男子と取っ組み合い 運動会
※センシティブな内容が含まれます。ご注意を
私は人生で1度だけ 他人をぶん殴った事がある。
それは 私が中学2年生の時だった。
私は もともと おとなしい陰キャであったが
小学5年生のときに教師からうけた身体的、精神的暴力の影響で
さらに自信をなくし、特に小学5〜6年生の時は陰気なキャラに拍車がかかった。
中学生になり、いじめや暴力を受けることはなくなり、徐々に友達の輪も増えていった。
気の合う親友もできて 楽しい中学校生活を送り始めていた。
変わり者の私のことを 面白いといってくれる同級生も増えた。
小学校の頃 私は、学校が火事や地震で潰れてなくなってしまえば良いと願っていたが、
中学校はそこまで悪いところではないと思えた。
気がつけば 中学生活も2年目 となっていた。
クラスには仲の良い友だちもいて 問題のない 中学2年生ライフが始まった。
順調に時は流れて 10月
中学生になって2回目の「運動会」の当日・朝の話だ。
朝礼が終わり、教室から 各々 運動場へ移動するところだった。
私も友達と運動場へ向かおうとハチマキを額に巻いた。
「おい、流水〜! お前 前髪変だぞ」
クラスメイトの 松尾君(仮名)だ。
松尾君は私の額に巻かれていたハチマキを取る。
ムッとして
「返して!」と いうが
松尾君は
「眉毛も変や〜」とからかってくる。
この松尾君は、毎日のように 私の近くに来ては なにかとちょっかいを出すのだ。
小学生の時に受けていたいじめとは違って、 悪意やいやらしさがなかったので 大げさには考えていなかったが、私は 松尾君が 苦手だった。
「やめてよ。もうほっといて。」
私は 松尾君の手から自分のハチマキを取り上げて
友達の元へ行こうする。
松尾君は 私の前に両手を広げて立ちはだかり
ふざけた顔で通せんぼをする。
イラッとした私は 思わず
「いい加減にして!」
出したことのないような 大きな声で 怒鳴ってしまった。
あっけにとられた 松尾君だったが
すぐに ふざけ顔にもどり
も一度手を広げ通せんぼのポーズをする。
私は 構わず 松尾君を振り切って 友達の元へ向かおうとする。
すると 松尾君は私の腕を掴んだ。
私は カッとなり とっさに
思いっきり 松尾くんの顔面を
ぶん殴った。
自分でもなぜ 手が出たのかわからなかった。
今までの 松尾君に対する 思いが蘇ったのと 腕を急に掴まれた怒りで
一瞬、理性が吹き飛んだ。
私は今まで 暴力を受ける側だったが 人に暴力を振るう側になったのは始めてだった。
一度理性が吹き飛ぶと 怒りが止められなくなった。
「なんでいつも 嫌なことするのよ!!ほっといてよ!」
大声で叫んだ。
松尾君は あっけにとられ でも 恥ずかしくなったのか 急に 怒り出し
気がつけば 取っ組み合いの喧嘩になっていた。
私と松尾君の大声と殴り合い
一部始終を見ていた友達は すぐに担任に知らせに走る。
「てめぇら なにやってる!!」
担任の 怒声に 私達の動きは ピタリと止まる。
「てめぇらのせいで せっかくの 運動会が台無しじゃねぇか!!!」
先生の言葉で 我に返る。
そうだ 今から運動会だった。
私も 松尾君も こっぴどく怒られながら 小さくなり 下を向いていた。
今となっては 運動会の 内容は全く覚えていない。
先生に怒られた後 私達はどうやって 運動場へ向かったのだろう。
どんなテンションで競技に参加したんだっけ・・・
思い出せない。
だけど 松尾君との取っ組み合いや 松尾君の悲しげな表情は思い出す。
私は なぜ ぶん殴ってしまったんだろう。
そんなに怒る必要があったのだろうか。(絶対にない)
今思えば
中学生男子と女子の本気の取っ組み合いだ。
大きな怪我をしなかったということは、松尾君は手加減してくれたのだろうか。
松尾君は、もしかしたら私のことを好きだったんじゃないのか。
だとしたら、本当に申し訳ないことをした。
運動会の一件依頼、松尾君は、私にちょっかいを出さなくなった。
当日はクラスメイトの女子が私を慰めてくれたが
翌日からは クラスの誰もが この件は触れてこなかった。
(クラスメイトの優しさを感じた)
私と松尾君の間にだけ 気まずさが残った。
松尾君のトラウマになっていないと良い。すっぽり記憶から消えていると良い。
きっと 中2の私は、あのときのシチュエーションで勝手に自分のトラウマが発動して、理性が吹き飛んでしまったんだと思う。
私がもう少し、コミュニケーションが上手だったら、人の気持を推し量ることができたら喧嘩にならずにすんだんだろうか。
だれだって 女子にちょっかいを出したからといって ぶん殴られる と思うはずはない。
どう考えても、手を出した私が100%悪かった。
思い出すと、恥ずかしさと申し訳無さで気持ちがいっぱいになる中2の運動会だ。
本当に
ぶん殴ってごめんなさい。
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