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コロナウイルス連作短編

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2022年1月の記事一覧

コロナウイルス連作短編その153「やまとんちゅ、かわたん」

 それから夜の町で川谷亜矢汰は琉球民謡を、家下三久という女性に披露する。 あんまーたむの…

コロナウイルス連作短編その152「コカ・コーラも明太子も」

 ところで、俺と恋人の家の最寄り駅近くにはスーパーが2軒ある。互いから歩いて20秒かからな…

コロナウイルス連作短編その151「くそボケどもが」

 その後、菅沼大翔は図書館のトイレで排尿を行う。尿は毒々しいまでに黄色いので、何か嬉しく…

コロナウイルス連作短編その150「ワクチン、また打たなきゃ」

 と、杵鞭瀧太郎はTwitterである記事を発見する。コロナウイルス・ワクチンの副作用は様々な…

コロナウイルス連作短編その149「天国旅行」

 道を歩きながら、神部博彦は仁藤絢佳と電話で会話をする。 「あの子って、あなたに口許がそ…

コロナウイルス連作短編その148「おっきい川、もっとおっきい川」

 夜、洗井游子は雨の音を聞く。食卓テーブルに腰掛け、独りの時間を楽しむなかで、そのいつも…

コロナウイルス連作短編その147「悲しい町」

 それからベッドの端に座り、間藤麻は部屋の窓から雪が降っているのを見る。だが実際見ているのは、窓のそばに立ち、雪が降っているのを見る高槻園子の背中だった。 「雪、降ってるね」  園子が言った。だらんと垂れた右腕、その先で小指がかすかに揺れる。 「そうだね」  麻はそう言った。他に何か言いたいが、何も思い浮かばない。自分の右の小指を見る。痙攣していた。  枕の傍らにタブレットがある、園子のものだった。戯れに手に取り、開いてみる。壁紙はラッセンの絵画のように禍々しい色をしていた。

コロナウイルス連作短編その146「結局、シスへテロの真似事かよ」

 12月31日、佐波川正勝は実家へと帰ってくる。真っ先に迎えてくれたのは父の鎮雄だった。会う…