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【猪口由美の明日につなぐ食 vol.9】岩手の恵みを熟成した牛肉生ハム ―岩手短角和牛と海塩のマリアージュ

岩手県岩手郡岩手町。岩手が3つも並ぶ小さな町で精肉店を営んでいる府金伸治さんは、できる限り地元の食材を使い、生産者同士のつながりを大切にしながら商品づくりをしています。なかでも岩手短角和牛にかける思いはひとしおで、20年以上前から畜産農家とともにそのおいしさを守り、広める活動を続けてきました。

わたしが初めて府金さんと会ったのは、デパートの催事でした。いつものように物産展に足を運ぶと、一番端の方で丁寧な接客をしている方がいて、近寄ってみると美味しそうな商品が並んでいる。いくつか購入して会社で試食したあと、府金さんの商品をご紹介させていただけないかと電話したのが始まりでした。最初の取材では、にぎやかなお父さんと優しいお母さんと共に迎えてくれました。何度も足を運ぶなかで、岩手短角和牛の牧場味噌蔵、酒蔵なども取材させていただき、岩手の食の奥深さを知るきっかけにもなりました。

岩手と岩手短角牛への思いは人一倍。府金伸治さん

国内の畜産の話をすると、肥育されている和牛のほとんどは、人工的に繁殖が行われますが、岩手短角和牛は牛たちを夏の山に放ち自然にまかせた形で繁殖が行われます。岩手の豊かな自然の中で放牧され、のびのびと育った岩手短角和牛は、A4やA5などの格付け・等級の評価には縛られない、力強く豊かな旨みをたっぷりと抱えながら育っていきます。畜産農家のなかでも府金さんが特に信頼を置いている柿木畜産の柿木敏由貴さんの牧場を訪問したときには、夏の青空と山の緑とがとてもきれいなコントラストで、その中を自由に草を食んでいる牛たちの姿がとても楽しそうに映りました。

府金さんが手掛ける加工品のなかでも、牛肉の生ハム「セシーナ」はその集大成ともいうべき商品です。スペインを訪れた時に試食して感動したその味を岩手短角和牛で再現したいと一念発起。現地の職人に教えを請い、伝統的な製法を日本で実践しています。

思わずワインが欲しくなる味わい「セシーナ」

セシーナの原料は、岩手短角和牛と塩のみ。当然ながら塩も吟味しました。いろんなものを試したうえで選んだのは「のだ塩」。のだ塩は岩手で作られていて、昔も今も汲み上げた海水を鉄鍋でじっくり煮詰める「直煮法」を採用。ミネラル分が多く、辛さのなかに甘みも感じる上質な海塩です。同じ岩手の和牛と塩の相性の良さは、製品にも如実に反映されていて、最初にくる塩気のやわらかさは、のだ塩だからこそなのかもしれません。セシーナの旨みは豚肉の生ハムとは全く違う、牛肉ならではのもの。贅沢な旨みという言葉がぴったりです。熟成期間によって味わいが変わっていくので、食べ比べでその変化を楽しむのも面白いです。
岩手を愛する府金さんが思いを込めたセシーナは、間違いなくワインが飲みたくなる味わいです。

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