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格差是正の根拠とは?

今日の日経新聞「米、富裕層増税へ新計画」。とうとう民主党主導の富の再分配強化策がスタートしそうです。すでに米国株価も下落基調に潮目が変わりつつあります。

#日経COMEMO #NIKKEI

税金といえば最近、メルカリ初利用で何冊か書籍を売却したのですが、メルカリのプラットフォームを活用するための手数料をメルカリに売却の都度徴収されます。

よく考えてみると、メルカリの手数料、税金とよく似ています。

「税金は、自由で公正な社会を運営してくれている国家というプラットフォームへの手数料」

ということ。メルカリの手数料も税金も同じようなものだな、ということです。こうやって考えれば、一定の比率で税金を徴収するのは妥当性があると思います。

例えば富裕層は、富裕層だけの努力や才能だけで富裕層になったわけではありません。運ももちろんありますが「自由で公正で安全な国家というプラットフォーム」があるからこそ、自由に富を蓄積できるわけです。なので、儲かった金額(所得税)や使った金額(消費税)に応じて税金を払うのは、その都度、手数料を払っている感じがして納得感が高いのではないかと思います。

一方でより加速度的に富裕層に税金を徴収すべきという累進課税や相続税の考え方は、この論理では納得がいきません。

「格差是正は正しい」と世間的には言われていますが、格差是正は一般庶民からの富裕層に対する単なるルサンチマン的な感情をなだめるためのカタルシスにしか過ぎないように感じます。つまりロジックがないのです。

そもそも自由で公正な社会は、どのような社会の原理から導き出された概念かというと哲学者、西研(「哲学は対話する」)によれば、

自由の権利は神からやってきたものではなく、私たちが国家(政治的共同体)をなして、互いに平和共存しようとする約束、つまり「共存の約束」をしているところに、その根拠を持っているはずである。法も権利も政府の目的も、全て「共存の約束」にこそ、その正統性の根拠がある。

とし、自由で公正な社会は国家を構成する我々国民全員の総意のもとに成り立った概念。

そう考えれば、ルサンチマン的感情によって、日本で言えば富裕層いじめの共産党(米国だったらサンダース)にもっと票が集まるはずですが、なぜかそのようにはなっていませんし、民主主義が機能している国家では概ね他でも同じ状況です。

更に「国民全員の総意で共存の約束をしている」という考えであれば、共存するために絶対貧困をなくして、みんなが生きられるようにすればよい。なので累進課税によって取れるところから税金を取り、絶対貧困をなくすということであれば納得感があります。その結果として格差が是正されるというなら、結果論として納得がいきます。

橘玲さんのブログによれば、「国家の有事(戦争や今のようなパンデミックなど)において、国家の滅亡を阻止するために富裕層からお金を徴収する」というのも、まだ納得はいきます。


しかし橘さんも主張しているように、今の世の中はパンデミック真っ最中と言っても国家が滅亡する程の危機的な状況でもありません。したがってこのロジックも、今の時代には説得力がない。

あとは、プラトンのいう「国家の目的」

国家の目的は、適材適所に国民を配分する機能を働かせることで、国民の衣食住を満たすこと(「国家」第二巻)


のために国家が富裕層からより多く税金を徴収して国民全員の衣食住を満たす、というロジックが一番妥当性があるように感じます。つまりこれも絶対貧困の防止ということです。これは先述の「共存の約束」とも相性が良い考え方。

そうすると、すでに国民の衣食住が概ね満たされている「日本においては、累進課税や相続税徴収の妥当性はない」という結論。

一方、アメリカにおいては未だ絶対貧困が多いと思われ、バイデン大統領の政策については、更なる富裕層への増税によって家族計画(教育の機会平等)や雇用計画(絶対貧困防止)に充当するということだから「共存の約束」という観点においては、妥当性はあるように思います。

*写真:2020年 東京湾アクアライン

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