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続・台湾の重金属汚染「テクノロジー緑牡蠣」

先日、2004年の新竹の「テクノロジー緑牡蠣」についてご紹介したが、2014年に桃園の「テクノロジー緑牡蠣」も台湾のニュースメディアで報じられている。両地域ともに半導体製造工場が建ち並ぶエリアである。

台湾の半導体製造工場などが建ち並ぶ台湾西海岸は重度な金属汚染に多くの住民が悩まされている。

2014年、農業評議会風土病生物学センター生息地生態グループの准研究員、劉京玉氏は「桃園海岸は銅、亜鉛、クロム、ヒ素、ジルコニウム、チタン、トリウムなどの重金属汚染が他の地域の数倍から数十倍に及ぶ」と指摘したと『自由時報』が報じた。

「桃園地方連合」が桃園の海岸で掘った緑の牡蠣 (自由時報:李栄平記者)


台湾の国民「汚染された魚介類を食べるのが怖い」

台湾のネット上では、「桃園海岸の悲劇!緑色のカキがあちこちに溢れ、汚染された魚介類は食べるのが怖い」というタイトルの記事が上がり、「桃園地方同盟」の調査を引用しながら、桃園の海岸線の数キロメートルにはアオガキが生息しており、桃園の海岸は重金属によって汚染されていることを指摘した。

しかし、桃園県政府情報局は「桃園海域の基準値を超える重金属含有量は検出されなかった」と発表。


これに対して、Facebook上の組織「我是中壢人(私は中壢出身)」の代表、汪昊宇氏と桃園潘中正氏は、県政府が「ナンセンスなことを言っている」と批判した。

「県政府職員を連れて行けばよい」「桃園の海岸でいつでも緑の牡蠣を獲ってください。」「緑の牡蠣は目の前にあります。桃園の沿岸地域が重金属によって汚染されていることは議論の余地のない事実です。公式声明は消極的かつ回避的ですが、人々の日常の食の安全に有害です」と述べた。

中正氏は、「園北海岸の藻礁はとうの昔に絶滅した」「今では残り4キロメートルに及ぶ関新海岸の藻礁さえも緑色のカキだけが生息しており、重金属によって汚染されている」と述べた。


テクノロジー緑牡蠣は内臓や脳にも影響を与える

『三立新聞網』によると、テクノロジー緑牡蠣は濃い緑色、または蛍光緑色になっており、嫌な化学臭がするという。内臓や脳にも影響を与える可能性がるいい、「桃園地方同盟」の潘仲正主席は、「大量に食べると、すぐに嘔吐、頭痛、胃けいれんなどの関連症状が現れる可能性がある。長時間食べていると、体内に蓄積してしまう」「肝臓、腎臓、脳を損傷し、脳性麻痺を引き起こす」と述べた。

重金屬下肚!桃園沿海「綠蚵仔」遍佈|三立新聞台 2014/05/07

テクノロジー緑牡蠣は桃園の海岸沿いのほぼどこでも見られる。


潘仲正主席は「人々がこの場所で(食用の)カタツムリやカニ、ウミウリの種を拾っていた。このような深刻な汚染は、政府の汚染調査の無能さを浮き彫りにしている」と批判した。


半導体製造工場は膨大な種類・量の重金属を使用する

半導体の製造プロセスでは、ガリウム、ヒ素、ベリリウム、カドミウム、水銀、鉛、亜鉛、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、セレン、インジウム、テルル、マンガン、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルト、など挙げればキリがないほど多くの重金属、そしてその化合物が使用される。

JASMの排水は下水処理場を経由して河川・海へ流されるが、その際に適用される水質汚濁防止法・下水道法に含まれる重金属は9項目のみである。その他の重金属はチェックされることなく排水されることになる。

また、半導体製造工場の排ガス・排水は膨大であり、当然含まれる重金属の総量は膨大だ。つまり、濃度のみをチェックする水質汚濁防止法・下水道法で規制しても環境中に多大な量の重金属が蓄積されていく。

重金属は比重が大きく、土壌に吸着されやすく、水にも溶けやすい。金属汚染は土壌でも分解されず、地下水に浸透して土壌・地下水をともに汚染し、環境中に蓄積される。


守ろう、私たちの食と健康、そして漁業

熊本県は水俣病を経験し、重金属汚染の恐ろしさを一番知る県民だ。
有明海は内海であり、閉鎖性海域である。つまり、台湾の西海岸よりも汚染が深刻化する可能性が高い。
悲劇を再び繰り返すことのないよう、県民から声を上げていくことが必要だ。

守ろう、私たちの食と健康!
守ろう、有明海の美味しい魚と海苔!


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