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本日の読書 #053 「環境収容力」
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参考書籍:『カラスをだます』塚原直樹
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第五章 カラスを減らす より
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環境収容力。
「ある環境における、生物の生存できる最大値」のこと。
個体群生態学という学問における考え方だそうだ。
本書に倣って、カラスの例で考えてみる。
カラスによる食害や糞害は、人間の悩みのタネの一つであるが、
これを食い止めようと考えるとき、私たちが真っ先に思いつくのは何だろうか。
まずはカカシを立てたりCDを吊るしたり、大きな音をたてたりして追い払おうとするだろう。
しかし著者によれば、こういった対策が効果的なのは常に「最初だけ」だという。
カラスは頭が良いので、どの方法でも慣れてしまうのだそうだ。
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ではカラスを「追い払う」のではなく「減らす」ことを考えよう。
どうしたらいいだろうか?
私には「駆除」の二文字がすぐに頭に浮かぶ。
銃や罠などで、個体数そのものを減らす動きだ。
でもこれも全然意味がないらしい。
なぜなら「環境収容力」が変わらないから。
たとえば「3000羽が暮らしていける街」で500羽駆除したとしても、隣町からカラスが500羽やってきて、新たに住み着くだけだそうだ。
だって「その街に住めるカラスの最大数が3000」なのだから。
これが環境収容力。
ではどうすればカラスを減らせるのか?
これは単純で、
「環境収容力を低下させる」
ことだと著者はいう。
つまり「3000羽が暮らしていける街」を「1000羽だけが暮らしていける街」に変えるのだ。
おお、なるほど面白い。
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カラスは雑食で、なんでも食べるのはよく知られている。
ではそんなカラスを生かしているのは誰か。
人間だ。
人間が捨てた食べ残しやゴミ、農業の残渣があるおかげで、カラスの環境収容力が爆上がりしているのだ。
著者によれば、冬場にたった一週間、その街の人間が一致団結してこれらのゴミをカラスに与えないように気を付けるだけで、
カラスのその街における環境収容力は激減し、個体数を減らすことができるらしい。
「カラス憎し」で各自が場当たり的な行動を繰り返すよりも、
人間の集団行動によってカラスを自然淘汰させることが求められる。
ヒトは無自覚にカラスに餌を与え、自ら増やしたカラスによって困らされている。まずはその無自覚な餌付けをヒトは改めるべきじゃないの、というのが私の考えだからだ。
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