平成のSESから、 令和のフリーランス へ
◆はじめに
ソフトフェア エンジニアの働き方には、大きく分けて3つの働き方があります。
・社内エンジニア
・SESエンジニア
・フリーランス エンジニア
それぞれに特色があり、時代によって、メリット/デメリットも変わってきます。
また、『社内エンジニア』は、他の2つと違って『継続的に会社に所属出来る』というメリットがあるので、若干毛色が違うと思います。
この記事では、一見すると似ている『SESエンジニア』と『フリーランス エンジニア』に絞って内容を精査していきます。
また、私見として、『時代は確実にフリーランス エンジニアに追い風が吹いている』という立場でこの記事をまとめて行きます。
◆SESとフリーランス
◇SES
エンジニア派遣会社に所属しながら、案件ごとに現場にアサインされる働き方です。
「アサインされる」と書いたように、所属会社の意向もあるため、やや受動的な働き方になっていきます。
俗に、『多重下請け』といった言葉でイメージされるエンジニアは、SESとなります。
なぜなら、発注元と、実際に働くエンジニアの間に、派遣会社がピラミッド構造で入り込んでくるからです。
◇フリーランス
個人事業主として、案件ごとに現場にアサインしていく働き方です。
「アサインする」と書いたように、自分で自己決定していくため、やや能動的な働き方になっています。
また、個人事業主のため、ある一定以上の経営感覚は必要になってくると思います。
ただそれは、『エンジニアの知人とつながっておく』や『仕事はしっかりとやり遂げる』などの、一般的なプログラマーならば誰でも有しているもので大丈夫だと思います。
◆時代の変化
◇平成
2000年前後のITバブルに代表されるように、ソフトウェア エンジニアという職業が、大きく裾野を広げた時代です。
それまでは、大手メーカーに所属しているエリートといったイメージでしたが、多くの人材を受け入れることが出来る大きなマーケットに成長しました。
それに、伴い、多くの人材に仕事を割り振る際に、建築業界で多く用いられている多重下請け構造によって、仕事を割り振る仕組みが確立されて行きました。
これは、派遣法の改正により、派遣事業を行いやすくなったのも後押ししたと思います。
平成中期までは多重下請けは、多くのエンジニアに仕事を割り振るシステムとして、一定の役割を担っていたと思います。
◇令和
現在進行形ですが、平成後期から注目を集めていたフリーランス エンジニアという働き方が、年を追うごとに成熟していっています。
その中で重要な機能を担っているのが、フリーランス案件を紹介してくれる『エージェント』の存在です。
ITインフラの発展により、エージェントの抱えている案件は数万件単位に増加しています。
これは、ネットを介した情報収集と拡散は、スケールすることが出来るというITの強みが発揮された結果だと思います。
つまり、多重下請け構造の上部下部の末端同士である、発注元とエンジニアが、エージェントを介してつながることが可能になったのです。
これは明らかに、時代の進歩の賜物だと思います。
◆フリーランスへ キャリアチェンジ
ここからは、具体的にSESからフリーランスへ キャリアチェンジする際に、気をつけるべきポイントを書いて行きます。
◇エージェント
フリーランスになった際に案件を受ける場合は、エージェントを介して案件を受けるのが一般的でしょう。
知人を介して、本当に直接案件を受けることもベテランのフリーランス エンジニアの方々は実施されていますが、エージェントを介する仕組みでも、十分、好条件だと思われます。
その際に気になるのは、案件を『派遣会社経由で受ける』のと『エージェントを介して受ける』ことに違いはあるのか?ということだと思います。
基本的には、『契約の主体が違う』といった違いです。
また、アサインまでの流れも、商談(面談)→ 契約 → アサイン という流れのため、一般的に行われているSESのアサイン時の手順と変わりありません。
◇エンジニア ネットワーク
フリーランスになると会社組織に属していないため、他のエンジニアとの交流の場が少なくなってしまいます。
案件先のエンジニアとのみ交流していたのでは、スキルが蛸壺化してしまうのは目に見えています。
エンジニアにとって、スキルのブラッシュアップは死活問題だと思われます。
そこで、現代では、エンジニア用のオンラインサロンや、OSS開発コミュニティに属するなどを活用すれば、他のエンジニアとの交流の場を保つことが出来ます。
それにより、最新の技術動向や、高スキルのエンジニアの方からの示唆を受けることが出来ると思われます。
そういった横のつながりも、フリーランスにとっては生命線だと思います。
◇セルフプロデュース
フリーランスは個人事業主のため、セルフプロデュース、つまり『ブランディング』の意識が必要になってくると思います。
横文字で書くと、堅苦しく感じるかもしれませんが、商店街のおじさんたちが『金物屋〇〇』『雑貨屋〇〇』という風に看板を掲げているイメージで大丈夫だと思います。
「フロントエンドに詳しい〇〇さん」や、「クラウド構築に詳しい〇〇さん」といった形で、セルフプロデュースは十分なはずです。
もちろん、上を見ればキリがないですが、自分の得意分野を明確化し、それを周囲に認知してもらうことがセルフプロデュースだと思います。
◆個別記事紹介
また、個別のカテゴリーにて私が書いた記事があるため、ご興味のある方は、そちらもご参照ください。
◆まとめ
『エージェント × オンラインサロン』が令和のスタンダードになるというのが、私の予想です。
なぜなら、その2つを組み合わせれば、派遣会社に所属することで得られるメリットを、ほとんど代替出来るからです。
さらに、自分で働き方を決めやすくなるといった、大きなメリットも付いてきます。
SESエンジニアの方々は、ほんの少しの勇気を出すだけで、フリーランス エンジニアの大きなメリットを享受出来る立場にあります。
ですので、SESの方々には、強くフリーランスをオススメしたいと思います。
[2024年1月追記]
この記事を書いた時から数年で、AIによって時代は変わりつつあります。
現在では、フリーランスのソフトウェアエンジニアだけでなく、AIを用いた起業というところまで視野を伸ばしたほうが良い、というのが私の私見です。
もちろん、これらの記事も現在でも有効ではありますが、AIという黒船が来ている以上、その技術を積極的に取り入れるべきだと思うのです。
そしてAIは個人の能力を爆発的に底上げするので、起業という選択肢も、以前にも増して選択しやすくなっているはずです。