連載『オスカルな女たち』
《 すったもんだで 》・・・12
「な、ばかだろ?」
苦虫を潰したような表情で玲(あきら)を見る。
「どっちもどっちよ」
何度となくそんなやり取りを見てきた玲には、呆れれてものも言えないといった様子だ。腕組みしたまま、ちらりと佑介に冷ややかな視線を送り、
「それにしても…。最近のあなた、ちょっと強引なんじゃなくて?」
「まぁ、そう言うな」
「な、この調子で話も聞きやしない」
真実(まこと)の心意としては、とにかく「本意ではない」というところを強調したい。
「とりあえず、の弥縫策だ」
苦し紛れの佑介だったが、
「得策とは言えないわね…」
玲の前ではたじたじだ。
「まぁ…。でも、おふくろさんが望んでるし、美古都(みこと)も。父親の方がいいんだろ?」
確認するように真実を見るが、
「しらねーよ」
当の真実はそっぽを向いたままだ。
「バカね。母親って、そういうものじゃないわよ」
どこまでが本気なのかわからない…と、玲も呆れ顔だ。
「母親? どっちの」
「美古都は、操先生のために承諾したんでしょ。操先生、そんなに悪いの?」
秋口から腰痛を訴えている操のことは聞いていた。だがそれは、年齢的なもので急を要するものだとは思っていなかった。
「ん~どうなんだろうな」
言葉を濁す真実。
「おい、あれ、」
今度は佑介が遠く窓の外を指さした。
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです