見出し画像

#022 農業×防災 第2話:今後、具体的にどのような災害が起こり得るのか

みなさん、こんにちは。
いつもブログを見てくださり、ありがとうございます。

前回は京都大学レジリエンスフェスティバル2023での鎌田教授による「南海トラフ巨大地震」の発生予測についてお話しました。

第2話の今回は南海トラフ巨大地震が発生したその時、具体的にどのような災害が起こり得るのかについてまとめてみたいと思います。

尚、今回記す内容については下記の書籍を参考にさせていただいております。

京大人気講義生き抜くための地震学 鎌田浩毅 ちくま新書


南海トラフ巨大地震、キーワードは2035年±5年

これは京都大学名誉教授 鎌田浩毅(かまたひろき)教授が警鐘を鳴らす、南海トラフ巨大地震の具体的な発生予測です。

念のため申し上げますが、これはよく巷で目にする都市伝説やオカルト的な予知の類ではありません。

過去に実際に発生した南海地震、東南海地震、東海地震の記録とその周期性に基づいて予測されているものです。

地震にはある程度予測できるタイプと現実的にほぼ予測できないタイプの二つに分けられ、一般的にプレート境界面で発生すると言われている海溝型地震は過去数百年間の古文書や記録文章などによって周期性が認めらており、それに基づいてある程度の予測が可能だと言われています。

詳しくは後述しますが、政府等が公表している「南海トラフ巨大地震」の発生予測及びそれに伴う日本各地の震度予測も基本は上記の周期性のある海溝型地震にフォーカスして公表されているものとなります。

本題に移る前に、ここで十分に注意しなければならいのは、言うまでもなく日本列島は地震・噴火の巣窟であると言う事です。

分かっているだけの活断層の地図を見ただけでも、この日本列島に毛細血管の様に走り回っている事が分かります。それらがどのような歪みを蓄積していて、どの程度応力がかかったらどこでどの程度の地震が起こるかなんて事は残念ながら現時点では分からないと言われています。

今回の能登半島の地震についても「地下のマントルから高温の流体が上昇して、それが岩盤に作用して地震を引き起こした」なんて事も言われています。高温の流体上昇が要因か、能登半島地震 京都大の梅田康弘名誉教授 - 産経ニュース (sankei.com)

真相は私には分かりませんが、もし仮にそのような事が原因であった場合、それこそ”想定外”ではないでしょうか?

つまり、”地震の大半は現実的にほぼ予測できない”と思った方が良いという事です。※「南海トラフ巨大地震」に注目しすぎてその他の研究が進んでいない(予算の関係や利権構造?)事が原因とも言われていますが・・

ともかく、第1話で触れた通り東日本大震災をきっかけに今後数十年は内陸地震と火山噴火が活発化すると言っても、現実的には下記に示すように日本全国各地でバラバラに地震が発生しているという事が、”地震の大半は現実的にほぼ予測できない”と言う事を実際に裏付けています。

・1995年:阪神淡路大震災
・2004年:新潟中越地震
・2011年:東日本大震災(貞観地震が約千年前なので1000年サイクル)
・2016年:熊本地震
・2024年:令和六年能登半島地震

何が言いたいかと言いますと、
・現時点で地震の大半は現実的にほぼ予測できない
・日本にいる以上いつでもどこでも地震が来る可能性はある
・だから地域を問わず必要最低限の知識と備えは重要
・ただし、その中でも超ド級の「南海トラフ巨大地震」については幸いにして過去の歴史が大体の発生時期を教えてくれている
・予測が立つ以上、無視する事なくただしく対処するべき

という事です。

では、一体なぜ「歴史が大体の発生時期を教えてくれている」と言えるのでしょうか?

その答えは海底面の隆起量です。

重要な部分ですので、今回参考にさせていただいた「京大人気講義生き抜くための地震学」の一部を引用致します。

具体的には、高知県・室戸岬北西にある室津港のデータを解析します。地震前後の地盤の上下変位量を見ると、1707年の地震では1.8メートル、1854年の地震では1.2メートル、1946年の地震では1.1メートル、それぞれ隆起したことがわかりました。すなわち、室津港は南海地震のあとでゆっくりと地盤沈下が始まって、港は次第に深くなりつつあるのです。そして、南海地震が発生すると、今度はいっぺんに大きく隆起します。
~中略~
このようなデータは、海溝型地震による地盤沈下からの「リバウンド隆起」とも呼ばれています。1946年のリバウンド隆起は1.15メートルでした。得られたデータから次に南海地震が起きるのは2035年頃と予測されます。

京大人気講義生き抜くための地震学 鎌田浩毅 ちくま書店


プレートは一定の速さで沈み込むのに対して、地震によって海底面の隆起量に変化が生じる点から見てもこのような予測モデルが成り立つと言われます。

従って「南海トラフ巨大地震」の発生時期は2035年±5年。規模は東日本大震災とほぼ同等のマグニチュード9クラス、と言う事が言えるようです。

ここで過去300年の南海地震、東南海地震、東海地震の発生時期と規模についてまとめておきます。

・1707年:宝永地震(M8.6)ほぼ同時3連動
・1854年:安政東南海地震(M8.4)→その数時間後安政南海地震(M8.4)
・1944年:昭和東南海地震(M7.9)→その2年後1946年:昭和南海地震(M8.0)※この時は東海地震発生せず
・2035年±5年?:南海トラフ巨大地震(M9.1?)

更に鎌田教授はこのように言います。

「納期と納品量 = いつ、どのくらい」

皆さん、南海トラフ巨大地震について、政府、その他自治体等からこのように聞いたことがないでしょうか?

「南海トラフ巨大地震の発生確率は今後30年間において70~80%デス」と。

正直、「発生確率は今後30年間で70~80%デス」と言われてもピンとこなくないですか?

少なくとも以前の私はピンと来ていませんでした。

「まぁ日本列島は地震大国だし、いつかは必ずくるのだろうな」と、疑いはなくともどこか眉唾な印象でした・・・

他方で同時にこのようにも思っていました。

「そもそもいつからが基準で30年後の確率の事を言っているの?」
「20~30年前からずっと同じ事言ってなかった?」
「ちょっと前までは「”東海”地震に注意セヨ」と言ってなかった?」
「いつから「南海トラフ地震」になったの?」
「という事は東海地震は起きないの?」
「70~80%の確率で来ると言ってもどの程度の規模なの?」

皆さんも少なからず同じように疑問を持ちませんか?

これらの疑問に対して鎌田教授は明快です。

その通り、だから「納期と納品量」で示さないと関心が向かない、と。

「南海トラフ巨大地震の発生確率は今後30年間において70~80%デス」よりも、「発生時期は2035年±5年、規模は東日本大震災とほぼ同等のマグニチュード9クラス」と言った方が具体的にイメージしやすい。

・納期(いつ):2035年±5年
・納品(どの程度):マグニチュード9クラス

非常に明確ですよね?

更に過去の例から言うと、まず紀伊半島沖の東南海地震が発生し、それとほぼ同時、または数時間後に四国沖の南海地震が発生し最後に静岡沖の東海地震が発生。大体このケースが多く、日本列島はこれを約100年~150年のサイクルで繰り返していると言われます。

前回の昭和東南海地震が戦時中1944年12月7日に発生しました。それから約2年後の1946年に南海地震が発生。ところがこの時は東海沖地震がパスされ、2024年現在まで発生していません。故に今から20~30年前ほど前までは「東海沖地震二ソナエヨ」と言われていた訳ですね。

鎌田教授によると、次は必ず3連動でやってくると言います。

第1話でも書きましたが、3連動による南海トラフ巨大地震が発生した場合、次の被害が予想されます。

<南海トラフ巨大地震被害予測>
地震規模:M9.1 東日本大震災はM9.0なのでほぼ同等かそれ以上!
最大震度:震度7(西日本10県)
西日本沿岸津波:最大34m(ビル11階相当) 最短2~3分で到着
被災者:6800万人 日本人口の約半分!
犠牲者:32万人 東日本大震災は約2万人なので、その16倍!
被害総額:220兆円 東日本大震災は20兆円なので、その10倍!

考えただけでも背筋が寒くなりますが、更にこの3連動地震と切っても切り離せない要素が富士山噴火と鎌田教授は言います。

この富士山噴火による影響は実際の被害予測と絡めて改めて次回の第3話「被害予測」で書きたいと思いますので今回は割愛します。

今回の第2話では、南海トラフ巨大地震がいつどのように発生する可能性があるか、過去の歴史を元にをまとめてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

続く・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?