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自分の軸を持つ

「とても怒りっぽくて最近困っているんだ」

私は社内のボランティア業務の一つとして週一で30分のマインドフルネスのセッションを受け持っている。通常は呼吸法を行うのだが、参加者次第では個別相談に乗ることも。これは参加者が少なかったある日、開口一番、相談されたこと。今回はこの辺りの話。

ウェルビーイングとゆとり

シンプルに答えから入ると、ウェルビーイングを維持するための最善の方法は良く寝る、良く食べる、良く運動するの3点に尽きると思う。ここに雑談できる仲間がいれば最強と言ったところか。ここが充実していれば心身にゆとりができて、簡単な刺激には動じなくなる。

とは言え、このバランスを維持するのは意外と難しく、フトしたきっかけで崩れると一気に転げ落ちてしまう。理想的には体調を崩してから意識するのでなく、日常から少し意識しすぎるぐらいで行っているのが良い。ゆとりは無くしてから慌てるのではなく、常にゆとりがある状態であるのが吉

身体反応と自覚

一つの練習方法としてSBNRRというものがある。これはStop(止まる)、Breath(呼吸する)、Notice(気づく)、Reflect(顧みる)、Respond(反応する)の頭文字。文字通り、自分を何か感情的に刺激する対象に対し、呼吸法を使いながら、自分の体内で何が起きているのか俯瞰して、それに対して自覚的にどう反応するのか決めるというものだ。

以前にも触れたことがあるが、感情的な反応というのは身体反応と結びついており、脳がそれを予測しながら身体的な反応に意味づけをしている。

ゆとりが無いと俯瞰できないので、刺激に対して感情的な爆発で対応してしまう。この反応速度が自分のゆとり加減を把握する一つの目安。最近、怒りっぽいなと感じたら、この辺りをいったん観察してみるのも良いかもしれない。

基軸は自分の中に持つ

相談相手のアメリカのエンジニアはこのSBNRRの練習も今は役に立っていないとのこと。聞くと仕事にプライベートに容量オーバーな様子。そして仕事や日常でのカスタマーサービスとのやり取りで怒りが爆発してしまうという悩みだった。私も10年アメリカで仕事をして、あの国のカスタマーサポートとは数えきれないぐらいやり合ったので、素直に同情してしまう。

「一日の内、自分の勝ちが少なくて負けばかりなんだ」

いや、ちょっと待った。気持ちは分かるが、そもそも人生は勝ち負けではないし、その判断基準を他者に委ねていたら勝ち目はないと思うよ、と返す。上司などの他者が自分をどう思っているかはどうしようもないけど、自分がどうありたいかに対する意思決定ができるのは自分しかいない。私は武芸の稽古がそこに該当するが、彼には何だろうと頭をひねって「たとえば筋トレだよ」と続けた。

回数は何回でも良い。でも競う相手はあくまで自分自身。たとえば毎日続けられるか、回数を増やせるか、何でも良いので昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分と自分自身に対して深めていくと良いよと話をする。その達成感と充足感の感触を大事にすること。頭がネガティヴで一杯になってしまうなら身体からアクセスしたら改善するかも、と話したところ、納得した様子だった。

数時間後、アメリカはもう遅い時間だろうにメッセージが届いた。相談に対する感謝と「今夜はいつもの散歩コースを2倍にしてみたよ」との内容。

その意気だよ。私も頑張ろう。

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