始まった

不安定な子供用の自転車に乗り、信号なんてあってない様な街を必死に声甲高おじさんと、どっしり構える子供の後ろを追いかけている中、「HELPおじさんはどこにいるのか」を尋ねてみると、どうやら工事現場で作業をしており、ここから自転車で30分程度離れた場所にいるとの事だった。
それほど遠くない事がわかった私は、せっかくだからローカルな雰囲気が味わえる場所を案内しながら向かって欲しい事を伝えたところ、快く了解してくれた。
どうやらこれはしっかり伝わっていた様で、まさにローカルと言える、地元民が遊ぶゲームセンター的な場所や、裏路地の溜まり場等々に連れて行ってもらった。

なかなか貴重な時間を過ごさせてもらい、いざHELPおじさんの元へ一直線に進み始め、10分程度経過した頃、明らかに大規模な工事が行われていそうな景色が見えてきた
声甲高おじさんに「ここにいるのか」と尋ねたところ、「ここにいる」との事だったので、いよいよ再会が間近に迫っている事を実感した。

舗装されていない道を不安定な自転車で一直線に砂埃りをあげながら工事現場に向かい、もうあと何本か通りを超えると工事現場に到着する、というところで、声甲高おじさんは思わぬ方向にハンドルを切り始めた。
違和感を感じながらも後ろを着いていくと、突然景色が変わったかの様に、木の生い茂ったエリアに突入し、数分走りきったところで唐突に声甲高おじさんはブレーキを強く握った。

どうやら目的地に到着した様だが、人の気配は無く、不安感が胸中を走り抜けたが、「工事現場への裏口だろう」と自分に言い聞かせ、声甲高おじさんと少女の後ろを着いて行った。

何も教えてくれない二人の後ろを着いていく事2−3分経過した時、生い茂った木の向こう側に美しい公園の姿が目に入った。

そうか。これは声甲高おじさんの粋な計らいで、目的地に到着する前に素敵な観光地を見せてくれたのだ、と思ったその瞬間、声甲高おじさんの横にそっと寄り添っていたはずの少女が、見た事のない俊敏な動きで、私の死角に入り、私のポケットに手を突っ込んだのだった。

とっさに少女を払い退け、少し距離をとった時、気付いてしまった。
少女が私の携帯を右手に持っている事を。そして声甲高おじさんにそっと渡していたのだ。

しまった。という気持ちとは裏腹に、いよいよエジプトのリアルなローカルを経験出来ると私の胸は踊っていた。
その時、声甲高おじさんから思わぬ言葉が、甲高い声と共に発せられた。

【第二話 終了】

如何でしょうか。
当時の写真をお見せしながらと思い、ミクシィなんかも久々にログインしながら探したのですが、見つからずで、結局当時の情景をお伝え出来ずで少し悔しい気持ちもありますが、伝わっておれば幸いです。

では第三話(おそらく最終話)も宜しければまた見に来て頂けますと幸いです。皆様が思っているよりも意外な展開が待っていると思います。

以上

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