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勝手に敷居を高くしないでくれ!!

岩波ホールへ行ってきた。


最近リニューアルされて、随分と綺麗になっていた。


と、言いたいところだが、


実は、筆者、岩波へ行くのはこれが初めてである。

もう、20年近くこの地で商売をしていながら、情けない話である。

その存在はもちろん知っていたし、お客さんで、この映画館の帰りに寄ってくれる方も少なくなかったのだが、なぜだかこれまでに知らず知らずのうちに自分の中で垣根の様なものを作ってしまっていた。


でも、考えてもみてくださいな。


岩波ホールですよ。


岩波ホールといえば、大作小作の区別なく、世界各国のコマーシャリズムに乗らない、真の意味での名作を、独自の選定基準により発掘上映を行っているミニシアターの元祖である。(Wikipedia参照)

僕なんぞが行ったりした日には、受付の純文学作品にどっぽり漬かったような細身の美女に、「ふん。あんたなんかに観せる映画はないわよ。ジョン・ランボーは出て来ないのよ。」とやられそうである。


まあ、そんなわけで(そんなわけはないです!!とっても感じのいい店員さんでした!!)、二の足を踏んでいたのだが、考えてみると、神保町だけに限ってみても、まだ行っていない名所、食べていない名店は相当ありそうである。


例えば、食べ物だけとってみても、

「山の上の天ぷら」、「藪そばのせいろう」、「いせ源のあんこう」、・・・。

これらの名店に、いまだに行ったことがないとは、実にお恥ずかしい限りだ。


昔、ジャズ漫画のラズウエル細木さんが、作品中で「あまりに有名すぎて、今更買えないジャズの名盤」を恥ずかしそうに告白していて大笑いしてしまったが、それと似た様なもので、これだけ長く店を構えていて、今更しれっとは行きにくくなっているのは事実である。

まあ、それも、行った事のある方からすれば、「何で?考え過ぎよ。行けばいいだけじゃない。」で終わりなのだろうが、馬鹿な見栄をこじらせて、いつの間にか敷居を高くしてしまっているのである。


ところで。


逆に言うと、これと同じことを、自分の店でもやられてはしないだろうか??


つまり、人から「敷居が高い店」と思われてやしないだろうか、ということだ。


そんな心配は無用だよ。だってお前の店は「名店」でも何でもないんだから。と言われてしまえばそれまでなのだが、果たしてそう流してしまって良いのだろうか。


とかく「BAR」というだけで、「入りにくい」と言われる業態である。


以前、あまりの来客数の少なさに、「宣伝」と称して、カフェ・タイムをやっていたことがある。一杯200円台から。テイクアウトも可能な、まずは気楽に入ってもらうための、大ピーアール作戦である。

かれこれ10年近くやったのだが、その宣伝効果は思ったより少なく、逆に夜やって欲しい職場の仲間とのミーティングなどを、昼にやられてしまうと言う惨事となった。


それでも、思い直して「夜も是非どうぞ」と声をかけてみたこともある。


結果は、さてびっくり。


「滅相もない。私なんかが、こんなところ。」


という返答。


こんなところ??


あなたは、その「こんなところ」で毎日260円で珈琲を飲んでいるでしょう??


やはり「BAR」というのは知らず知らずのうちに、「勝手に敷居を高くしてしまわれる」ということが、充分あり得るということがわかるやりとりであった。


世紀の名盤ならまだしも、誰も気にかけないような中古盤が、ただ「BAR」というだけで、敷居を高く感じられてしまうのは非常に困る。


そういうわけで、この「note」を含めた、「Twitter」などのSNSでは、当店としての「敷居」を出来るだけ「低く」見て頂けるような内容にしているつもりです。
(と、いうより元々高尚な内容など書けるはずもないのですが・・・。)


時には(毎回?)お馬鹿な話で終始することもあるかと思うが、それは何より上記のような理由からくるのだと、どうぞご寛容に構えていただきたい。


「BAR」は怖くない。


どうぞ、勝手に敷居を高くしないでもらいたい。


決して、「ふん。あんたなんかに飲ませる酒はないわよ。パンケーキは置いてないのよ。」

とは申しませんので。


神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

パンケーキ、考えてもいいです。

嘘です(笑。

お待ちしております。


Azure Glow / City Girl
City Girl Records
2018

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

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