フィレンツェ〜ベルヴェデーレ通りを登って出会ったのは京都からの庭師(回想と写真)

1998.5末HotelDuomo 1998年5月28日。イタリア留学生活を始める前にまず降り立ったのはフィレンツェだった。ドゥオーモを目の前に見る簡素なホテルに宿泊し、トスカーナの田舎へ埋没する前に、花の都を自分なりに堪能するべく3日間を過ごした。当時はまだフィルムカメラの時代。拙いスナップ写真だが、フィレンツェ3日目の散策の様子を思い出しながら写真を選んでいく。これはホテルの窓からのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドゥオーモ(=ドーム)。ルネサンスの巨匠、ブラマンテの設計により、中世時代以来懸案だったドームが見事な形で完成した。
画像2 なぜ既に何度か旅行で行ったことのある道を、敢えて再び辿ろうとしたのかは記憶にない。が、2日間屋内の美術作品ばかり鑑賞していて緑と眺望が恋しくなったのかもしれない。この日もルネサンス式の教会建築を見てから、アルノ川対岸にあるこのベルヴェデーレ通りVia di Belvedereを登り始めた。
画像3 登り道はそれほど急でもなく、歩きやすい。
画像4 観光スポットでもあるベルヴェデーレ(=良い眺め、の意味)要塞Forte di Belvedere。ここからの眺望も良いのだが、この日は横目にスルーした。
画像5 考えてみれば、日本で働いていた時のイタリア旅行は夏休みか2月のローシーズンぐらいで、なかなか5月という最も芳しい季節に訪れることはなかった。それもあり、この道を選んだのかもしれない。実際に、これまで見たこともないほど花々が咲き乱れていたのだった。
画像6 見晴らしが良くなってきた。眼下にフィレンツェ旧市街が見える。奥に目立つ塔は市庁舎。
画像7 確か誰でも見られるバラ園Giardino delle Roseだったかと。この写真では花の聖母大聖堂と呼ばれるサンタ・マリア・デル・フィオーレSanta Maria del Fioreが市庁舎と共に見晴らせる。それにしても整理せず放置しっぱなしで写真が・・・。加工する気力がないのでそのままにて。
画像8 別方向には、丘の上へと続く城壁が続いているのが見える。
画像9 庭園からさらに道を進んでいくと、壁面にもバラが生き生きと季節を謳歌していた。
画像10 途中、眺望で最も有名なミケランジェロ広場Piazzale Michelangeloを通るのだが、写真があまりにもお見せできないような代物だったので、これを機会に処分することにした(苦笑)。フィルム写真は仕上がってこないと出来が分からないのがハラハラで、逆に楽しみでもあった。ということで、丘の上のサン・ミニアート・アル・モンテ教会San Miniato al Monteの見事なファサード前にたどり着く。教会の創建は紀元1018年にまで遡り、2018年でちょうど1千年を迎えたようだ。
画像11 サン・ミニアートは、修道院施設の表玄関に教会がある、と言ったほうが良いだろう。墓地がまた壮大。こんなに眺めの良い場所で陽を浴びながら過ごせるなんて、羨ましい限りだ。墓碑も工夫を凝らしたものが点在しており、自由に見学できるようになっている。
画像12 十字架が立つこの建物が何なのかは分からなかった。この部分までは降りてみなかったと記憶している。
画像13 手前には、ロッカーのように生前と並ぶお墓が見える。
画像14 別の角度から見たサン・ミニアート・アル・モンテ教会。糸杉はイタリアの墓地によく植えられている。その真っ直ぐ天へと伸びていくような形から、死者や冥界と結び付けられることが多く、常緑樹でもあることからキリストの復活と「永遠の命」を表すシンボルともなっている。
画像15 墓地の目線からのフィレンツェ旧市街。
画像16 サン・ミニアートを背にして、別ルートで旧市街へと下っていくことにした。すると街のスケッチをしている人が。絵になるシーンだったのに、写真が・・・(T▽T;)
画像17 先に少し通ったバラ園の一角に、何か奇妙な斜面があった。まるで日本庭園のようだったので近寄ってみたら、日本人らしき庭師さんが仕事をしていたのだった。恐る恐る声をかけたら、京都の高台寺の庭師さんとのことだった。日本語に飢えていたようなご様子で、暫し手を休めてお話をしてくださった。
画像18 京都とフィレンツェは古都同士ということで姉妹都市。その友好の印にと、日本庭園を造ることになったそうだ。造園途中にまさか恐れ多くも高台寺の庭師さんに出会えるとは思わなかった。しかもこんな場所で。数年先の景色を考えながら植えていっているため、最初はどうしても寂しい感じになると仰っていた。今でもこの日本庭園Giardino Giapponeseは存在するようだ。調べたら1998年開園となっているので、私は同じ年の開園前の作庭時にここを目撃したのだった。何とも不思議なご縁があるものだ。
画像19 ホテルへと戻っていくと、一日の終わりの大聖堂は、夕陽に染まってオレンジ色だった。
画像20 奥にはジョットの鐘楼。ここまで見ていただいてありがとうございました。いずれ初日、二日目の美術めぐりの様子もアップできたらと思っています。

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