極貧ダイエットと言うまでもない副作用

貧すれば鈍するとよく言われる.しかし,極貧になると大変痩せる.野菜しか食べないというのも一つの手段かもしれないが,貧しいことによって食事にどのような制限がかかり痩せていくのか説明したい.

極貧になるとは

極貧状態だと1日の生活費が300円に制限される.だいたいいくら足りないから,その値段に合わせて生活しないとカードの引き落しなどでパンクするので必然的に1ヶ月の金額が制限される.仮に,カードがうまく捌けても今度は家賃の支払いが待っているので油断ができない.

このような状態になると,真っ先に切るのが衣食住の衣になる.まず,洗濯する予算がない.洗剤を買う余裕があれば食費に回したいので洗濯ができない.

今のところ学費を払っているので大学のシャワールームを借りているが,シャンプーやガス代などはもったいない.ガスも契約していない.ガス代は高く,基本料金で10日分の食費に相当する.

このような状態だと,衣食住のうち,住だけ最低限維持するようになる.ホームレスになると電気が使えなくなるので電気を使う権利だけはなんとか維持したいのだ.

例えば,極寒や酷暑などは1日のパフォーマンスに影響する.暑ければ体温を下げようとしてカロリーを消費するし,寒ければ体温を上げようとカロリーを消費する.電気代はたかだか1日20~40円ほどなので,これをケチると本当に死ぬ.

極貧になると色々と余裕がなくなる.余裕がなくなることによって最終的に食費が削られていく.

極貧によるダイエットの効能

実際,ものすごく効率的に痩せられる.体重は一番多いときで54キロほどあったが,半年で10キロほど一気に落とした.基礎代謝は1300キロカロリーほどなので,実際に吸収しているカロリーや栄養素が基礎代謝を下回っていることになる.

極貧ダイエットでは色々な健康を失わなければならない.まず栄養素に順位付けをする.まずブドウ糖とタンパク質は人間が生きる上で必須になる.次に,ビタミンBとカルシウムになる.ビタミンAを摂取しないと目が見えなくなる問題があるが,脚気や肝障害と比べて障害手帳が簡単に取れる.

このように栄養素で順位付けをする.ビタミンAは最悪プロテインに入っているし,野菜などのブルジョアジー食材などは端から食べることは考えられないのでβカロテンなど何かで補助的に取れればいい.

次に考えるのは1日のカロリーと栄養素,そして300円と照らし合わせて何を食べればいいか考えることになる.

まず,最もバランスが良く生命の維持に適した食材はプロテインになる.1食たった250キロカロリー程度しか含まれていないが,その栄養素のコストパフォーマンスは非常に高い.特に,脂肪を付けるためのプロテインは太るための栄養素がふんだんに含まれているだけでなく,必須アミノ酸やミネラルが豊富だ.これを1食欠かすと体調がとたんに悪くなるほど重要な食料になる.

次に摂取するべきはカロリーになる.ウェイトゲインで様々な栄養素が取れたのであとは捨ててもいい.となると,高カロリーのドーナッツがが主食になる.油で揚げてギチギチになっているので脂質は豊富に含まれている.なおかつ小麦なので炭水化物が豊富だ.これが素晴らしいことに1食150円で800キロカロリーを超える.

生命維持を考えると,だいたいウェイトゲインが1食86円,ドーナッツが150円で236円ほどになる.残りは何に使うかと言うとジュースを飲む.ジュースはカロリーの源泉だ.固形物と比べるとコーヒー牛乳などは1リットル100円で500キロカロリー摂取できる.これは大きい.

残念なことに固形物を食べることがなくなるのは悲しい.しかし,お金という決められた枠は切実だ.これでいかに高いパフォーマンスを出せるかに注力すると,最もコスパの高い組み合わせはこのようになる.

肝心の副作用

まず骨粗鬆症になる.カルシウムはプロテインで補えても体が衰弱すると破骨細胞が活発化し,筋肉や骨を分解するようになる.

次に,皮膚掻痒が出る.体のむくみから始まり,強く圧迫すると水ぶくれのような親指大の湿疹ができるようになる.水ぶくれは放っておくと治るが,耐え難い痒みに変化する.皮膚は代謝によって肌を綺麗に保とうとするが,痕になって残るだけでなく,たまに炎症を起こすようになる.

その次は黄疸になる.体のあちこちが黄色くなる.カロテン血症であれば嬉しいのだが皮膚掻痒の症状やそもそもβカロテンそんなに摂取していないはずなので肝臓の疑いが強い(それまでは脂肪肝だった).

また,1日1食しか固形物を食べないので常に空腹になる.食欲というものはハンバーグとかからあげ食べたいと思うことなので,それらを捨てれば空腹はギリギリ我慢できる.しかし,匂いにつられて余計なものを買ってしまうことがある.余計な買い物は家計を圧迫するのでなるべく我慢したい.

このように健康上の問題が頻発する.対抗策としてタバコは非常に有効だったりする.タバコには味付けがしてあるので食欲は一時的に満たせる.空腹感もタールによる胃の膨張感でなんとかなる.しかし,本質的にタバコによる健康被害があるので食べない,という選択は害でしかない.

博士課程における食糧問題

博士課程ほど切実かもしれない.収入がない中で研究はお金にならないし,外部の収入を得なければならない.研究を維持するための時間が少ないので単価の高い仕事を受けざるを得なくなる.1時間あたりの単価が下がると研究に支障が出る.企業としては研究者を安く買い叩きたいので,そこの弱みにつけ込んで安い賃金で働かせようとする.研究者の仕事がなければ安い賃金に甘えざるを得ない.故に研究者の給料は安い.

博士課程に入学してから実力はそれなりについた.しかし,誰がこんなに貧しい思いをしなければならないと想像しただろうか? どれだけ努力しても給料が上がらない.ジャーナルに掲載されるにはお金を払う必要があるので経済的には研究するほど損をする.つまり,ジャーナルに掲載されるということは,経済的に損をしていることにほかならない.そこには1円の価値もない.

理想でご飯は食べられない.論文を燃やして肉を焼けるなら,そのほうが遥かに価値がある.

普段は研究していて生活が厳しいのでサポートしてくれる方がいるととても嬉しいです.生活的な余裕が出ると神が僕の脳に落書きを残してくれるようになります.