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大規模山火事から45年。放置林となった山の再生ストーリー

今から45年前の栃木県で、大きな山火事が起きました。昭和52年3月15日に旧黒羽町・馬頭町(現大田原市那珂川町)に1,500haを超える森林が、山火事によって消失したといわれています。およそ、東京ドーム325個分の広さです。

※写真はイメージです。

この山火事後、一部の森林では植林が進まず、山火事後の荒れた土地のまま月日が流れていきました。
元号が令和となった、2022年。青葉組が植林をして山に苗木が植えられるまでのストーリーです。

1. 自然に、「山」になっていかないのか?

山火事の後、森林はまた自然に再生すると思いますか?確かに、周辺から種が飛んできたり、鳥が運んだりする場合や、元々土の中に潜んで芽を出すタイミングをうかがっていた種子(埋土種子(まいどしゅし)と言います)が発芽することによって、森林に少しずつ戻っていく場合もあります。
しかし、ススキなどの草本類(そうほんるい)の方が優勢になり、何年たっても森にならず草地のままとなってしまう場合もあります。

今回、私たちが森づくりをお手伝いした現場も、45年もの間、森林にならずに草地として残ってしまった現場です。
現場を写真で見ていきましょう。

周辺は広葉樹やスギが繫茂していますが、ハート型にイネ科植物が優勢していました。
ススキは2mほどの高さまで成長し、山を覆っています。
スギにも絡まっています。これでは森になりません。

今回の現場は地元の大田原市森林組合さんからご相談があり、青葉組が着手することになりました。

2. 森に戻していく

写真でご覧になっていただいたように、2m級の草に覆われているため、人間が入っていったところで前が見えません。そんな状態からスタートしました。

苗を植えるために、「地拵え」という作業から始まります。(詳しくは地拵えの記事を見てね!)土が見えないと植えられないため、まずは土を出すところからです。

2mもある草木を刈るには、1回ではどうにもなりません。草木の真ん中で1回刈って、その後に地面スレスレで刈ります。
2回刈った後、地面には大量の散らばったススキが。これをひたすら運びます。
木に絡まってる草も払いながら、山を綺麗に掃除していくのです。

青葉組の職人10人が丸5日ほどかけて、地拵えが完了!見違えるほど綺麗になった山のBefore - Afterをご覧ください!!

なんということでしょう・・・!覆われていた草木が綺麗さっぱりなくなり、すっきりとした山の斜面が顔を出してくれました!
この後、苗木の植え付けをして完了!

3. 山主さんから、嬉しい言葉をいただきました

植え付け終了後、山主さんと現場の山に訪れました。
山火事を目の当たりにし、その後の山や森を見守ってきた山主さん。現場を見ながら、嬉しいお言葉をいただきました。

植林後の現場に、山主さんと

山火事後ながらく再造林に手を付けられていなかったが、近年周辺地域で伐採を行ったときの収益で今回この再造林をすることができた。まだまだ造林が必要な現場はたくさんある。今後もお願いしたい。

山主さんより

また、この現場の仕事をご相談いただいた、大田原市森林組合の樋山様からも感謝のお言葉を頂戴しています。

大変な現場だったと思いますが、青葉組が頑張ってまた森に戻してくれたので感謝しております。引き続き地域の森づくりを一緒に頑張っていきましょう。

大田原市森林組合の担当、樋山様より
植林後の苗木。すくすく育ってね!

色々な背景を持った山があります。
山を通して、その地域の歴史や住まう人たちと出会い、そのストーリーを背負って森をつくっていく仕事ができるのは、この仕事の魅力です。

また、これから新しい出会いが待っています。
その1つ1つを、丁寧に。私たちは森に戻していきます。

ライター情報
■氏名:岩田遥
■所属:みどり荘長(総務・人事担当)
■紹介文:林業未経験で青葉組に参画。GREEN WORKERが働きやすい環境を実現すべく、東京本社にてバックオフィスを担当。木のこと、山のこと、自然のこと、林業のことを日々勉強中。山の中でぼーっとするのが好き。山に行きたい。

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