御前ヶ遊窟
越後の豪雪に鍛えられ雪崩に磨かれた広大なスラブ。
新潟の山々にはこのような風景が多い。
クライミング経験乏しい登山者が立ち入れるルートはなかなかないのだが、御前ヶ遊窟はその中では貴重な存在だ。
大岩壁の頂上直下にある岩穴には、平維茂夫人が隠れ住んだとの伝説がある。
遊窟のユウは岩穴の意味を持つ。
晩秋に訪れる
11月は登山対象の選択肢に困る時期。
無雪期と積雪期の狭間で、標高が高い山は紅葉も終わり、歩きづらい新雪が付きだし、アイゼン、ピッケルが気持ち良く使える感じではない。
低い標高帯で満足感を得られるエリアを探すことになると、ある程度の知識と経験が必要だ。
SNSやYouTube、地図アプリの情報も高標高帯の人気エリアのように豊富ではない。(情報がない方が登山としては、ずっと面白いのだが)
御前ヶ遊窟は標高846mだが会越の奥深く、高度感ある大スラブを這い上がるスリルに満ちた秘境だ。
春にも夏にも登ったことがあるが、春は雪渓が残り、スノーブリッジを潜ったり、シュルンドを通過したりでリスクはかなり高い。夏は暑すぎて、藪もうるさい。その経験から、ベストシーズンは10月下旬から11月上旬のとても短い時期であると思う。11月も中旬を過ぎるとベルグラが張り付き激悪だった。
この地が紅葉で綺麗な時期が快適に登れるシーズンだと思う。
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