剱岳ガイド本郷博毅

富山出身在住の山岳ガイド 剱岳、立山、黒部、富山百山を得意としますが、日本全国四季を通…

剱岳ガイド本郷博毅

富山出身在住の山岳ガイド 剱岳、立山、黒部、富山百山を得意としますが、日本全国四季を通じてどこでもガイドします

最近の記事

25年

2023年春に山岳ガイドを生業として25年を過ごしたこととなる。 いろんなことが、あっという間に過ぎ去った日々。    山というものに本格的に関わるようになってから40数年経ち、大きな怪我や病気でのブランクもなく、日々登り続けることができたことはただ幸運だったというしかない。 大した実績も勲章もない自分でも、死んでおかしくない事象は3回ほどあった。 しかし、何物かの強い力で助かることができたことは今考えると不思議だ。 たくさんのお客様と山をご一緒できて、山岳ガイドとして

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    • 御前ヶ遊窟

      越後の豪雪に鍛えられ雪崩に磨かれた広大なスラブ。 新潟の山々にはこのような風景が多い。 クライミング経験乏しい登山者が立ち入れるルートはなかなかないのだが、御前ヶ遊窟はその中では貴重な存在だ。 大岩壁の頂上直下にある岩穴には、平維茂夫人が隠れ住んだとの伝説がある。 遊窟のユウは岩穴の意味を持つ。 晩秋に訪れる 11月は登山対象の選択肢に困る時期。 無雪期と積雪期の狭間で、標高が高い山は紅葉も終わり、歩きづらい新雪が付きだし、アイゼン、ピッケルが気持ち良く使える感じではな

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      • 剱岳ガイド2022を終えて

        2022年グリーンシーズンの剱岳ガイドは全て終了した。 御参加戴いた皆様、誠にありがとうございました。 私の仕事は少なからずの時間と少なからずのお金を掛けてきてくれた方々に笑顔を与えることだ。 果たして、どれだけの方に笑顔を与えることができたのだろうか。 今年は残念ながら全てのお客様を山頂にお連れすることはならなかった。 自らの未熟を自覚すると共に、剱岳という条件の厳しい山ではそれも仕方がなかったことだとも思う。 まずは怪我人を一人も出すことなく、自分も怪我をせず

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        • 2022年夏の総括

          コロナ第7波で感染者が急拡大した2022年夏も終わり、剱岳は秋を迎えた。この夏は行動制限もなくなり、3年ぶりに多くの方々が夏山を満喫できると期待していたはずだ。ところがその楽しみな時期に合わせたようなタイミングでコロナ感染者数が過去最大となり、悩ましい夏を過ごすことになってしまった。 雨が続いた梅雨明け宣言が早く、今夏は快晴続きを期待してみたが山では低温傾向で、雨具を着る日々が続いた。特にお盆を過ぎてからは酷かった。登れるタイミングを模索して、スケジュールを再調整してなんと

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          山にあるもの

          山にはさまざまなリスクが存在する。 山を登るという行為からはリスクの排除はできない。 完全にリスクを回避するには、山に登らないという選択肢しかない。 リスクはコントロールするものだ。 「山はおそろしい」という羽根田治さん著作物の書評を書く機会に恵まれた。

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          剱岳ガイド2022の始まり

          立山黒部アルペンルートが毎年4月15日に全線開通を迎えると剱立山は長く閉ざされた冬を終えて一気に活気付く。 2022年の冬は良質豊富な雪に恵まれ、滑り手には最高のシーズンであった。 誰もが「雪の大谷」は20mを超えるだろうと期待していたが、4月に入ってから一気に融雪が進み、18mという落ち着いた高さとなり、立山の稜線は過去に例がないくらい夏道が露出するのも早かった。 4月15日から立山に入山し、スキーガイドからスタートしたが、全般的に気温は高めで融雪が早く、5月かと勘違いし

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          剱岳ガイド2022の始まり

          裏剱

          9月を過ぎると剱立山ではいつ降雪があってもおかしくない状況に変わる。私の記憶では9月1日に剱岳南壁クライミング中に雪がチラチラ降ったこともある。8月上旬までは別山尾根でも残雪がある事は多々あり、9月ともなれば降雪の心配もしなければならない。そう考えたら剱立山の夏は非常に短い。 秋になると適期を迎える「裏剱」 今回は紅葉と展望と温泉が楽しい、こちらのルートを紹介したい。 このルートは剱岳山頂を通らないので、安易に考える方も多い。しかし、剱岳に精通している人ほど、このルート

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          黒部川下ノ廊下

          黒部川下ノ廊下は、他に見られる登山道とは一種異なり、登り下りが少ない全体的に平坦な道ではあるが、黒部峡谷沿いの断崖絶壁に沿って歩く危険箇所の多い約30kmのロングルートである。 番線は張り巡らせてあるが、踏み外せば「黒部に怪我なし」で間違いなく怪我では済まない。 ルート上唯一の山小屋は、「阿曽原温泉小屋」のみで、エスケープルートもない。 ここでは、黒部ダムを出発し、阿曽原温泉小屋に宿泊して欅平に抜けるコースを案内する。 扇沢駅から関電トンネル電気バスで黒部ダムへ。

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          ラーメン食べたい

          言うまでもなく私はラーメンが大好き。 Facebookページで「山とラーメン」を作っているくらい、私にとっては特別な食べ物である。 若い頃は随分とたくさん食べたが、歳とともに減らしている。それでも一般の方よりは、かなり食べているだろう。 近年、糖質制限するため、ラーメン断ちしたこともあるがラーメンを食べないと体調が悪くなり、精神的にも苦痛で頭がクラクラして身体にも力が入らないので一週間が限界だった。今は健康に留意しながらストレスを感じない程度にラーメンを楽しんでいる。

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          剱岳長次郎谷

          剱岳に数あるバリエーションの中で最初に登って欲しいクラシックルート。映画「剱岳 点の記」の舞台となったルートとしても有名。 八ッ峰主稜と源次郎尾根に挟まれた素晴らしいロケーション。長い雪渓を登り切ったら北方稜線を辿って山頂へ。その合理的で弱点を付いたラインは岩と雪を存分に味わえる剱岳の魅力が詰まったルートと言えよう。 八ッ峰やチンネなどのアプローチとなる谷でもあるが、山頂までのルートとしても様々なエッセンスが詰まっている。長い雪渓登り、残雪状況を見ながらクラックやシュルン

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          八ツ峰主稜

          剱岳東面に延びる長大な岩稜「八ッ峰主稜」は、前穂高岳北尾根、槍ヶ岳北鎌尾根と並び、岩稜バリエーションルートとして超人気コースとなっている。 しかし、前穂高岳北尾根、槍ヶ岳北鎌尾根と比べるとやや成功率は低いような気がする。北アルプス最北部に位置する剱岳の気象変化条件や雪渓の状態などが影響するであろうか。私自身のガイド成功率を見ても、「八ッ峰主稜」は天候悪くて、敗退か別ルートに変更という頻度がやや多い気がする。特に近年、温暖化が進み天候不順。剱沢雪渓を安全快適に通過できる時期も

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          山岳ガイドという営み

          人生紆余曲折あり山岳ガイドという仕事をやるようになって早20数年。 まだまだ未熟で道に迷い彷徨うことばかり。 【山岳ガイドへの路】 ガイドという職業に憧れがあったわけでもなく、目標だったわけでもない。そんなに山が好きなわけでもない。なんとなくアルパインクライミングが好きになり、毎週末を全国各地の山にある岩壁で過ごすようになった。 今のレベルからしたら全く大したことない内容で人に自慢できるような記録も記憶もないが、仲間と危険を乗り越えて目的を達成することだけが楽しかった

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          山岳ガイドという営み

          2020が過ぎ2021を迎えて

          COVID-19新型コロナ感染拡大の中、6月に再開した2020年山岳ガイド活動も終わり新年を迎えた。 何を信じて行動して良いのか、迷いながら恐る恐る再開したガイド活動は、まず勝手知ったるリピーターのお客様を限定とした。そして、ガイドルートも安全マージンをかなり取るよう努めた。 自粛生活で、意識しないうちにお客様の体力はかなり低下している方も多かったので、当然の選択だった。 私自身もガイド活動自粛中、ランニング、サイクリング、筋トレ、自宅ウォールクライミングなど充分なトレ

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          剱岳北方稜線

          岩と雪の殿堂「剱岳」の山頂より北に伸びる北方稜線は急峻な岩峰を積み重ねる日本離れした景観。 そして、裏剱と呼ばれる仙人池、池ノ平からの絶景は見事。 本来の北方稜線は剱岳から池ノ平山、赤谷山、毛勝三山、越中駒ヶ岳などを経て鋲ヶ岳くらいまでであろうが、多くの登山者は小窓ノコルを基点に一部を北方稜線としている。 岩場、ガレ場、ザレ場、雪渓と様々な要素が混じり合い、多数の踏み跡から正しいルートを選択しなければならない。一般ルートとは比較対象にならない総合的な登山能力が必要となる

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          剱岳別山尾根20200621

          アルペンルートが約二ヶ月ぶりに再開、やっと県を跨がる移動自粛も解除され、剱岳へお客様を呼べるようになったこの週末。 室堂もスキーヤー、スノーボーダー、観光客など少し活気が戻った気がした。 この時期の剱岳で無難なのは長次郎谷や平蔵谷などのルンゼルートを登下降することだが、今まで何度も剱岳へ登った方達がお客様だったので、敢えて面倒な残雪の別山尾根ピストンとした。 これから夏を迎えるにあたり、別山尾根を見ておくことは大切なことで、ある程度苦労するのはわかっていたが私自身も剱岳

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          剱岳源次郎尾根

          剱岳におけるバリエーションルートの中で最もポピュラーで変化に富んだ内容を持つ。本峰に真っ直ぐに突き上げる男性的な尾根。 剱岳東面の尾根として八ツ峰主稜と共に人気があり、左に平蔵谷、右に長次郎谷を従えた稜は日本離れした風景である。下部は樹林帯の木登りで、上部は岩を攀じりながら登高する。絶景の中で30mの豪快な懸垂下降が素晴らしいスパイスとなり、しかも終了点は剱岳山頂で満足度も高い。 たくさんの登山者を迎えている源次郎尾根だが、登られる方に是非お願いしたいことがある。 -ロ

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